「通帳がなくなった」という問い合わせが、金融機関によく入ると聞きます。

認知症と思われる高齢の顧客からは、1日に何度も電話が入ることもあるそうです。

認知症の家族が通帳を紛失してしまったら、どのような手続きが必要になるかについてご紹介します。

要約

  • 通帳を紛失してしまった場合は、本人から銀行に申し出る必要がある
  • 通帳がない事を認知症で本人も分かっていない場合、本人と家族で窓口に行く必要がある
  • 銀行は、本人が認知症であることが分かったら口座を凍結する
  • 口座凍結前に家族信託、口座凍結後なら成年後見制度の活用が必要
  • 何もしないままだと成年後見制度を利用するしかなく、家族がお金を引き出すことはできない
  • 可能であれば、専門家に早めに相談し、家族信託を活用した認知症・口座凍結対策を

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通帳を再発行する場合の手続き

まず、金融機関での一般的な手続きを説明していきます。

(1)通帳を紛失した場合は、その旨を本人から銀行に申し出ます。
(2)電話や窓口でこの申し出を受けると、銀行は通帳が使えないように、その場で通帳の利用停止の手続きを取ります。
(3)通帳が見つかれば利用停止を解除し、見つからなければ再発行手続きへと移ります。

再発行の手続きは窓口での取り扱いになることが多いです。

口座名義人の身分証・届出印の持参が必須で、手数料もかかります。

キャッシュカードを紛失した際も、同様の手順で手続きを行います。

窓口で手続きを行う手間や時間・手数料を考えると通帳・キャッシュカードの再発行手続きはなるべく避けたいところです。

「紛失した!」と気付いたら念のため金融機関に届出をし、もし見つかったら発見した旨の手続きを窓口で行いましょう。

通帳を再発行しないままでも大丈夫なのか?

通帳がなくてもキャッシュカードがあれば、ATMで一定額の引き出しは可能です。

通帳の再発行手続きが大変であれば、通帳の所在を探しながら入出金はキャッシュカードで行う、というのも選択肢の1つです。

ただし、通帳があればできるはずの入出金の日付や金額を残すことができません。

将来、相続が発生した時に備えて、他の相続人と揉めないように入出金の履歴を明細とともに残しておく方法がベストだと言えるでしょう。

通帳の取引履歴は、金融機関により一定期間経過後にデータが圧縮される場合もあります。
ATMの利用明細は都度、保管しておくことをおすすめします。

また、引き出し限度額と同等の金額を立て続けに引き出していると、銀行によっては取引に関する確認連絡が入る場合があります。

その際に、本人の意思能力について疑義があれば口座凍結などの対応をされる可能性もあります。

あくまでも本人に確認の上で、本人の意思に基づいた入出金を行いましょう。

認知症で「通帳がない」ことを本人が理解できない場合

本人が認知症で、介護をしている家族が通帳の紛失に気付いたとします。

しかし本人に通帳がないことを伝えても、なかなか理解が難しい場合もあるでしょう。

このような場合も通帳が必要であれば、再発行の手続きが必要です。

銀行で通帳再発行の届出書を家族が受け取り、自宅で本人が記入して手続きを行う方法もありますが、金融機関により取り扱いは異なります。

手続きの際に銀行から本人宛に各種確認が入り、意思確認などを行うこともあるため、できるだけ本人を伴って窓口に行った方が手続きが早く済む傾向にあります。

銀行が本人が認知症であることを知った場合

「病院で認知症と診断されたらすぐに銀行口座が凍結するの?」と疑問をもつ方が多いでしょう。

病院で認知症と診断されても、すぐに口座が凍結されることはありません

病院が銀行と連携しているわけではないため、直接的に銀行が知ることはないからです。

本人に意思能力があり、窓口で手続きができる状態であれば、引き出し・振り込みなどの手続きが可能です。

一方、認知症と診断されていなくても、意思能力を欠いているとみなされると、銀行手続きを含む法律行為が一切できなくなります。

各種金融機関・支店・担当者ごとの判断により対応は変わりますが、手続きにおける本人確認や意思確認は年々厳しくなっています。

認知症と診断された場合、または意思能力が低下してきた時に起こること・できることを確認していきましょう。

銀行口座が凍結される

銀行は、本人の意思能力によって預金管理ができない状況であることが分かると、一般的には口座を凍結し利用停止とします。

このような状況になると、後見人を選任しなければ本人の財産を動かすことができなくなります。

後見人制度は申立てから利用開始までに数か月かかり、裁判所が選んだ後見人がお金の管理をするため、家族が自由にお金を下ろすことができなくなるなど、家族にとっては財産管理の面で不便さが発生します。

従って、銀行口座の凍結をされてしまう前に、できる限りの対策をしておくことが望ましいと言えます。

高齢で認知症になってしまった方の預金口座が凍結されたという事例が増えてきました。銀行は口座名義人を守りトラブルを防ぐために口座を凍結しますが、口座が凍結されてしまうとどうなってしまうのでしょうか。今回は預金口座が凍結されてしまった際の解除の仕方や防ぎ方を解説します。
認知症が銀行にばれたら口座が凍結?理由や対処法を詳しく解説

銀行口座の凍結を防ぐために家族信託で事前対策

家族信託とは「認知症による資産凍結」を防ぐ法的制度 です。

預貯金や不動産などの財産について、管理・処分を信頼できる家族に任せることにより、認知症による資産凍結を回避する仕組みです。

家族信託をしておくことで、認知症などで意思能力を失ってしまった場合でも、子や孫に財産を管理・運用してもらうことができるのです。

金銭の信託であれば、信託契約後に信託財産を管理するための口座を作成します。
これを信託口口座(しんたくぐちこうざ) といいます。

一般的な普通口座と異なるのは、口座名義が「委託者○○ 受託者△△ 信託口 」のように委託者と受託者が連名で記載される点です。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

家族信託を利用する場合、信託法で受託者は「分別管理義務」を負い、信託された財産と個人の財産とを分別して管理しなければならないとされています。この記事では信託口口座の特徴や口座の開設方法などについてご紹介しますので参考にして下さい。
家族信託の口座(信託口口座)のつくり方について解説

家族信託を行うと、子が管理する信託口口座に金銭が移るため、子が銀行窓口での手続きを行うことが可能になるのです。

また、家族信託では金銭だけでなく不動産(自宅等)等も信託することが可能です。
認知症になると、銀行口座だけではなく、自宅などの不動産も凍結(売却・処分などができなくなる)されるため、昨今では家族信託を利用する方が急増しています。

家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ法的制度です。認知症が進行し意思能力を喪失したと判断されてしまうと、銀行預金を引き下ろせない、定期預金を解約できない(口座凍結)、自宅を売却できないなどのいわゆる「資産凍結」状態に陥ってしまいます。そのような事態を防ぐために、近年「家族信託」が注目されてきています。この記事では家族信託の仕組みやメリット、デメリットをわかりやすく解説します。
家族信託とは?わかりやすくメリット・デメリットを徹底解説します

認知症に対する銀行の動き

日本では高齢化が大きな社会課題となっていることもあり、銀行側も認知症に備えた手続き方法を案内してくれることも増えてきました。

例えば本人が銀行に出向けない状況の場合も、引き出したお金の使途が明確となる書類(例えば、介護費や医療費の請求書)を家族が持参すれば、家族による引き出しに応じてくれる、といった銀行も出てきているようです。

また一部の銀行のみではありますが、本人の意思能力のある段階で家族が代理人登録を行い、本人の認知症が進行した後も代理人の権限によってお金を引き出せる、といった独自の制度を設けている銀行もあります。

さらに、銀行によっては代理人カードを設定していることもあります。

本人用・代理人用の2枚のキャッシュカードが交付され、代理人は自分のカードを持つことができるというサービスです。

ただしこれは、本人が最低限の意思能力を有していることが前提となっているサービスで、口座名義人が意思能力を喪失した後でも利用できるものではありません

本人が高齢により自力移動が難しいケースや、細かい文字を書くなどの作業が困難な場合に、それをサポートするための仕組みです。

本人の意思能力が低下し、預金管理が困難な状態であると銀行側が判断すれば、後見人の選定をすすめられ、後見人が決まると代理人カードは回収されてしまう点には注意が必要です。

もし本人がお金を引き出せない状況で、介護費用など資金の引き出しが必要となった場合はどのような取り扱いになるのか、認知症が進行する前に利用先の銀行へ確認しておくことも重要です。

銀行のサービスで「代理人カード(家族カード)」がありますが、高齢の親の認知症対策として十分と言えるのでしょうか? この記事では、本人のキャッシュカードを家族が管理するリスク、銀行の「代理人カード」、「家族信託」などを比較しながら司法書士が詳しく解説します。
銀行の代理人カードと家族信託、認知症対策になるのはどっち?

認知症などのリスクを想定し、早めの対策を

認知症による口座凍結問題が社会課題化している中、銀行も柔軟な対応を行うようになってきています。

しかしながら、認知症に備えた対策をしないでいると、認知症になった後に成年後見制度を利用するしか方法が残されていない、という状況に陥る可能性が大いにあります。

したがって、家族信託などの認知症対策をなるべく早くしておくことをおすすめします。

高齢者の財産を本人以外が管理するには、家族信託と成年後見制度があります。家族信託と成年後見制度は特徴が異なるため違いについてしっかり理解することが重要です。家族信託と成年後見制度の違いや、どちらを使うべきか?について解説します。
家族信託と成年後見の違いは?どちらを使うべき?

「我が家は家族信託をする必要があるだろうか」
「親が認知症になったときはどうすればいいのか」

といった悩みや疑問についてもご相談を受けています。

ぜひお気軽にお問合せください。

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よくある質問
認知症の親が通帳を無くしました。どうしたらいい?

原則として、通帳を紛失してしまった場合は、本人から銀行に申し出る必要があります。

ただし注意すべきは、認知症の方の銀行口座は、本人保護のため口座凍結の対象になるということです。

認知症になった場合に、すぐに口座が凍結されるわけではありませんが、金融機関によっては厳しく対応されるところもあります。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
▶認知症の親が通帳を失くした場合の再発行方法|家族信託で早めの対策を

キャッシュカードで認知症の親の代わりにお金を下ろしてもいい?

通帳を紛失してしまったが、キャッシュカードは手元にある、ということも多いと思います。

通帳がなくてもキャッシュカードがあれば、ATMで一定額の引き出しは可能です。

しかし、本人の了解なく、本人以外の人がキャッシュカードを使用することはNGです。

将来、相続が発生した時に、他の相続人とお金の使途で揉めることもよくあります。入出金の履歴が残る通帳をしっかり管理しておく方が良いと言えるでしょう。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
▶認知症の親が通帳を失くした場合の再発行方法|家族信託で早めの対策を