この記事では「家族信託の重要人物〜信託監督人〜」 と題して、家族信託における「信託監督人」について説明していきます。

家族信託では委託者は資産の管理・運用を受託者に依頼しますが、さまざまな理由から、受託者の財産管理状況や方法に不安があるケースもあると思います。

そのような場合に活用できる信託監督人について、この記事でご紹介します。

要約

  • 信託監督人は、受託者が受益者のためにきちんと信託内容を尊守しているかを監視・監督する
  • 高額な信託財産の管理など、当事者とは別の第三者に監視・監督をしてもらった方が良い場合などに置かれる
  • 未成年者・成年被後見人・被保佐人・当該信託の受託者は、信託監督人になれない
  • 信託監督人の存在そのものが、より家族信託を安心・安全なものにする

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受託者の義務と信託監督人

家族信託は、信託契約をもとに財産所有者である委託者が、受託者に財産を託します。

家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ法的制度です。認知症が進行し意思能力を喪失したと判断されてしまうと、銀行預金を引き下ろせない、定期預金を解約できない(口座凍結)、自宅を売却できないなどのいわゆる「資産凍結」状態に陥ってしまいます。そのような事態を防ぐために、近年「家族信託」が注目されてきています。この記事では家族信託の仕組みやメリット、デメリットをわかりやすく解説します。
家族信託とは?わかりやすくメリット・デメリットを徹底解説します

財産の管理方法や受託者に認められた権限などは、すべて信託契約の内容で定められ、受託者は契約内容を遵守する義務があります。

しかし、信託会社や信託銀行などが受託者を務める商事信託と違い、家族信託においては、受託者が法律や財産管理について慣れていないケースもあります。

受託者は、委託者が信頼できる人物であれば誰でも指定することができます。
しかし家族であっても、年数の経過とともに信託財産の管理が難しくなってしまうこともあるでしょう。

今回は、家族信託で財産を預かる「受託者」について解説します。誰が受託者になれるのかという点は、家族信託のご相談の中で、よくいただくご質問です。その中でも、今回は、「未成年者・家族(子、孫などの直系親族)以外・複数名・委託者・受益者」これら5つの立場・状況にある方が、家族信託の受託者になりうるか、解説していきます。また受託者になった後にしなければならないことも解説します。
家族信託で「受託者」になれるのは誰?受託者を選ぶ6つのポイントを解説!

信頼している家族であっても「受託者がお金を使い込んでしまうかも」、「契約内容をないがしろにしてしまうかも」という不安もよくある心配事の1つだと言えます。

家族信託では、自分の財産を家族等の信頼できる人に託す仕組みですが、万が一その信頼できる人が財産を勝手に使い込んでしまったらどうなるのでしょうか?今回の記事では、受託者(=財産を預かる方)が勝手に財産を使い込んだ場合の対処法について、事例を使ってご紹介いたします。
家族信託の受託者がお金を使い込んだら?家族信託の横領を防ぐ

このような場合に備えて、受託者の財産管理方法は適切か、きちんと契約内容を遵守しているのかを監視・監督する役割を設置することができます。

この役割が信託監督人 です。

【事例】信託監督人の仕事

ここからは、具体的にAさんのケースをもとに、信託監督人の役割を説明します。

Aさんには、長男と次男の二人の子供がいます。

長男は自立をしており特段心配することはないのですが、次男は障害を抱えており自分一人で生活をすることが難しい状態です。

Aさんは自分の死後、次男が長男のサポートを受けながら生活できるように、家族信託を利用することにしました。

信託契約の概要は次の通りです。

  • 委託者 Aさん(父)
  • 受託者 長男
  • 受益者 次男

ただし、次男が受益者になるのは、Aさんの死亡後です。

Aさんの死後、長男は次男のためにAさんの残した財産を管理していく内容の家族信託契約を締結したのです。

Aさんは長男を信頼していますが、やはり自分の死後に長男が万が一、信託契約の内容を守らなくなってしまい次男の生活に支障が出ることを心配しています。

このように受託者に手放しで依頼できないような場合でも、信託契約で信託監督人を選任すれば受託者の業務を監督してもらうことができます。

家族信託は、信頼できる相手に財産を託して、認知症対策などをする仕組みです。不動産や預貯金を誰かに託すことは、たとえ家族であっても、不安になる気持ちはとてもよくわかります。では、全面的に信頼できる人がいない場合、家族信託を諦めたほうがよいのでしょうか。方法はありますので、この記事を参考にしていただけたらと思います。
家族信託をしたいが、受託者が信用できない場合の対処法

信託監督人には、受託者を監督するために必要な権限が認められています。

《信託監督人の権限(信託法92条各号)》

  • 受託者が信託財産に損失を生じさせた場合の損失てん補請求権
  • 受託者が権限外の行為をした場合の取消権
  • 受託者の行為の差止め
  • 裁判所に対する受託者の解任申立権
  • その他、信託契約で定めた権限 等

このような権限があることから、受託者の監督やサポートが可能なのです。

信託監督人が設置されるケース

信託監督人が選任されるケースとして、Aさん家族のように受益者が障害者である場合のほか、受益者が認知症や未成年者である場合などが挙げられます。

つまり、受益者自身が受託者を監督することが困難な事情がある場合に、受益者を保護する目的で設置されるのが信託監督人 なのです。

また、受託者自身が財産管理に自信がない場合にも、受託者自身の希望によって受託者の職務をサポートしてもらう意味で、この信託監督人を選任するケースもあります。

信託監督人には誰がなる?

さて、信託監督人を選任する場合は誰を選任するのが適切でしょうか?

信託監督人には、次の例外(欠格事由)を除き、法的には誰がなっても問題ありません。

《信託監督人になれないケース》

  • 未成年者
  • 成年被後見人又は被保佐人
  • 当該信託の受託者自身

上記に該当しなければ、基本的には誰がなっても問題はないのです。

財産内容がシンプルな一般のご家庭であれば、身近な親族に依頼することができるでしょう。

また、より厳格に監督してもらうことが必要であれば、税理士等の士業が信託監督人になることも可能です。

収益物件等の不動産を多くお持ちの方などは、普段から税務を依頼している税理士さんに信託監督人になってもらうケースもあります。

家族信託の相談をどの専門家にすればよいのかお悩みではありませんか? この記事では、家族信託の相談先となる「信頼できる専門家」を探す際のポイントや、家族信託のよくある相談事例に応じた専門家の選び方について、わかりやすく解説をします。
家族信託はどこに相談すべき?専門家の選び方を事例別に詳しく解説

信託監督人の設置でリスク管理を

今回は、家族信託における重要人物として、信託監督人についてご説明をしました。

信託監督人の制度は、受託者の財産管理に不安がある場合だけでなく、受託者の高齢化などのリスクにも対処することができます。

信託監督人という制度により、家族信託がより安心なものに設計できると思いますので、親族の年齢構成などを踏まえて検討してみてはいかがでしょうか。

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