家族信託を利用するときの銀行の選び方

家族信託を利用するときの銀行の選び方

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高齢の方の預貯金を家族が預かる仕組みとして、家族信託という制度が普及し始めています。

高齢の方が、認知症を患ってしまうと、ご自身での財産管理が難しくなります。
家族信託とは、そのような場合に備えることができる制度です。
高齢の方がお元気なうちから家族信託を利用し、家族が代わりに預貯金をはじめとする資産を預かっておくことで、将来、認知症などを理由に預金が引き出せなくなるトラブルを防ぐことができます。

家族信託において、財産を預かる家族のことを、「受託者(じゅたくしゃ)」と呼びますが、家族信託を利用する財産の中に、預貯金がある場合は、受託者の名義の口座で管理をすることになります。 ただし、受託者が個人的に利用している口座を使って預かった財産を管理することはお勧めできません。

なぜならば、受託者が個人的に利用している口座には、受託者ご自身の預金などが入っているため、預かったお金と受託者個人のお金が混ざってしまい、管理が困難になるからです。

信託法上も、分別管理義務といって、受託者自身の預貯金と、預かった預貯金は分けて管理をしなければいけないというルールが定められています。

つまり、家族信託を利用する場合には、新しく信託専用の銀行口座を作成するか、既存の口座の残高を0円にしてから、その口座を信託専用の銀行口座として利用を始めることになります。

この信託専用の銀行口座のことを、「信託口口座」と呼びますが、この信託口口座は、どの銀行で作成するのがよいのでしょうか?

この記事では、信託口口座の種類や、銀行の選び方について、説明していきます。

信託口口座には、3つの種類が存在する

信託口口座には、3つの種類があります。
①信託勘定(しんたくかんじょう)口座
②信託屋号(しんたくやごう)口座
③受託者個人名義口座
の3種類です。

どの種類の口座でも、受託者名義の口座であることに変わりはありません。
まず、この3つの種類の口座について、その違いと特徴をご説明しましょう。

① 信託勘定口座

この口座は、家族信託を組成したときに作った契約書を提出して作成する口座です。

家族信託の契約書を提出して作成するため、信託法や、契約書の通りの口座の運用が可能になります。

口座の名義人の表記も特徴的で、「信託口」という表記が入ることが一般的です。
例)○○信託受託者○○信託口、等
※財産を預ける人と預かる人の名前が両方入る。

例えば、受託者が死亡した場合、通常の口座であれば、受託者の相続人が戸籍を提出して相続手続きを行う必要があります。

しかし、信託勘定口座であれば、相続手続きを経ることなく、口座に預金されている資金を次の受託者へ引き継ぐことができます。

信託勘定口座は、銀行が、家族信託の利用者用に特別な扱いをしてくれる口座ということです。

信託勘定口座は、銀行の中でもごく一部しか取扱いがありません。
また、作成の際に5万円~10万円程度の費用が掛かる場合もあります。

② 信託屋号口座

信託勘定口座は、非常に限られた銀行でした作成ができないため、実務上、利用がしづらいのが現状です。

銀行によっては、信託勘定口座は作れないけれど、口座名義人の表記に「信託口」と入れることであればできるという場合があります。

このような場合に作成するのが「信託屋号口座」です。

信託口という表記が口座名義人表記に入るので、一目見ただけで信託口口座だと判明するのが作成のメリットです。
口座名義人の表記は、信託勘定口座と同様です。
例)○○信託受託者○○信託口 等
※財産を預ける人と預かる人の名前が両方入る。

口座自体は、普通の口座と同様のルールが適用されますので、受託者が死亡した場合には、通常の相続手続きを経る必要があります。
この信託屋号口座の開設ができる銀行もかなり限定されています。

③ 受託者個人名義口座

この口座は、通常の個人名義の口座となります。

本来であれば、「信託勘定口座」や「信託屋号口座」といった口座を開設することをお勧めしますが、家族信託に対応している銀行は多くはなく、「信託勘定口座」や「信託屋号口座」を開設してくれる銀行も一定数しかないのが現状です。

そのため、これらの口座を開設することができない場合には、受託者が新たに開設した個人名義の口座をもって、信託口口座とします。

受託者の個人名義の口座ですから、一見、この口座が信託口口座なのかどうか判別がしづらいというデメリットがあります。

また、通常の口座ですので、受託者が死亡した場合には、通常の相続手続きを経る必要があります。

銀行の選び方のポイントは3つ

①財産を預ける人の意思

家族信託は、財産を預ける人のために行う制度です。

決して、財産を預かる家族が、預かったお金を私的に使うことがあってはいけません。

また、そのようなつもりはなくとも、財産を預ける人からすると、自分の大切なお金を家族とは言え、自分以外の人の名義の口座に入金されることを不安に思う方も多くいらっしゃいます。

このような、預ける人の感情面に配慮するのであれば、口座名義人表記に、預ける人の名前と「信託口」という表記の入った信託勘定口座や信託屋号口座を利用するのがよい場合があります。

銀行によっては、信託勘定口座の作成は、専門の司法書士を介した依頼しか受け付けないという取り扱いにしている例もあります。

そのため、まずはどの銀行がどういう口座を作れるのかを、司法書士などの専門家に相談するとよいでしょう。

②手続きに対応しているかどうか

信託勘定口座を作成したいと思っても、該当のエリアに信託勘定口座を作ってくれる銀行がなければ作成ができません。

銀行にどのような口座の作成が可能かを確認する必要がありますが、銀行の担当者の方が、家族信託に関する知識を持っていないがゆえに、希望する口座の作成が可能かどうかを確認することすらままならないこともあります。

特に、信託勘定口座や屋号口座を作成する場合には、専門家を介して相談するのが良いでしょう。

③受託者の利便性

口座を作成する銀行を選ぶときには、信託口口座を管理する受託者の利便性を考慮する必要もあります。

  • 受託者の自宅から近くにATMや支店はあるか。
  • インターネットバンキングは使えるか。
  • ATMの預金の引き出し限度額は、いくらか。

など、十分に検討する必要があります。

信託口口座を管理するにあたっては、財産を預けている人が、口座の管理状況を確認したいときにはいつでも報告をすることができるように、その口座の入出金に関する情報を常に整理しておく必要があります。

インターネットバンキングなどを利用できれば便利ですが、紙の通帳で管理する場合は、記帳をこまめに行い、使った費用の領収書を保管することが重要になります。

こまめに記帳に行く負担を考えれば、受託者の利便性がいい場所の銀行を選ぶというのも重要なポイントです。

まとめ

ご説明してきたように、家族信託を利用して、お金を管理するための口座(信託口口座)を作成するにあたっては、銀行の選び方が非常に重要になります。

家族信託が少しずつ普及してきているとはいえ、この記事で使用している「信託勘定口座」や「信託屋号口座」などという呼称は、まだ、広く使われている表現ではありません。

そのため、初めて家族信託について検討する方が、銀行の窓口などで信託口口座の作成について相談をしようとしても、どのような口座のことについて話しているのか、担当者の方と話し合うのは至難の業です。

家族信託に関することであれば、司法書士等の専門家に相談し、一緒に手続きを進めていくことをお勧めします。

カテゴリー:家族信託

タグ:信託口口座銀行

この記事の監修者
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

司法書士
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

神奈川県出身/平成21年司法書士資格取得 トリニティグループの信託部門にて、実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。

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