家族信託における不動産取得税は?司法書士が解説します

家族信託における不動産取得税は?司法書士が解説します

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家族信託を活用するうえでは、家族信託によって発生する税金についても理解しておく必要があります。

この記事では、信託財産に不動産を含める場合の「不動産取得税」について、「課税/非課税」の取り扱いがどうなるのかについてお伝えします。

不動産取得税の税率

不動産取得税は、通常、売買や贈与で不動産を取得した場合に課税関係を考えることになります。

不動産取得税の税額は、**原則【固定資産税評価額×4%】**です。

ただし、下記の2つの例外があります。

(1)土地及び住宅については、税率3%(令和6年3月31日まで)
(2)宅地については、その評価を固定資産税評価額の2分の1

実際に計算してみましょう。

《例》1000万円の宅地を取得した場合
1000万円×[2分の1(宅地の例外)]×3%(土地の税率)=15万円(税額)

となります。決して安くはない課税額です。

家族信託を検討する場合には、相続税や贈与税とともに不動産取得税の課税/非課税について注意すべきポイントとなるでしょう。

また、不動産には贈与税の問題もあります。

こちらの記事『家族信託をしたら贈与税がかかる?不動産の名義変更と贈与税の関係を徹底解説』で解説していますのでご参照ください。

不動産取得税の課税/非課税のポイント

家族信託における不動産取得税の課税/非課税については以下のようなポイントがあります。

【1】信託契約:委託者から受託者:所有権の移転 ⇒ 非課税

信託により委託者から受託者へ不動産の所有権が移転する場合、受託者は信託不動産の管理権を取得しますが、この場合の不動産の移転は非課税とされています。(地方税法第73条の7)

不動産取得税は、不動産の取得(所有権の移転)に課税されるため、原則通りなら受託者への不動産取得税が課税されるはずですが、地方税法に例外規定が設けられています。

信託契約において、契約開始時の委託者から受託者への不動産の移転は非課税とされているのです。(地方税法第73条の7)

【2】受益者の変更(相続や売買など)⇒ 非課税

受益「者」の変更とは、受益権の相続や譲渡を指します。

受益「権」は売買することができ、また、相続の対象となっていますが、受益「者」の変更については役割の変更であり、不動産所有権そのものの移転には該当しません。

そのため不動産取得税は非課税となります。

【3】信託終了時:当初の委託者の相続人に不動産を引継ぐ ⇒ 一定の要件を満たせば非課税

《事例》家族信託

  • 委託者兼受益者 A
  • 受託者 B
  • 財産の帰属権利者 Aさんの子C

この場合、委託者のAさんが死亡し信託が終了する契約である場合、信託法に基づいて、残余財産はAさんの子Cさんに引き継がれることになります。

財産を所有・管理している受託者Bから相続人Cへ信託不動産が移転します。

通常は不動産取得税が課税されるかという場面ですが、このケースでは取扱いが異なります。

委託者の死亡により契約が終了する信託の場合は、死亡=相続発生により信託契約がゼロの状態になります。

つまり、信託契約のない状態と同じであり、一般の相続発生と同じように相続人Cへの相続として扱われ、不動産取得税については非課税となります。

一般的な相続と同じように不動産取得税は課税しないという見解に基づく内容です。(地方税法第73条の7)

ただし注意点があり、非課税となるには要件があります。

このケースの場合、「信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託」(地方税法第73条の7)であること、つまり「信託開始時から、委託者=受益者の構造が崩れていないこと」を要件としています。

そのため、不用意な課税を防ぐために信託契約書を作成する際、委託者の地位が相続される旨を明記するなどして、「委託者=受益者」の構造が崩れない内容で作成しましょう。

【4】受益者連続型の信託:委託者の孫へ不動産を引継ぐ ⇒ 課税

上記【3】の事例で、残余財産の帰属権利者がCさんの子Dさん(Aさんから見て「孫」)の場合はどのような取扱いになるでしょう?

この場合、非課税扱いとなる地方税法の例外の要件に該当しません。(地方税法第73条の7)

従って、受託者からDさんへ信託財産が引継がれる場合、不動産取得税が課税されます。

家族信託をした場合の税金関係については難しい内容も多く、契約内容によって課税/非課税が大きく変わります。

下記記事もご参照ください。

納税通知書が届いたら

不動産取得税については、毎年、都道府県から納税の通知書が届きます。

都道府県は、不動産登記簿の情報を形式的に把握して納税通知書を発送するため、通知書送付の取り扱いは自治体によってまちまちです。

そのため登記簿上からは把握できない相続関係等が存在すると、本来課税すべきでない不動産の取得に対して納税通知書が発送されてしまうことも起こり得ます。

突然、納税通知書等が届く可能性もあり、驚くかもしれませんが、不動産にまつわる課税関係については疑問のある場合、きちんと内容を確かめることが大切です。

信託契約の内容や取引状況、また、課税関係に基づく正しい内容なのかどうかについては、専門家へご相談いただければと思います。

カテゴリー: 不動産の家族信託

この記事の監修者
森 賢治(もり けんじ)

家族信託コンサルタント
森 賢治(もり けんじ)

大阪市出身/宅地建物取引士 家族信託チーム、資産コンサルティングチームを兼任。一般個人の相続手続き、不動産決済といった業務を担当後、資産コンサルティング部門を立ち上げ。「相続×不動産法務×税務」等多方位から顧客をサポートします。

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