認知症の親が通帳を失くした場合の対処法

認知症の親が通帳を失くした場合の対処法

最終更新日 更新日: 公開日 公開日:

金融機関に「通帳がなくなった」という問い合わせは、よく入るといいます。認知症と思われる顧客から、1日に何度も電話が入るケースもあるそうです。

では、認知症の家族が通帳を紛失してしまったら…どういう手続きが必要になるのでしょうか。

どのように対処すればいいのか、金融機関側の対応についてもご紹介します。

通帳がないと判明した時の一般的な手続き

まず、金融機関での一般的な手続きについて説明します。

通帳を紛失してしまった場合は、その旨を本人から銀行に申し出ます。

電話や窓口でこの申し出を受けると、銀行は通帳が使えないように、その場で通帳の利用停止の手続きを取ります。

その後、通帳が見つかれば利用停止を解除し、見つからなければ通帳の再発行手続きをします。

再発行の手続きは窓口での取扱いになることが多く、口座名義人の身分証、届出印の持参が必須で、手数料もかかります。

キャッシュカードを紛失した際にも同じような手続きとなります。

窓口で手続きをする手間や手数料を考えると、通帳やキャッシュカードの再発行の手続きはなるべく避けたいところでしょう。

紛失した!と思ったら念のため金融機関には届け出をして、もし後で見つかったら発見した旨の手続きを窓口で取ると良いでしょう。

「通帳がない…」ことを本人が理解できない場合

本人が認知症で、通帳がないことを介護をしている家族が気付いたとします。しかし本人に通帳がないことを伝えても、なかなか分かってくれないようなケースもあります。

このような時でも通帳が必要であれば、再発行の手続きが必要です。

銀行で通帳再発行の届出書を家族が受け取り、自宅で本人が記入して手続きをするという方法もありますが、金融機関により取扱いは異なります。

手続きの際に銀行から本人宛に各種確認が入り、意思確認などを行うこともあるため、できるだけ本人を伴って窓口に行った方が手続きが早く済む傾向にあります。

親が認知症になる前にできる事前対策について、こちらの記事でも解説していますので参考にしてみてください。
認知症で親の銀行口座が凍結される!事前対策を解説

通帳を再発行しないままでも大丈夫なのか?

通帳がなくてもキャッシュカードがあれば、ATMで一定額の引き出しは可能です。

通帳の再発行手続きが大変であれば、通帳の所在を探しながら入出金はキャッシュカードでおこなう、というのも選択肢の1つです。

ただし、通帳があれば入出金の日付や金額を残すことができます。

将来、相続が発生したときに備えて、他の相続人と揉めないよう入出金の履歴を明細とともに残しておく方法がベストだといえます。

通帳の取引履歴は、金融機関により一定期間経過後にデータが圧縮されるケースもありますので、ATMの利用明細は都度、保管しておく方が良いでしょう。

また、引き出し限度額いっぱいの金額を立て続けに引き出していると、銀行によっては取引についての確認連絡が入ることがあります。

その際に、本人の意思・判断能力について疑義があれば口座の凍結などの対応をされる可能性もあります。

あくまで本人に確認の上、本人の意思に基づいた入出金を行うようにしましょう。

銀行が本人が認知症であることを知った場合

銀行は、本人の判断能力が預金の管理ができない状況であることを知ると、一般的には口座を凍結して利用停止にします。

親族に対して後見人制度の利用を勧める可能性があり、このような状況になると、後見人を選任しなければ本人の財産を動かすことができなくなります。

後見人制度は申立てから利用開始までに数か月かかりますし、裁判所が選んだ後見人がお金の管理をするため、家族がお金を下ろすことができなくなります。

家族としては不便さもある制度なのです。

預金口座の凍結をされる前に出来る対策をしておきましょう。
【認知症と資産凍結】銀行など金融機関が認知症に気付くのはいつ?

最近の銀行の動き

最近は高齢化が社会全体の問題となっていることもあり、銀行側でも認知症に備えた手続き方法を案内してくれることもあります。

具体的には、本人が銀行に出向けない状況の場合であっても、引き出したお金の使途が明確となる書類(例えば、介護費や医療費の請求書)を家族が持参すれば、引き出しに対応してくれる銀行も出てきています。

また、一部の金融機関ですが、本人の判断能力のある段階で家族が代理人登録をし、本人の認知症が進行した後も、代理人の権限によってお金をおろせるような独自の制度を設けている銀行もあります。

銀行によっては代理人カードを設定している所もあります。

キャッシュカードが本人用と代理人用の2枚交付され、代理人は自分でカードを持ち、使用することができるというサービスです。

ただしこれは、本人が最低限の意思能力は有していることが前提となっているサービスで、口座名義人が意思能力を喪失した後でも利用できるものではありません。

本人が高齢により自力移動が難しいケースや、細かい文字を書くなどの作業が困難な場合に、それをサポートするための仕組みとなります。

本人の意思能力が低下し預金の管理ができなくなっていると銀行側が判断すれば、後見人の選定を勧められるでしょうし、後見人が決まると代理人カードは回収されてしまう点に注意が必要です。

もし、本人がお金を引き出せない状況になり、介護費用などの資金の引き出しが必要となった場合にはどのような取扱いになるのか、認知症が進行する前に利用先の銀行へ確認しておくことも大切な情報収集です。

認知症などのリスクを想定して早めに対策を

認知症が社会問題として存在感を増すなか、今まで大きな問題となっていた預金凍結に対して、金融機関側も成年後見に頼らないで済む対応をある程度進めてきています。

しかしながら、まだまだ十分制度が整っているとは言えず、何の対策もない状態でいると、成年後見制度しか方法がない、という状況に陥ってしまう可能性もあり得ます。

そのため、認知症などのリスクを想定して、家族信託や財産管理契約といった法的な準備や対策をしておく必要があります。

私たちトリニティグループでは、家族信託はもちろん、認知症対策のご相談も数多く受けております。

家族信託の仕組みについては、こちらの記事で解説しています。
家族信託とは?わかりやすく解説

我が家は信託する必要があるのだろうか、親が認知症になったときはどうすればいいのか、といった悩みや疑問についてもご相談を受けています。ぜひ気軽にお問合せください。

カテゴリー: 認知症と家族信託

この記事の監修者
浅沼 礼奈(あさぬま れいな)

司法書士
浅沼 礼奈(あさぬま れいな)

東京生まれ、新潟・鹿児島・千葉育ち 年間80件近くのご家族にお会いし、家族信託・相続・事業承継のご相談に対応。それぞれのご家族オリジナルの財産管理・承継の仕組みをお客様と一緒に考えます。

わたしたちについて ≫

完全版 大切な家族の未来を守る家族信託とは?家族信託の仕組みから専門家のアドバイスまで!家族信託を検討中の方向け。詳しくはこちら 完全版 大切な家族の未来を守る家族信託とは?家族信託の仕組みから専門家のアドバイスまで!家族信託を検討中の方向け。詳しくはこちら
電話 電話で相談 メール お問い合わせ

電話受付時間 10:00-19:00/土日祝も対応