認知症で銀行口座が凍結される!事前対策と口座凍結後の対応とは

認知症で銀行口座が凍結される!事前対策と口座凍結後の対応とは

最終更新日 更新日: 公開日 公開日:

高齢で認知症になってしまうと預金口座が凍結されるという話を耳にすると思います。預金口座が凍結されてしまうと、どうなってしまうのでしょうか?

この記事では、預金口座が凍結されてしまったら一体どうなるのか、具体的に解説していきます。

認知症による預金口座の凍結とは

預金口座の凍結とは、銀行等の金融機関との取引に制限がかかった状態を指します。キャッシュカードでの引出しや振込みによる出金ができなくなる状態です。

例えば、口座名義人が亡くなった場合、同じように預金口座の凍結が行われます。

金融機関が本人の死亡を知ると、預金口座は全面的に凍結されます。その口座に入金することもできなくなりますし、引出しや公共料金等の自動引落しも出来なくなります。

これに対し、認知症による口座の凍結は少し異なり、一部凍結といったイメージです。

相続発生時には全面的な凍結となりますが、認知症による口座凍結の場合は、自動引落しやその口座に対する入金は、引き続き可能なケースが多いようです。

金融機関により取扱いの方法に違いはあるでしょうが、公共料金の引き落としや年金の振り込みについては処理してもらえる、ということになります。

しかし口座からの引出しや振り込みの額によっては、窓口に口座名義人本人が行く必要があります。

金融機関の職員との面前で手続きについて意思確認が行われるため、そこで口座名義人本人の判断能力に疑いがあれば、引出し等を拒否されてしまうというものです。

どういう場合に口座が凍結される?

口座名義人が認知症であると診断された場合、死亡した時と大きく異なる点は、診断によって即、口座が凍結されるわけではないという点です。

ただし、例えば以下の3つの場合など、何らかの方法で金融機関にそのことが知られ、判断能力について低下が疑われると、状況に応じて口座が凍結されます。

①家族が不安に思って、積極的に認知症のことを金融機関に相談した場合

②口座名義人が窓口に行き、手続きを行おうとしたが、その際に金融機関に判断能力の低下について知られた場合

③家族がATMで1日の限度額を引出すなどしていた点を金融機関に不審に思われ、本人確認などがなされ、認知症について知られた場合

金融機関にばれないだろうと思っていても、預金口座からまとまった資金を払い出す際などは窓口での手続きが必要となります。

本人と窓口に行って、家族が家族であるという身分証明書を提示しても、預金手続きについては本人が行う法的行為であるため、すべて本人の意思確認が行われます。金融機関に知られてしまうケースは多いのです。

● 認知症と預金の凍結について
金融機関が認知症に気付くのはいつ?

凍結された後どうすれば解除できるのか

口座が凍結されてしまった場合でも、解除する方法はあります。

成年後見人の選任を家庭裁判所に申立てて、選任してもらえば、成年後見人が口座名義人の代理人として法的に正式に手続きを行うことができるようになります。

後見人は認知症と判断された後に手続きが可能な制度です。

ただし、成年後見人はその預金口座の凍結解除のためだけに選任するということはできません。

一度選任されると、口座名義人本人の全財産について管理し、代理していくものとしてスタートし、原則として、途中でやめることはできないのです。

また、家庭裁判所に申し立てて利用開始までには数か月を要するのが一般的です。すぐに資金が欲しい場合でも時間がかかることを想定しておかなくてはなりません。

また、法律の専門家が成年後見人や後見監督人に就任すれば、報酬が必ず必要となります。費用面も含めて、慎重な検討が必要です。

● どんな問題が起きる?
認知症患者の口座凍結問題

口座を凍結される前に他の対策はある?

認知症の傾向がある、軽度の認知症だと判断された、という段階で家族ができる対策はあります。

代理人取引制度

まず1つ目の方法として、金融機関が代理人の登録制度を用意している場合、その制度を利用するという方法です。

代理人登録制度は、あらかじめ家族などの代理人となる人を本人が指定して届出をしておけば、その代理人が本人の代わりに引出しや振込み等の取引をすることができるとするものです。

この制度を導入している金融機関に限られますが、あらかじめ届け出て登録した代理人であれば手続きができますので、一定程度の対策になります。

しかし、口座名義人本人が認知症になり判断能力がなくなってしまった後は、本人の意思確認ができない状態として利用が制限されるケースがあり、必ずしも万全の方法とまではいえないでしょう。

家族信託制度

2つ目の方法は、家族信託です。

家族信託は、認知症になってしまう前に家族信託の契約で財産の信託をして受託者である家族に預ける仕組みです。

早めに手続きできれば、自身が認知症の悪化により判断能力を喪失したとしても、受託者が手続きをできるため、預金口座凍結というリスクはなくなります。

家族信託には特徴とともにメリット・デメリットがありますし、デメリット面を解決する方法もあります。

判断能力があるうちに実行できる方法として、家族で財産を守る手段として利用者が増えていますので、ぜひ利用を検討してみてください。

● 家族信託について詳しくはこちら
家族信託とは?分かりやすく解説

認知症の気配を感じたら早めに備えを

認知症といっても軽いものから重いものまで程度があり、認知症だからといって、即、預金口座を凍結されるわけではありません。

ただし認知症との診断にかかわらず、預金口座本人の判断能力が低下したと判断されると、口座が凍結されてしまう可能性が高くなります。

まとまった資金の引き出しはできなくなりますので、早めに対策をとる必要があるでしょう。

このような場合、後見人などの制度を利用する方法もありますが、判断能力が低下する前に契約できる家族信託であれば、預金口座の取引も家族(受託者)に依頼することができ、そのほかの財産の管理についても依頼することができます。

高齢者における認知症発症の割合は65歳以上の5人に1人、85歳以上については半数以上が認知症になるという厚生労働省の推計もあります。

高齢の人、高齢の家族を抱える人にとっては避けては通れません。

家族信託については手続きに難しい箇所もありますので、万が一の時に備えて早めに専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

カテゴリー: 認知症と家族信託

この記事の監修者
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

司法書士
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

神奈川県出身/平成21年司法書士資格取得 トリニティグループの信託部門にて、実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。

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