受託者複数は可能?兄弟全員を受託者とする家族信託はできるのか?

受託者複数は可能?兄弟全員を受託者とする家族信託はできるのか?

最終更新日 公開日

家族信託のご相談を受けていると、

「子供を受託者に、といっても、子供は何名かいる。不公平感が出ないように、全員を受託者とできますか?」

というご相談をよくいただきます。

兄弟全員など、複数名を受託者とする家族信託は可能なのか?

結論から言えば、可能です。

例えば、お父さんを委託者とした場合に、長男と次男を受託者とすることができます。信託法上、受託者の人数に制限はないためです。

では、受託者を複数にする場合のメリットやデメリットはあるのでしょうか?

今回はその点について解説していきます!

受託者を複数にするメリット

家族信託の受託者には、善管注意義務、忠実義務、公平義務、分別管理義務等、信託法上の様々な義務が課せられています。

様々な名前の義務があってわかりにくいですが、簡単に言うと、「信託財産や信託事務に細心の注意を払いつつ、信託の目的に沿って誠実に財産を管理する義務」です。

その義務を1人に負担させ、受託者として財産を管理・運用・処分をさせるのは申し訳ないと思う委託者もいるかと思います。

または、受託者1人にそれらを任せるのはどうも不安だという場合もあるでしょう。

そのような場合は、受託者を2人以上にするのも一つの手です。

具体的なメリット

受託者を複数にすることの具体的なメリットとしては、先に述べたとおり、信託事務の負担を分散できます。

また、受託者を複数にすることで受託者がお互いに監督することができるため、信託財産のずさんな管理や私的利用を防止することができたり、信託財産の運用について判断に迷ったときには、受託者同士が相談し合うことによって、一人に過度な負担がかかることがなく信託事務を遂行することができます。

信託法が受託者が複数になる場合を許容しているのは、上記のように、受託者が複数である場合には信託事務の処理にあたって各々の受託者が意思決定に関与することによって慎重かつ合理的な意思決定がされることを期待しているからなのです。

受託者を複数にすることのデメリット

受託者を複数にする場合には、上記のようなメリットがある一方で、デメリットもあります。

今度はデメリットについて解説します。

受益者の意思決定

原則として信託事務の処理は受託者の過半数で決するとされています。

そのため、受託者が複数いるとそれぞれの考えから意見が合わず、信託が機能しないことも考えられます。

すなわち、意思決定の場面において、迅速な対応ができず、最悪の場合は意見が合わずに信託が停滞してしまうおそれがあります。

(なお、信託契約で受託者の意思決定について別段の定めや事務の分掌に関する定めを設けることは可能です。)

債務は連帯債務に・・

信託事務を処理するにあたって各受託者が第三者に対し負担した債務は連帯債務になります。

信託財産(不動産)を担保にいれて信託内借入をした場合が典型例です。

連帯債務になるとは、自分が負担した債務ではなくても、受託者だからという理由で債権者から債務を弁済せよと言われた場合に、それを拒絶することができなくなるという意味です。

そういう意味でも、受託者が複数の場合にはそれぞれの受託者に慎重さと相互の受託者の綿密な意思の疎通が求められます。

おすすめの方法!

上記のとおり、受託者を複数にすることは可能ですが、メリットとデメリットがあります。

何を信託財産としているかにもよりますが、大きな財産を信託の対象としており、その運用に大きな意思決定や迅速な行動が求められる場合には、受託者複数とする信託はメリットよりもデメリットの方が大きくなってしまうと言えるでしょう。

なので、私たちも受託者複数の相談をお受けした場合には、受託者を複数をしない形での信託の組成をオススメすることが多いです。

委託者が懸念している不公平感や受託者の能力不足に関する懸念を払しょくするためには、受託者複数とする代わりに以下のような方法を取ることが考えられます。

予備的な受託者として他の兄弟に入ってもらう

受託者を複数にするのではなく、例えば『第一受託者』である長男が、なんらかの理由で受託者として信託事務の遂行ができなくなった場合に、次男を『第二受託者』として予備的に定めることもできます。

この様にして、完全に平等とはなりませんが、兄弟全員に信託に関わってもらう(可能性がある)ことで納得してもらう場合があります。

もちろん、この場合は、基本的に第一受託者が実質的な受託者になりますので、その点を完成者全員が納得できることが前提となります。

信託監督人、受益者代理人などとして信託に関与してもらう

受託者を複数にするのではなく、信託監督人や受益者代理人などとして兄弟を信託に関与させることもできます。

例えば、受託者は次男にお願いするけど、本当に一人で大丈夫か不安だ・・と委託者が感じている場合には、長男を信託監督人や受益者代理人などに選任して、次男の信託事務を監督するという方法があります。

家族信託の契約そのものを複数にする方法

兄弟ごとに家族信託によって管理してもらう財産を分け、複数の家族信託契約を締結する、という方法もあります。

例えば、委託者が信託したい財産として、不動産A、不動産B、現金5000万があったとします。

このときに、長男には不動産Aと現金2500万円を信託する信託契約を、次男とは、不動産Bと現金2500万円を信託する信託契約を締結するのです。

こうすることで、受託者を複数をすることなく、不平等感を払しょくすることができます。

また、この際、各受託者に慎重な運用を望むのであれば、相互に信託監督人となってもらってもいいでしょう。

まとめ

以上のとおり、受託者を複数にしたい場合は、メリット・デメリットを踏まえて、受託者を複数にすべきなのか、それとも信託契約を複数締結にすべきなのか、その他ご家庭のご事情や受託者間の関係性を踏まえてご検討する必要があります。

また、実際の運用を考えると、受託者を複数とする家族信託は意思決定のプロセスが煩雑になるなど、デメリットの方が目立ってしまうので、なるべく受託者は単独とする信託になる方向で検討を進めるほうが無難です。

カテゴリー:家族信託

タグ:受託者家族信託契約

この記事の監修者
浅沼 礼奈(あさぬま れいな)

司法書士
浅沼 礼奈(あさぬま れいな)

東京生まれ、新潟・鹿児島・千葉育ち 年間80件近くのご家族にお会いし、家族信託・相続・事業承継のご相談に対応。それぞれのご家族オリジナルの財産管理・承継の仕組みをお客様と一緒に考えます。

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