親族が成年後見人になったら、どれくらい大変?

親族が成年後見人になったら、どれくらい大変?

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成年後見制度とは、認知症を発症し、財産を管理するための判断能力を失ってしまった方のために国が用意している制度で、現在日本全国で20万人を超える方々がこの制度を利用しています。

成年後見制度は、家庭裁判所が後見人を選任するところから開始します。

家庭裁判所に選ばれた成年後見人のうち、約8割が、司法書士や弁護士などの専門家で、残りの約2割の成年後見人は、ご本人の親族の方が就任しています。

本人の親族が成年後見人に就任した場合、親族に手続き的な負担がのしかかることになりますが、具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか?

裁判所に提出すべき書類や、費用などを制度利用の流れに沿ってみていきましょう。

手続き開始時 申立書を作成

成年後見制度は、4親等内の親族(配偶者を含む)が家庭裁判所に対して、その開始の審判を申し立てることから手続きが始まります。

申立ての手続きには、次のような情報を記載した申立書の作成が必要です。

  • 申立人の住所、氏名など
  • 本人の住所、氏名など
  • 後見人になる候補者がいる場合は、その候補者の住所や氏名など

また、申立書以外にも様々な添付書類の提出も求められますが、その一部をご紹介します。

  • 親族関係図
  • 親族の意見書(候補者が後見人になることについての意見)
  • 候補者等事情説明書(候補者の資産状況や職業などの情報)
  • 財産目録
  • 収支予定表
  • 本人の戸籍や住民票など
  • 医師の診断書

このような書類の提出が求められます。

この申立ての手続きは専門家に依頼せず、ご自身で行うことも可能です。

ご自身で手続きを行う場合にかかる費用は、家庭裁判所に納める手数料や郵送費で、6千円程度となります。 (東京家庭裁判所の場合は、合わせて6670円、ただし、鑑定が必要だった場合は、別途5万円~10万円程度)

ご自身で手続きを行った場合、書類に誤りや不足があると、何度も手続きのやり直しになりますし、期間も余計にかかってしまいます。

そのような手間を省きたい場合は、司法書士などの専門家に申立ての手続きを依頼することもできます。

費用は大体10万円~20万円の間が相場です。

親族からの申立てがあり、書類の内容や本人の状況などを家庭裁判所が審査し、最終的に後見制度を利用するのが適当だと判断がなされた場合には、後見開始の審判がなされます。

後見人就任時 就任報告書の作成

就任時に提出しなければいけない書類など

就任した後見人は、先ず本人の資産状況や、収支の状況を把握し、報告書にまとめて家庭裁判所等に提出します。

その際に提出が必要になる書類は、次の通りです。

  • 財産目録
  • 年間収支予定表
  • ご本人(支援を受ける人)の通帳のコピー
  • 有価証券をお持ちの場合、取引残高が分かる証券会社の報告書等のコピー
  • 不動産をお持ちの場合、不動産登記事項証明書のコピー
  • 生命保険に加入している場合、生命保険の保険証券のコピー
  • 年金額通知書のコピー
  • 介護施設の領収書や、賃貸借契約書などの住宅費が判明する資料のコピー
  • 各種租税の納税通知書のコピー
  • その他定期的な支出入の内容が判明する書類のコピー

本人の財産を、判明する限り調査し、支出の状況と収入の状況を整理したうえで書類にまとめなければいけませんので、結構な作業量になることがあります。

ご本人の財産状況をよく知っている同居の家族などが手続きを行う場合には、比較的、負担が少なく手続きが進められる場合もあります。

しかし、成年後見制度を利用されるご家庭の中には、ご本人の財産の所在場所が全く分からないという方もいらっしゃいます。

そのような場合は、自宅にある通帳や不動産の権利証、財産に関連しそうな郵送物を探したりして、なんとか判明する限りのご本人の財産を調査するという作業を行わなければいけません。

就任時に本人の財産がどこにあるか分からないときの対処法

本人の財産がどこに、どれだけあるのか判明しない場合はどのように探せばよいでしょうか?

財産の種類ごとに見ていきましょう。

銀行預金

自宅に通帳などが見当たらず、銀行預金がどこの銀行にあるか分からない場合は、ご本人の収入と支出について調べるのがいいでしょう。

ご本人が年金を受け取っていらっしゃる場合は、年金事務所に問い合わせ、振込先の金融機関を聞き取る方法が考えられます。

また、ご本人が賃貸住宅に居住している場合には、賃貸住宅の管理人から家賃の引き落とし口座の情報を聞き取る方法も有効でしょう。

不動産

不動産を保有しているかどうかは、その方の名義で固定資産税の納付書が届いているかどうかを確認すればある程度は判明します。

固定資産税の納付書が届いていない場合でも、不動産を持っていそうな場所(出身地や居住地)の都道府県税事務所に対して、固定資産税の名寄帳を請求すれば本人が不動産の名義を保有しているかどうかが判明します。 (なお、名寄帳は本人か、本人から依頼を受けた代理人、または本人の相続人でないと取れないため、本人に意思能力がない場合には、成年後見制度の利用を開始した後、成年後見人から請求して取得する流れとなります。)

有価証券

有価証券を保有しているかどうかを確認したい場合、本人宛の郵便物の中に、証券会社からの運用レポートや取引報告書のような郵送物が届いているかを確認しましょう。

確実とは言えませんが、ある程度は本人の資産のありかを把握するには有用です。

もしも、就任時の報告書の中に記載が漏れていた財産が後から判明した場合でも、判明した時点で家庭裁判所に報告をすれば、問題ありません。

就任した後 年に一回定期報告書を作成

就任当初の報告が完了したあとは、年に一回の定期報告を行うこととなります。

この定期報告で提出が必要な書類は次の通りです。

  • 後見事務報告書
    (前回の報告から、支出入の状況等に変化があるかどうかを報告)
  • 財産目録
  • 通帳のコピー
  • 前回の報告から変化があった財産に関する資料
    (例 不動産を売却した場合は、不動産登記事項証明書のコピー)

ここで注意が必要なのが、通帳はこまめに記帳をしておく必要があるということです。

長期間記帳がされない状態で、その間の預金の出入金が合計記帳されてしまっているような場合には、その間の取引履歴の提出が別途必要になります。

また、定期報告書には、前回の報告と比較した状況を記載しますので、毎回提出する報告書は、控えを保管しておく必要があります。

本人が亡くなった場合は、終了の報告と登記申請を行う

本人が亡くなった場合は、その旨を家庭裁判所に報告します。

本人の除籍謄本又は死亡診断書を添えて、報告の書類を提出することになります。
※細かい書類の内容については、各裁判所によって異なる場合があります。

また、後見の終了の登記の申請も必要となります。

後見人は、就任したときに本人の後見人になった旨が法務局という役所のデータベースに記録されます。

このデータのことを「登記情報」といいます。

後見人になった時の登記手続きは、家庭裁判所が行いますが、終了の時の登記手続きは、後見人であった人から、後見の終了の登記を申請する必要があります。

この申請は、全国どこに住んでいる人でも、東京法務局が管轄ですので、東京法務局まで出向いて申請するか、郵送で申請書を提出する方法によって行います。

この際に必要な書類は、登記申請書と本人の除籍謄本又は死亡診断書です。

費用は掛かりませんが、申請書を郵送する費用は負担する必要があります。

この手続きは、非常に簡易なものなので、ご自身で行うことをお勧めしますが、司法書士に登記申請を依頼することもできます。

ご覧いただいたように、ご本人が認知症になってしまい、後見制度を利用せざるを得なくなった場合、ご家族の手続負担は、軽くはありません。

予め、家族信託などを利用して、後見制度を利用せずに済むような対策をとっておかれることをお勧めします。

カテゴリー:成年後見

タグ:手続き費用

この記事の監修者
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

司法書士
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

神奈川県出身/平成21年司法書士資格取得 トリニティグループの信託部門にて、実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。

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