「親が認知症になったら・・」「親が認知症の疑いがある・・」

そんな不安があるとき、介護・医療・財産の管理・相続対策など、考えることがたくさんあり、混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。

親の介護や相続などに関しては、慣れていないことも多く、「手続きが難しそう」「慣れていないから不安」と感じることもあるでしょう。

そこで本記事では、「親が認知症かも…」と思ったときにまずやるべきことを、わかりやすく解説していきます。

親御様の認知症で
お悩みの方へ

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家族信託の「おやとこ」では、認知症・資産凍結・相続などに悩むお客様に、司法書士等の専門家がご家族に寄り添い、真心を込めて丁寧にご対応します。

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家族信託・後見・遺言・相続など幅広い相談が可能です。

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親の認知症を放置しておくリスク

親の認知症を放置しておくリスクは、以下の通りです。

  • 事故や怪我にあう可能性が高まる
  • 薬の飲み忘れや生活習慣の乱れが起こる
  • お金の管理が適切にできなくなる
  • 親族内での相続トラブルが起きる可能性がある
  • 家族でも不動産や預金を扱えなくなる可能性がある(資産凍結)

事故や怪我にあう可能性が高まる

認知症が進行すると、交通ルールを理解できなくなったり、視界が暗い夜間に徘徊したりするようになり、交通事故のリスクが高まります。

車やバイクの運転などでは、判断力や視力などの低下により加害者側になってしまうというケースも考えられるでしょう。

警視庁が2017年に発表した調査 によると、2017年に死亡交通事故を起こした74歳以上の高齢者のうち、約半数が「認知症のおそれがある」または「認知機能が低下している恐れがある」と判定されました

認知機能の低下が死亡事故の発生に影響を及ぼしていると推察されています。

薬の飲み忘れや生活習慣の乱れが起こる

認知症が進行すると、持病で服薬している薬を「飲んだか飲んでいないか」ということ自体忘れてしまいます。その結果、飲み忘れや飲み過ぎにより生命の危険につながるおそれもあるのです。

また、認知症になると、食事や栄養に気を使わなくなり、好きなものしか食べなくなったり、まったく食事を取らなかったりします。その結果、健康を害したり、他の病気になるリスクが高まってしまいます。

参考: 食事場面における認知症ケアの考え方|認知症介護情報ネットワーク

お金の管理が適切にできなくなる

判断力や記憶力の低下により、「お金をどれだけ使ったか」「どれくらい残っているか」がわからなくなって使いすぎたり、キャッシュカードや現金をなくしたりすることがあります。

米国国立加齢研究所(NIA)により一部助成を受けている海外の研究においても、アルツハイマー病(認知症の一種)によって金銭管理能力の低下は早期に起こり、急速に悪化する可能性があると示唆されています。

参考: アルツハイマー病と金銭管理|公益財団法人 医療イノベーション推進センター

本来なら介護や入院費用に充てられるお金がなくなってしまうと、家族にも大きな負担がかかります。そうなる前に、親の金銭管理について十分把握しておくことが重要です。

親族内での相続トラブルが起きる可能性がある

認知症になった親の金銭管理を特定の家族が行っていると、その管理方法によっては他の親族との間で揉め事に発展する可能性があります。

財産の管理者が親や親族の知らないところで私的利用などをしないよう、金銭管理に関しては親族全体でクリアにしておかなければなりません

家族でも不動産や預金を扱えなくなる可能性がある(資産凍結)

親の認知症が進行し、判断能力がないと判断された場合は、原則家族であっても親が所有する不動産の売却や預金の引き出しができなくなります

つまり資産凍結の状態となり、そこから介護や入院の資金を捻出するには、「成年後見制度」の利用が必要です。

成年後見制度については後ほど詳しく解説しますが、資産凍結の状態は解除できるものの、不動産の売却による介護資金の捻出や、柔軟な財産管理が難しくなってしまいます

ここまでご紹介した「親の認知症を放置しておくリスク」を回避し、親の認知症に最善の形で向き合い、対処するためにはどうすればよいのでしょうか。

以下では、「親が認知症かも…」となったときにやるべきことを解説していきます。

「親が認知症かも…」まずやるべきこととは?

「親が認知症かも…」というときにまずやるべきことを、5つ解説していきます。

  • 家族全員で認知症について理解する
  • 医療機関を受診する
  • 地域のサポートや介護サービスの利用を検討する
  • 預金や所有不動産などの財産を確認する
  • 最適な相続対策について確認・相談する

家族全員で認知症について理解する

まずは、家族が「認知症」について理解することが非常に重要です。

認知症になった親に対する対応方法には、悩む部分も多いでしょう。

しかし「病院に行ってほしい」「じっとしていて」など、手当たり次第にこちら側の主張ばかりしていると、親との関係性も悪くなり今後の対策や手続きがうまく進まない原因にもなります。

そのため、まずは「認知症」の症状や種類、進行の過程などについて理解し、少しでも親の状態や心情を把握できるようにしましょう。

また、自分だけで抱え込むのではなく、親の兄弟やいとこなど、親族全体に相談して一緒に認知症について勉強していくことで、精神的な負担も和らぎ前向きに考えやすくなるでしょう。

厚生労働省の「知っておきたい認知症の基本」 では、認知症の症状・予防法・相談先などがわかりやすく記載されています。ぜひ参考にしてみてください。

医療機関を受診する

医療機関をまだ受診していない場合は、親に受診を勧めてみましょう。

言いにくい部分もあるかもしれませんが、上述のとおり認知症は放置しておくと進行し、さまざまなリスクが発生するため、早めの対応が一番 です。

病院や医院に行くのが厳しそうであれば、地域の健康診断・地域包括支援センターなどを活用するのもよいでしょう。

地域包括支援センターの窓口はこちらから検索できます↓
全国の地域包括支援センターの一覧(都道府県のホームページへリンク)

地域のサポートや介護サービスの活用を検討する

認知症の診断の有無・重症度に関わらず、今後どのようなサポート・サービスを受けて行くのかについて検討しておくことは重要です。

子や親族にもそれぞれの家庭や仕事、生活があり、すべてを親の対応に捧げることは難しいためです。可能だとしても、特定の親族への負担が大きくなってしまう可能性もあるでしょう。

親や家族が受けられるサービスには、介護保険制度を使って受けられる「介護サービス」や、「自治体のサポート・支援事業」などがあります。

介護保険制度を使って介護サービスを受けるには、地域包括支援センターに申請のうえ、「要介護認定」を受ける必要があります。

しかし、該当しない場合も、地域のサービスや施設を利用できる場合があるため、自治体や地域包括センターに相談してみましょう。

以下は、介護保険制度を利用して受けられる介護サービスの例です。

  • 居宅介護支援:介護の相談・ケアプラン作成
  • 訪問介護:自宅でうけられる家事等援助サービス
  • 通所介護(デイサービス):施設等に通って受ける日帰りで受けるサービス
  • 通所リハビリ:施設等に行ってリハビリを受けるサービス
  • 認知症対応型通所介護:認知症の方に対応した、施設等に通って受ける日帰りサービス
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム):認知症の方に対応した、施設で長期間・短期間生活を送るサービス

介護サービスについて、詳しくは厚生労働省の「 公表されている介護サービスについて 」をご確認ください。

預金や所有不動産などの財産を確認する

親の財産(預金・不動産・株式など)について、その所在や名義、現状などできるだけ詳しく確認しておきましょう。

万が一、親が認知症で「判断能力がない」とみなされた場合、家族であっても親の財産を動かすことができなくなってしまうため です。

何も準備せずに、予期せぬ資産凍結が起こってしまうと、せっかくの親の預金や不動産などが凍結状態となり、日常生活や介護、未来の相続対策などに大きな影響を与えます。

親本人を含め、親族全体が納得のいく財産の管理や未来の相続を行えるように、なるべく早く財産状況を確認し、対策を打つようにしましょう。

最適な相続対策について確認・相談する

認知症による資産凍結が起こってからでは、相続対策についてできることが非常に限られてしまいます。

「相続対策」には、「節税対策」の意味もあれば、「親族内のもめ事対策」の意味もあります。

「節税対策」の面では、早いうちから親の財産について把握しておくことで、相続税がかからないように、生前贈与などさまざまな制度を駆使した税金対策が可能です。

「親族内の揉め事対策」の面では、誰か一人が親の財産を管理するのではなく、元から親族全体で把握して話し合っておくことで、不信感もなく親本人の想いを尊重した上で、クリアな財産管理を実現できます。

できる限り親が元気なうちに、また認知症も軽度なうちに、本人の希望や想いを尊重し、親族も踏まえて家族会議を行い、資産の管理や運用について相談しましょう。

「親が認知症かも・・」考えるべき財産管理・相続対策

親に認知症の兆候が見え始めたときに考えるべき、財産管理・相続対策は主に以下の5つが挙げられます。

  • 成年後見制度
  • 家族信託
  • 遺言書の作成
  • 生前贈与
  • 金融機関への相談

成年後見制度

成年後見制度とは、認知症や知的障害などにより、自分の財産の管理や医療・介護の利用・契約などについて一人で決めることができない状態の方を、法的に保護・支援するための制度です。

保護・支援される人を「被後見人」、保護・支援する人を「成年後見人」といいます。

「成年後見制度」には、「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。

すでに親の認知症が進行しており、判断能力の欠如が見られる場合は、「法定後見」、まだ親が元気だが、将来に備えて後見人や後見内容を決めておきたい場合は「任意後見」を利用します。

法定後見 任意後見
使い分け すでに認知症が進行していて判断能力が欠けている場合 まだ元気だが今後認知症が進行した時に備えておきたい場合
成年後見人の選任方法 家庭裁判所が成年後見人を選出する 本人が将来に備えて成年後見人を指名する
後見の内容 家庭裁判所の指針に従う 本人が契約内容(成年後見人に代わりにしてもらいたいこと)を決める
後見監督人 後見監督人の選任は裁判所が判断する 家庭裁判所により選任された後見監督人が必須

成年後見人の主な役割は、「財産管理(預貯金や不動産などの管理)」と「身上監護(生活や介護・医療に関する支援)」です。

預金の引き出し、不動産等財産の管理、介護施設や医療サービスの契約など、事務的な業務が主となります。

成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、認知症や知的障害などで判断能力が低下した人の契約や財産管理のサポートを行う制度です。「成年後見人」を家庭裁判所から選任してもらい、本人に代わって様々な手続きを行なってもらいます。この記事では成年後見制度についてわかりやすく説明し、同時に最近注目を浴びている家族信託との比較についても解説します。
【完全版】成年後見制度とは?司法書士がわかりやすく解説

成年後見制度は認知症になった親、なりそうな親を守るための画期的な制度ですが、「後見人は家庭裁判所への定期報告が必要 」「弁護士など専門家が関わる場合は毎月数万円の報酬の支払いが必要 」など、さまざまな制限や負担も発生するため、利用に関しては専門家に相談するなど慎重に検討しましょう。

一方、成年後見制度とは異なり、裁判所や専門家の介入なく、家族だけで柔軟な財産管理が実現できる制度が、次でご紹介する「家族信託」です。

家族信託

家族信託は、「信頼できる家族に対して財産を託す 」という意味であり、一般的には親が子に対し、自分が元気でなくなった時に備えて財産の管理や運用、処分を任せることが可能となります。

家族信託の仕組みは、下の図のようになっています。

家族信託の仕組み

家族信託の主な登場人物

  • 委託者:財産の所有者で信託する人
  • 受託者:財産の管理運用処分を任される人
  • 受益者:財産権を持ち、財産から利益を受ける人(=委託者)

「財産をどう管理・運用してほしいか」「亡くなった後はどう分与して使ってほしいか」など、本人や家族の想いを反映した契約を自由に結べるため、積極的な財産運用や相続対策も実現できます。

家族信託をご検討の方は、実績や信頼を見極めて司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

家族信託は、「委託者(親)」と「受託者(子)」の契約行為であるため、当事者(親子両方)に意思能力がなければなりません。

ただし、認知症の疑いがあったり、医師に診断された場合でも、直ちに家族信託が不可能になるわけではありません

契約能力があるかどうかは、その時の本人の状況をみて判断されるため、まずは早めに司法書士などの専門家に相談してみて下さい。

家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ法的制度です。認知症が進行し意思能力を喪失したと判断されてしまうと、銀行預金を引き下ろせない、定期預金を解約できない(口座凍結)、自宅を売却できないなどのいわゆる「資産凍結」状態に陥ってしまいます。そのような事態を防ぐために、近年「家族信託」が注目されてきています。この記事では家族信託の仕組みやメリット、デメリットをわかりやすく解説します。
家族信託とは?わかりやすくメリット・デメリットを徹底解説します

遺言書の作成

遺言書は、親が亡くなった後の財産分与について本人の意思を伝えることができる手段です。

適切な遺言書を作成しておくことで相続トラブルを防止し、スムーズな遺産分割を行えます。

遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
親本人が自筆で作成する。
費用はかからないが内容を誤ると無効・争いになるケースがある。
公証役場で文章の作成を依頼し、保管してもらう。
本人の他に証人2名が必要であり、費用がかかる。
本人が遺言を作成後、公証役場にて遺言の存在を証明する。
本人の他に証人2名が必要で、費用がかかる。

遺言書は、「親が亡くなった時=相続が発生した時」に初めて効力が発生します。

認知症になった際の財産管理に効果を発揮する成年後見・家族信託とは異なる点に注意が必要です。

また、文書の形式に誤りがあれば無効になってしまうため、遺言書を作成する際には司法書士や弁護士などの専門家への相談をおすすめします。

生前贈与

生前贈与とは、主に相続税の節税対策として行う手段です。

何も対策せずに親が亡くなった場合、親の財産を相続した親族は相続税を納める必要があります。

そこで、生前贈与を活用すれば、「課税対象となる相続財産」が減り、相続税を節税できます。

相続同様、贈与された財産に対しても贈与税は課せられますが、一定の条件を満たすと非課税になる「暦年課税」という方法があります。

▼暦年課税
贈与を受ける人(子や孫)が1月1日〜12月31日までの1年間で贈与された財産が110万円以内であれば非課税になるしくみ。贈与税は、110万円を超えた分に課税される。

つまり、相続したい財産がある場合、生前に1年間110万円以内ずつ子や孫に贈与しておけば、相続税対策になるということです。

ただし、贈与も法律行為です。すでに認知症と診断され、意思能力がない場合は贈与が無効となるため、注意しましょう。

特に、親に認知症の兆候が見られる際には、一度専門家に相談することをおすすめします。

金融機関への相談

各金融機関でも、認知症による資産凍結対策や、相続対策に関する商品が提供されています。

例えば、親が事前に「預金の引き出し」や「年金の受け取り」などの手続きを行う代理人を立てておき、認知症と診断された場合に代理人による手続きができるようにしておくサービスなどがあります。

金融機関によってご利用の条件やサービス内容は異なるため、利用している金融機関に相談してみましょう。

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資産凍結対策は専門家への早めの相談が吉

親が認知症になり、意思能力・判断能力を欠いてしまった場合には、預金や不動産など親の貴重な財産が動かせなくなる「資産凍結」の状態へ陥ってしまいます。

そうならないために、本記事で解説した「成年後見制度」「家族信託」「遺言書の作成」「生前贈与」などさまざまな対策方法があります。

ただし、いずれも法的な行為であるため、しっかり知識を持っていなければ誤った方向へ進めてしまう可能性があります。

認知症・財産管理・相続などに特化した専門家に相談することで、「どのようにすればより良い相続対策ができるのか」について提案を受けられたり、早めの対処で親族間トラブルを防げたりします。

ぜひ、「親が認知症になったら…」「親が認知症かも…」と不安な方は、自分だけで抱え込むことなく、まずは専門家の無料相談を活用してみてはいかがでしょうか。

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家族信託の「おやとこ」では、認知症・資産凍結・相続などに悩むお客様に、司法書士等の専門家がご家族に寄り添い、真心を込めて丁寧にご対応します。

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