委託者となる親が施設に入所中でも家族信託は可能か?

委託者となる親が施設に入所中でも家族信託は可能か?

最終更新日 公開日

家族信託において、財産を預ける方(委託者)を年齢別に見ると、その多くが70代以上の方となります。

実際に弊社における家族信託の事例を見ても、委託者の方の多くは70代、80代の方でした。

委託者となる方が高齢の場合、その方が介護施設などに入居しているといったケースも多くあると思います。

もちろん、委託者が施設に入居している場合でも、問題なく家族信託をすることはできます。

しかし、施設側が面会を一切禁止しているなどの事由がある場合には、家族信託をすることが困難となってしまう場合もあります。

そこで、今回は「委託者となる方が施設入居中の場合でも家族信託できるのか」という部分について、実際の事例や実務の観点からそのポイントを見て行きたいと思います。

家族信託をするうえで重要な「意思確認」

まず、実際の事例などをご紹介する前に、家族信託をするうえで重要なポイントとなる「意思確認」とその方法について見て行きたいと思います。

家族信託は、財産を預ける方(委託者)と財産を預かる方(受託者)の契約により成立するものです。

そのため、委託者においては「自分の財産を受託者に預けて管理してもらう」という意思がしっかりと表明されている必要があります。

なお、受託者には、「委託者の財産を預かり管理していく」という意思が必要です。

そして、信託の組成をサポートする専門家や公証人などが、委託者及び受託者の意思を確認し、問題ないと判断したうえで家族信託の契約手続きを行います。

では、この「意思確認」はどのような形で行われるのでしょうか?

これについては、原則は「対面での面談」の形によりますが、様々な事情により対面での面談が難しいケースもあるかと思います。

その場合、信託の組成をサポートする専門家による意思確認については、「オンライン面談」による方法で実施されることもあります。(オンライン面談による意思確認が可能かどうかは専門家によります。)

一方、信託契約を公正証書の形で締結する際の公証人による意思確認の場合には、「対面での面談」となり「オンライン面談」で実施することはできません。

また、信託する財産に不動産が含まれる場合、不動産についての登記をする必要があります。

登記については、司法書士が委託者の意思を確認したうえで行われ、対面での面談による意思確認が原則となっています。

つまり、信託契約を公正証書の形で締結する場合や信託する財産に不動産が含まれる場合には、必ず委託者及び受託者の方と公証人や司法書士が面談をする機会を設ける必要があるということです。

しかし、委託者が施設に入居中の場合、施設との兼ね合いで面談の機会を設けることが難しくなってしまう場合もあります。

この場合の対策について、以降の項目で実際の事例を紹介しながら見て行きたいと思います。

事例の紹介

ここで、コロナの影響もあり面会禁止となっていた施設に入居していた方を委託者とする家族信託の相談で、最終的に施設側に面会時間を確保していただき、家族信託の契約を締結ができた事例を紹介したいと思います。

この事例では、「将来的、自分が認知症になってしまった後においても自宅を売却できるようにしておきたい」という委託者の意向を実現するため、家族信託を締結すべく、契約案文の作成を進めていました。

しかし、信託契約の締結日を決める段階で、コロナウィルス感染防止のために委託者が入居する施設が面会禁止となり、受託者が施設側に面会をお願いしても、面会が難しい状態となってしまいました。

そこで、受託者に代わり、家族信託の組成をサポートする我々から施設側に連絡を取り、次の点を説明させていただきました。

  • 家族信託という制度を使用するために契約を締結したい旨
  • 財産を預ける大切な契約なので、対面で対応しないとならない旨
  • 認知症などが進んだ場合には、契約締結が難しくなる旨
  • 面会時間は1時間で構わない旨

結果として、施設の責任者の方に家族信託の契約の重要性と面会の必要性などを理解いただけたことで面会の許可が下り、無事に公証人立会いのもと、信託契約を締結することができました。

事例から見るポイント

上記の事例を踏まえ、委託者が施設に入居中の場合、どのようにして面会の機会を設けるのか、そのポイントを見て行きたいと思います。

委託者の親族である受託者が施設側に面会を求める場合、どうしても、委託者に会わせて欲しいという感情の部分が前面に出てしまうことがあります。

しかし、それでは施設側も面会を許可するための具体的な理由と緊急性を理解できず、親族が面会を強く希望しているといった程度にしか捉えられません。

今回の事例でもあるように、ポイントとなるのは、「家族信託をするに当たり、委託者との面会の必要性をいかに施設側に伝えるか」という部分です。

具体的には、次の事を施設側に伝えるのがポイントになります。

  • 家族信託の説明(委託者が所有する財産を受託者に預けて管理してもらう制度である旨)
  • 財産を管理してもらう非常に重要な契約であること
  • 非常に重要な契約であるため、専門家や公証人が委託者と面談をしたうえで締結しなければならないこと
  • 具体的な面談時間(家族信託の契約締結には、40分から1時間程度かかるものと思われます)
  • 認知症などが進んでしまうと、家族信託の契約を締結することができなくなってしまうため、早めに面談を実施する必要があること

上記がしっかりと伝われば、施設側も、面談を許可しないことにより、家族信託の契約ができず、委託者とその家族にとって非常に都合が悪いことを理解してくれます。(かつ、責任問題に発展した際には、その矛先が施設側に向かうのでは?といった懸念をも想起させる場合もあるでしょう。)

そのため、長時間でなければ、施設側より特別に面会の許可を出してもらえる可能性があります。

また、施設に対しては、受託者から連絡するよりも専門家から連絡した方が理解してもらいやすい場合もありますので、専門家と協議をしたうえで誰が連絡するかを決めるようにしましょう。

まとめ

委託者が施設に入居している場合に重要となるのは、「委託者の意思確認のための面会時間確保」です。

施設側が常に面会可能な状態であれば全く問題ありませんが、様々な理由により面会が禁止される場合があります。

面会が禁止されているからといって家族信託を諦める必要はありません。

大切なのは、施設側に面会時間を確保してもらいたい旨をしっかりと説明することです。

説明の際には、ただ委託者に会わせて欲しいという部分のみを強調するのではなく、「家族信託の契約の重要性」、「委託者との面会の必要性」、「認知症などが進むと契約ができなくなるリスク」をしっかりと施設側に伝えるように心掛けましょう。

そして、場合によっては、家族信託のサポートをお願いしている専門家に施設側への説明を依頼することも検討しましょう。

この記事の監修者
田村 淳貴(たむら じゅんき)

司法書士
田村 淳貴(たむら じゅんき)

神家族信託専門のチームにて、日々お客様からの家族信託の相談に対応する。 前職である銀行系不動産会社にて、不動産の仲介・コンサルティングに従事した経験を生かした「不動産と家族信託」の分野を得意とする。

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