この記事をご覧になっている皆様の中にも、実際に本格的な介護がスタートし、試行錯誤の日々を送っているご家族もいらっしゃると思います。

もっと前に、介護が必要になりそうだと思った段階で対策をしておけばよかった、と振り返る方もいるのではないでしょうか。

  • 家族信託を利用したいけれど親の入所先で面会禁止が続いている。
  • 預金口座を凍結されそう…分かっていたけれど、これからどのような対策をしたらいいのか。

介護の必要度や認知症の進行スピードは人それぞれであり、想定よりも早く介護生活に入ってしまったというケースもあるでしょう。

今回は、介護とともに直面しがちな資産管理について、入所している親との信託契約の難しさや金融機関での取扱いについてご紹介します。

【参考記事】
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資産管理の手続きで面会・外出が必要

すでに親は介護施設に入っているけれど家族信託を組みたいというご要望がある場合、どのような手続きになるのでしょうか。

その他、資産管理のため、遺言書や任意後見制度(成年後見制度の1つ)の利用を検討しているケースもあると思います。

各、契約や書類作成には

  • 家族信託などの契約には本人(資産保有者)および関係者の意思能力の確認が必要
  • 契約を公正証書にする場合は公証役場へ出向く必要がある
  • 預貯金の信託手続きの場合、本人が信託口口座へ資金移動する必要がある

これらの条件があります。

また、公正証書は家族信託や遺言書の作成、任意後見制度を利用する場合などに必要な手続きです。

家族信託を例にすると、従来から介護施設に入所中の契約も可能でした。

通常は相談を受け付けている司法書士が面談に伺って家族信託の説明・確認の打ち合わせをしておりました。

しかし、感染症の拡大などの事情により、介護施設の出入りが厳しく制限されるケースがあります。

家族ですら面談が難しく、ましてや本人の外出は許可も出ないことがあり、かなり制限されているようです。

面会や外出が制限されているとどうなるのか?

上記のように、家族信託や遺言書、任意後見人などの各種手続きには面会や外出が必要です。

面会できなければ、家族信託などの各種契約も難しく、公証役場や金融機関に行きたくても外出許可が下りないのであれば手続きすらできません。

このように、日程や時間に制限が多くなった社会情勢のため、いろいろと諦めざるを得ないケースや、手続きに二の足を踏むケースもあるのではないでしょうか。

今回、我々が携わらせていただいている案件の中で、介護施設の方を説得した事例や金融機関の本人確認を突破した事例があります。本日はその事例についてお話します。

面会制限中の許可申請は専門家から

入所している方との信託契約で介護施設から許可を得た事例からご紹介します。

まず、入院先が病院などの医療機関の場合は、面会等の制限が非常に厳しく取り扱われています。病院の許可が得られない場合は信託関連の話を進めていくということは残念ながら出来ません。

一方、介護施設については、手続き等の事情の説明により面談を許可してくれる場合もあります。遺言や家族信託など、資産や相続に関する手続きについて説明の上で交渉することになります。

ただし、許可をもらうには、その交渉は担当している専門家が直接コンタクトを取る方が伝わりやすい傾向にあります。

専門家はあくまで第三者ですが、資産管理の必要性も含めて施設側に説明をすることで了承してくださることが多いようです。

外出制限により本人が手続きできない

信託契約を締結できても、外出許可が下りず銀行窓口に行けない…ということもあります。

  • 預貯金を信託する場合は、本人が委託者名義の口座から信託口口座へ資金移動が必要
  • 信託契約を公正証書にする場合や、遺言書を公正証書で作る場合、公証役場での手続きが必要

各種手続きには本人が出向いて意思表示をする必要があり、そのため手続きそのものが難しくなるのです。

[1]金融機関で「委任状」が可能な場合もある

金融機関にて本人確認を乗り切った事例をご紹介します。

例えば1千万円信託すると契約した後、実際に委託者の口座から信託口口座へ資金移動をする必要があります。

本来、委託者が外出許可をもらって金融機関窓口へ出向き、払い戻しと送金手続きをするのが通常ですが、感染症の拡大などの諸事情により外出許可が下りない場合、手続きを取るのが難しくなります。

ここで、銀行にもよりますが、委託者が実印で作成した「委任状」を持参し提出することで、家族が送金の手続きを代行できるケースがあります。

委任状を利用する場合は一般的に、口座名義人と来店者(代理人)の本人確認書類(運転免許証・健康保険証等)が必要であり、金融機関から本人宛に確認の電話をして意思確認が行われます。

ただし、金融機関ごとに取扱いに違いがありますので、手続きを希望する場合は必ず事前に金融機関に問い合わせて確認をしましょう。

可能であれば、委任状を持参して手続きする日時を金融機関側の担当者と打ち合わせるなど、日程を合わせておくと安心だといえます。

本人への連絡と意思確認について

入所中の本人への意思確認については、入所状態を証明する書類が必要になります。

介護施設に入所中でも、金融機関に届けている電話番号は自宅のままというケースがほとんどだからです。

あるメガバンクさんでの例ですが、介護施設の直近の請求書を提示することで、本人が介護施設にいることを示し、その施設に電話して確認作業をしてもらえることになった例がありました。

流れとしては、金融機関にて委任状を提示して希望する手続きを申告し、口座名義人の現在の所在について書類を提示して受理してもらい、電話連絡により本人確認の作業が正しく完了したのです。

この件は金融機関の支店ごとの判断によると思われますが、金融機関側でも対応に工夫をしてもらえることがあるようです。

感染症拡大時には様々な不便が生じるものですが、1つ1つ解決しながら各種手続きを前に進めることが可能となったケースでした。

[2]公証人に出張してもらう際の留意点

公証役場では、遺言書の作成や家族信託の契約書を公正証書にすることができます。

ただし公正証書を作成する際は、当事者や立会人(証人)の本人確認・意思確認を行ったうえで行われるため、入所者が外出できなければ手続きも難しくなります。

それでも各種契約には委託者・遺言書作成者としての意思能力が前提となりますので、時期を逃さず手続きを進めることが非常に重要です。

公証人に出張してもらう

本来、可能であれば公正証書化の手続きについては公証人に出向いてもらうことも可能です。

ただし、公証役場でも感染症の拡大などによる影響が生じており、日本公証人連合会のガイドラインでも

『公正証書の作成等も、可能な限り、事前にメール等でやり取りをして、対面での手続は、最小限かつ短時間とする』(令和3年10月18日版)

と定められており、手続きにかなりの慎重性や制限が設けられていることが分かります。時期により対応が異なる場合がありますので、事前に問い合わせをしてみましょう。

出張対応についての留意点

公証人の出張には留意点があります(公証人手数料令第9条別表)ので、管轄の公証役場に相談してみましょう。

  • 事前相談により事前準備を進める
  • 公証人の出張範囲には制限がある
  • 交通費の実費など、別途、費用がかかる
  • 公証人費用は出張の場合、通常の1.5倍で計算される

通常の手続きと比べて煩雑となりますが、委託者・遺言書作成者の意思状態によってはできるだけ早期に手続き進める必要があるため、必要に応じて検討してみましょう。

さいごに

認知症や病気による心身の不調は、高齢期になると多くの方に出てくる症状です。

そうなると同時に心配になるのが資金面のことでしょう。

資産管理については法律上の重要な行為であり、本人以外の人による手続きは認められていませんので手続きは厳格となりがちです。

自宅売却等も含めて、早めに対策を講じておくことをお勧めします。

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