成年後見制度を利用する理由で一番多いのは●●だった

成年後見制度を利用する理由で一番多いのは●●だった

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認知症が重症化してしまい、意思表示ができなくなってしまった方は、ご自身で財産を管理することができません。

そのため、法律は、認知症などの理由で判断能力を失ってしまった人のために、「成年後見制度」という制度を用意しています。

この記事では、成年後見制度とは、どのような制度なのかを簡単に解説するとともに、実際に利用している方は、どんな理由で成年後見制度を利用するに至ったのかということを、裁判所が発表している統計データをもとにご紹介していきます。

参照 : 成年後見関係事件の概況(最高裁判所事務総局家庭局)

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症などの病気や障害により、通常の判断能力を失ってしまった人の代わりに、本人の財産を管理する人(後見人)を選任するための制度です。

利用するためには、認知症などを発症した方本人か、その親族が家庭裁判所に申立てを行います。 その申立てが認められれば、家庭裁判所が選んだ人が後見人に選任されることになります。

厚生労働省の発表によれば、認知症の患者数は、2025年には、700万人に達し、高齢者の5人に1人が認知症患者と推計されています。 日本の超高齢化に伴い、認知症の方の財産管理の問題は、その重要性を増しているのです。

成年後見制度の利用件数

高齢者と認知症の患者の方が増えているため、成年後見制度を利用する方の数も増えています。 具体的には、次のグラフを見てください。

成年後見制度の申立件数

2019年こそ、単年で少し数は減っていますが、全体を見ると件数は右肩上がりです。 2020年の申立件数は、37,235件となっていますね。

この数は、愛媛県の八幡浜市の人口とほぼ同じ。 一つの市の人口と同じ数だけの方が成年後見制度を申し立てていると考えると、その多さをイメージしていただけるのではないでしょうか?

この数の増加は、単純に高齢者の数が増えているということだけが原因ではありません。

成年後見制度の制度が開始した年度である平成12年(2000年)は、成年後見制度の申立件数は、わずか8956件でした。

この年の高齢者(65歳以上の方)の人口は、約3079万人ですので、高齢者の約3500人に一人が利用していたにすぎません。

しかし、2020年の高齢者の人口は3622万人。

それに対して、成年後見制度の申立件数が37,235件ですから、高齢者の1000人に一人が利用している計算となり、2000年時点より、3.5倍も利用されていることが分かります。

これは、2000年時点に比べ、認知症の方の財産管理の問題を家族の中だけで処理することができにくい社会になっていることの表れだと考えられるでしょう。

成年後見制度を利用するに至るきっかけランキング

年々件数が増加している成年後見制度ですが、実際に利用される方はどのようなことをきっかけに利用しているのでしょうか?

裁判所が利用者に取ったアンケートによれば、利用に至るきっかけのランキングは次の通りです。

1位 預貯金等の管理・解約(37.1%) 2位 身上保護(23.7%) 3位 介護保険契約(12%) 4位 不動産の処分(10.4%) 5位 相続手続き(8%) 6位 保険金受取(4.2%) 7位 その他(2.5%) 8位 訴訟手続(2.1%)

具体的にそれぞれ、どんな利用例なのか解説していきましょう。

1位 預貯金等の管理・解約(37.1%)

最も多い利用動機が、この「1位 預貯金等の管理・解約」です。

預貯金の名義人の方が認知症を発症すると銀行の窓口やATMまで出向き、預金の引き出し手続きができなくなってしまいます。

そうなると、成年後見制度を使わなければ預金がおろせないという事態になるのです。

銀行側も、ご本人が認知症である場合には、医師の診断書などを提示すれば、家族が代わりに預金を引き出すことに応じてくれる場合もありますが、これはあくまで例外的な扱いです。

原則は、口座名義人が認知症を発症した場合は、成年後見制度を利用しなければ、預金の引き出しを行うことができないという取り扱いになっています。

2位 身上保護(23.7%)

3位 介護保険契約(12%)

これらは、認知症の患者の方の介護の問題をきっかけに成年後見制度を利用する方の割合を示しています。

ご本人の介護施設を探したり、施設と契約をしたり、デイサービスを利用するといった手続きも、成年後見制度を利用するきっかけになっているようです。

4位 不動産の処分(10.4%)

ご自宅の不動産などの名義を持っている方が、認知症になってしまったら、その不動産は、売却をすることができなくなります。

不動産の売却は、売買契約の締結という法律行為であり、認知症などで適切な判断能力を失った方には、そのような法律行為を行うことができないと判断されるためです。

具体的には、不動産の売買に立ち会う司法書士や宅地建物取引士(不動産業者)がご本人の判断能力の有無を確認し、問題がある場合は、不動産の売却の手続きを中止する措置を取ることになります。

介護施設に入居したために、自宅が空き家になり、また、介護費用をねん出するためにその自宅を売却するというケースは非常に多いです。

このような場合に備えて、予め、家族信託などの対策を取っておくことをお勧めします。

5位 相続手続き(8%)

「相続手続き」をきっかけに後見制度を利用する方もいらっしゃいます。

これは、具体例を使ってご紹介していきましょう。

例えば、財産を保有している方が亡くなった場合、その方が保有していた財産は、配偶者をはじめ、「相続人」に相続されます。

相続人が1名しかいない場合には、その1名の相続人に財産の名義を変更すれば、相続手続きは完了しますが、相続人が2名以上いる場合はそうはいきません。

遺言などで財産の分け方が決められていなければ、相続人全員で、「遺産分割協議」という、財産の分け方についての話し合いをすることになります。

この遺産分割協議を行うにあたって、相続人のうちの一人が認知症を発症していた場合、その方は遺産分割協議に参加することができません。

遺産分割協議も法律行為ですので、適切な判断能力を期待できない認知症の患者の方は、参加することができないのです。

そのため、本人の代わりに遺産分割協議に参加する人(後見人)を決めるために、成年後見制度を利用するケースが第5位「相続手続き」のケースです。

第6位 保険金受取

家族が亡くなったり、病気になったり、事故に遭ったりした場合に、保険会社に保険金の請求をする行為も法律行為とみなされます。

そのため、保険金を請求する手続きは、認知症の患者の方にはできません。

代わりに保険金を受け取る手続きをしてもらう方(後見人)を選ぶために成年後見制度を利用するケースが第6位にランクインしました。

保険金の受取の手続きのためだけに成年後見制度を利用するというのは、手続き的な負担がかなり大きいです。

これを避けるために、自分に万が一のことがあったら、代わりに保険金を請求してくれる人を予め決めておくことができます。

この「代わりに保険金を請求してくれる人」のことを「指定請求代理人」といいます。

ほとんどの保険会社が指定請求代理人の届け出を推奨していますので、保険加入時にはぜひ、指定請求代理人を決めて置くことも忘れずに行っていただくといいでしょう。

第8位 訴訟手続(2.1%)

訴訟手続きというと、自分には縁遠いと思う方も多いかもしれませんが、訴訟が必要なケースは意外と身近に潜んでいます。 

よくあるのは、地主と借地人(借家人)との訴訟問題などがあります。 不動産を人に貸している場合、家賃を滞納している借地人に家賃を支払わせたい場合や、不動産から立ち退いて欲しい場合、話し合いでの交渉がまとまらなければ訴訟に踏み切る必要が生じる場合があります。

訴訟自体は、弁護士に任せて行うことがほとんどです。 しかし、その弁護士に任せるための手続き(委任契約)を行うためにも、ご本人の判断能力が求められます。

ご本人が認知症で訴訟ができないし、後見制度を申し立てるのも避けたいという理由で、本当は行うべき訴訟が行えないままになってしまうというケースも存在します。

まとめ

この記事でご紹介した、制度を利用するきっかけは、すべて予め対策をしておけば、成年後見制度を利用しなくても済むような理由ばかりです。

具体的な対策としては、預金の管理方法を整理したり、家族信託を利用したりする方法があります。

いざというとき、煩わしい手続きを踏んで成年後見制度を利用しなければいけない事態をさけるため、予め対策を取っておかれることをお勧めします。

銀行預金の引き出しや振り込みの手続きは、原則、ご本人しか行うことができません。

しかし、ご高齢の方の介護をされているご家庭では、ご本人のキャッシュカードをご家族が預かって、代わりに預金の管理をしていることもよくあるケースです。

この記事では、ご本人のキャッシュカードを家族が預かって管理をすることのリスクと、それに代わる対策をご紹介したいと思います。

この記事の監修者
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

司法書士
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

神奈川県出身/平成21年司法書士資格取得 トリニティグループの信託部門にて、実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。

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