不動産を購入した時には、「登記情報」というものに、自分の権利(所有権) が表示されます。

登記情報には不動産の登記簿や譲渡登記に関する情報、土地所在図や地積測量図などが含まれます。

登記情報は法務局以外にも、インターネット上の「登記情報提供サービス」(有料)にて閲覧することが可能です。

それでは不動産を家族信託した場合には、この登記情報の書き換えは必要なのでしょうか?

この記事では、不動産の家族信託と登記情報の関係について解説していきます。

※昔は帳簿を使って登記情報管理をしていて、その帳簿のことを「登記情報」と呼んでいましたが、現在はデータ管理となっているため、登記に関する情報を「登記情報」と呼ぶようになっています。

※家族信託の契約や利用の流れについてはこちらの記事でも解説しています。

家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ法的制度です。認知症が進行し意思能力を喪失したと判断されてしまうと、銀行預金を引き下ろせない、定期預金を解約できない(口座凍結)、自宅を売却できないなどのいわゆる「資産凍結」状態に陥ってしまいます。そのような事態を防ぐために、近年「家族信託」が注目されてきています。この記事では家族信託の仕組みやメリット、デメリットをわかりやすく解説します。
家族信託とは?わかりやすくメリット・デメリットを徹底解説します

要約

  • 不動産を家族信託した場合信託登記は必須
  • 家族信託をした不動産の登記情報の名義は受託者に変更する
  • 登記情報上も 「受託者〇〇」 と登記され、その不動産が信託財産であることが明確に
  • 家族信託によって名義変更を行う場合は名義人の変更に加えて「信託目録」も記載
  • 不動産の権利証も新たに受託者名義で作成
  • 信託目録の内容を変更する場合に必要な費用は1000円
  • 登録免許税は納付が必要だが、 不動産取得税は非課税のため納付は不要
  • 信託目録は記載方法が難しいため専門家へ相談を

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不動産の登記情報には何が書かれている?

不動産の登記情報には、不動産の所有者に関する事項(甲区)とそれ以外の権利に関する事項(乙区)が記載されます。

登記情報は「登記情報提供サービス」 でも閲覧可能ですが、これは不動産の所有者等を公示することで、その不動産の売買などを行う場合の所有者を明確にすることで、取引を安全に行えるようにするための仕組みとなります。

それでは家族信託をした不動産の登録情報はどうなるのでしょうか?

家族信託をした不動産については、その管理・処分権や売却等をする権利は受託者にありますので、これを公示するために、登記情報についても名義を受託者に変更する必要があります。

ただし受託者というのは、所有者とは異なる概念になりますので、登記情報上も 「受託者 〇〇」 という形で名義が登記 され、その不動産が信託財産であることが分かるような表示になっています。

所有者が変わった場合の名義変更であれば、その新しい名義人の住所と氏名しか記載されないのが一般的ですが、家族信託によって名義変更を行う場合は、名義人の変更に加えて、「信託目録」 という情報が新たに記載されます。

これは、その不動産に対してどのような内容の権利が付帯しているのかを明らかにするためです。

家族信託の場合は信託契約で権利の範囲を自由に設定できるため、その権利について信託目録という形で表示されるのです。

信託目録の記載事項

信託目録の記載事項については、法律に一定の定めがありますので、それに従った形で作成され、おおむね委託者と受託者との間で締結した信託契約の内容を抜粋して反映させたものとなっています。

信託契約の内容をそのまま記載するのではなく、公示をする必要性がある部分についてのみ登記がなされます。

信託目録の記載事項は以下の通りです。

  • 委託者に関する事項
  • 受託者に関する事項
  • 受益者に関する事項
  • 信託の目的
  • 信託財産の管理方法
  • 信託終了の事由
  • その他信託条項

上記の事項については信託契約の内容をベースにしつつも、個人的な内容については言及を避ける形で信託目録を作成することも認められています。

信託契約で定めた内容を登記情報に反映させることになりますが、信託目録は閲覧可能な項目であるため、家庭内のプライバシー保護の観点から望ましくないという理由があるためです。

【不動産の権利証について】

登記情報の名義が書き換えられたことによって、不動産の権利証(登記識別情報)も新たに受託者名義で作成されます。

権利証とは、土地や建物の「所有権移転登記」や新築等の建物の「所有権保存登記」が完了したことを証明する書類のことで、「登記済証」ともいいます。

そのため信託登記をすることで新たな「権利証」が作成され、「登記識別情報」も登録 されます。

委託者自身のための「自益信託」であっても当初の所有者であった委託者が保有している権利証は効力を失いますが、その不動産の実質的なオーナーとして信託目録に「受益者」という形で表示 されます。

登記情報記載例

登記情報記載例

登記関連費用について

不動産の信託登記にあたって、各種、登記関連費用が掛かります。

【信託目録の内容を変更】

信託目録の内容を変更する場合は都度1000円。

【登録免許税】

信託を開始する際には、不動産取得税は不要ですが登録免許税の納付が必要です。

  • 土地……固定資産税評価額の0.3%
  • 建物……固定資産税評価額の0.4%

(土地の0.3%は軽減税率適用後の税率であり、軽減措置が終了した場合には0.4%に戻ります。)

家族信託を終了させる場面では、信託財産を誰に引き継ぐかによって登録免許税が異なります。

家族信託を終了する時の手続きや税金面について、こちらの記事『信託終了後の信託財産は誰に受け継がれる?』もご参照ください

【不動産取得税】

信託契約による所有権移転の際や、受益者の変更の際の不動産取得税については、以下のようになります。

  • 委託者から受託者への信託に基づく所有権の移転 ⇒ 非課税
  • 受益者の変更(相続や売買等原因は問わない。) ⇒ 非課税
  • 信託終了時に、当初の委託者の相続人に不動産を引継ぐ場合 ⇒ 一定の要件を満たせば非課税

各種適用条件について、こちらの記事『家族信託における不動産取得税』で解説しています。

とくに、相続が発生し家族信託が終了した場合については、ケースにより課税・非課税に違いがあります(参考記事『家族信託をしたら相続や税金はどうなる?』)。

注意点も多くなりますので、ぜひ専門家へご相談ください。

信託登記の情報について

本記事では、不動産を家族信託した場合の登記情報の記載内容や登記関連の手数料について解説しました。

家族信託を組成した後、信託登記は必須であり、信託終了後も手続きが必要 となります。

また、信託資産で不動産を購入した場合など、信託契約当初は所有していなかった資産が増える可能性もあります。

特に信託目録については記載方法の非常に難しい部分でもありますので、登記の専門家である司法書士へ依頼すると良いでしょう。

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