家族信託とは 「認知症による資産凍結」を防ぐ法的制度 です。

家族信託では、利用を検討するにあたって注意すべきデメリットが10個ほどあります。

家族信託が本当に自分にとって最適な手段か確認するために、気をつけるべきデメリットや注意点ついて確認をしておきましょう。

要約

  • 家族信託の一番のデメリットは受託者の負担が一定あること
  • 他にも農地は転用しないと信託できない、「身上監護」がないなどにも注意
  • 家族信託は新しい制度のため、十分に経験を積んだ専門家が少ないこともデメリットの1つ
  • 経験豊富な専門家に相談して、きちんとデメリットを回避できる家族信託を作りましょう

家族信託をご検討中の方へ

専門家のイメージ

「スマート家族信託」では、認知症による資産凍結問題に悩むお客様に、司法書士などの専門家がご家族に寄り添い、真心を込めて丁寧にご対応します。

全国から年間数千件のご相談に対応し、サービス満足度も96%を超えるなど、どなたにもきっとご満足いただけるご提案ができると考えております。

どうぞお気軽に、
まずは無料相談をご活用ください。

電話で無料相談 電話受付時間:10:00〜19:00(平日・土日祝)
メールで無料相談

家族信託のデメリット10選

家族信託のデメリット10個は以下の通りです。

  1. 受託者を引き受ける人が必要
  2. 受託者の負担や義務が重い
  3. 親族間で不公平感が生まれる可能性がある
  4. 成年後見制度にしか対応できないこともある
  5. 信託できない種類の財産もある
  6. 信託内外で損益通算できない
  7. 家族信託をしても節税にはならない
  8. 収入がある場合には税務申告の手間が増える
  9. 家族信託をするには費用がかかる
  10. 家族信託を熟知した専門家が少ない

ここからは、家族信託のデメリット・注意点とその解決策について、1つずつ詳しく解説していきます。

※家族信託の制度についてはこちらを参照ください:

家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ法的制度です。認知症が進行し意思能力を喪失したと判断されてしまうと、銀行預金を引き下ろせない、定期預金を解約できない(口座凍結)、自宅を売却できないなどのいわゆる「資産凍結」状態に陥ってしまいます。そのような事態を防ぐために、近年「家族信託」が注目されてきています。この記事では家族信託の仕組みやメリット、デメリットをわかりやすく解説します。
家族信託とは?わかりやすくメリット・デメリットを徹底解説します

(1)受託者を引き受ける人が必要

家族信託は財産を託す人(委託者・親)と依頼される人(受託者・子)がいてはじめて成り立ちます。

そのため家族信託の利用の際には、「受託者」を引き受けてくれる人が必要です。

よって、以下のような場合は家族信託をするかどうかについて再検討する必要があります。
・身内に信頼して頼める人がいない
・身内に受託者を依頼したが承諾をもらえなかった

【解決策】信託内容を再検討する

(1)家族以外の信頼できる人を探す

受託者は家族以外の人物でも就任可能です。
例えば、甥・姪などが受託者に就任するケースもよく見られます。

ただし、司法書士等の専門家は直接、受託者になることはできません。
受託者をサポートする「信託監督人」の立場であれば就任可能です。

(2)信託内容を検討しなおす

当初の信託内容では受託者の負担が大きい場合でも、信託内容を検討しなおすことで負担感が減る場合もあります。

信託契約の仕組みを工夫したり、専門家へ信託運用について相談することによって受託者の負担を軽減することもできますので、司法書士等の専門家に相談してみましょう。

(3)商事信託も検討する

家族信託等の方法を断念せざるを得ない場合、信託銀行や信託会社などの商事信託サービスを利用する方法もあります。

信託財産の額に応じて、所定の費用がかかります。
成年後見制度や家族信託よりも高額になる場合が多いため、コストとメリット面をよく比較して検討しましょう。

(2)受託者の負担や義務が重い

家族信託では受託者が抱える負担が大きいため、受託者への就任を断られることがあります。

受託者の主な義務は、以下のように信託法で規定されています。

受託者の主な義務

  • 善管注意義務
  • 忠実義務
  • 分別管理義務
  • 信託事務を第三者に委託する際の選任・監督義務
  • 帳簿等の作成・報告・保存義務

例えば「分別管理義務」とは、委託者から託された財産を、受託者自身の財産と分けて管理する義務です。

金銭なら信託財産用に専用口座を作って管理し、不動産の場合はその旨を登記します。

この受託者の主な義務の中でも特に重要となるのが、「帳簿等の作成・報告・保存義務」です。

帳簿等の作成・報告・保存義務

受託者の義務の中でもとくに「帳簿等の作成・報告・保存義務」については大きな負担となることがあります。

毎年、信託財産について貸借対照表などの必要書類を作成し、その内容を受益者に報告する義務です。

具体的な事務内容

・委託者の生活費、介護費、医療費など支出の記帳
・領収書・レシートなどの保管
・信託財産である不動産を売却した場合の記帳
・毎年、貸借対照表、損益計算書の作成、受益者(委託者)への報告、保存

例えば当社では「スマート家族信託」アプリを通じて、これら受託者の事務作業の負担を大幅に軽減するシステムを提供しています。

しかし他社の場合には、エクセルや手作業での記帳を受託者に依頼しており、これらの作業を大きな負担だと受託者候補が感じ、受託者の役目を引き受けてもらえないことがあります。

【解決策】受託者への報酬や信託監督人を設定する

遺言であれば財産関連は所有者本人が一人で指定できますが、家族信託は受託者が必須であるため、受託者のなり手がいなければ家族信託の成立が難しくなります。

受託者は財産管理を中心とする義務を負い、それにともなう帳簿等の作成・報告・保存義務などを守る必要があるため、受託者を引き受けたくないと思われても仕方のない側面もあるでしょう。

そのため、以下のような解決策があります。

(解決策1)受託者の負担を軽減する・報酬を設定する

受託者の負担が大きいのであれば、管理の難しい不動産などを信託財産には含めず、信託開始前に処分をするのも方法の1つです。また、契約内容をシンプルに変更する方法もあります。

受託事務が仕事の一環となるよう、受託者への報酬を信託契約に盛り込むこともできます。

報酬は高額になりすぎると税金逃れとみなされたり、他の親族からの不満が出ることもあるため注意が必要ですが、ある程度の報酬の設定により受託者の仕事を引き受けやすくする環境作りも大切だといえます。

(解決策2)「信託監督人」を設定する

受託者には一定の義務が課されるため、家族信託では受託者を監督・サポートする制度があります。信託契約の中で設定する「信託監督人」や「受益者代理人」です。

本来、信託監督人や受益者代理人は受託者の監督役ですが、同時に受託事務のサポートも可能です。両者とも信託契約に盛り込むことで設置できるため、そのことも含めて信託契約を設計しましょう。

また、信託監督人は専門家に依頼することもできます。

この記事では「家族信託の重要人物〜信託監督人〜」と題して、家族信託における「信託監督人」についてお伝え致します。家族信託では委託者は資産の管理・運用を受託者に依頼しますが、さまざまな理由から、受託者の財産管理に不安があるケースもあると思います。その場合に活用できる信託監督人について、この記事でご紹介します。
信託監督人とは?〜家族信託を監視・監督する重要な役割〜

(3)親族間で不公平感が生まれる可能性がある

家族信託は、委託者と受託者の二者が合意することで契約が成立します。
相続人全員の了解を得ずとも存命中に相続財産についての話を進めることができるのです。

手軽に契約できるという点も家族信託のメリットですが、親族のうちの1人が受託者として財産管理をするという状況から、親族から不満が出たり、不公平感が生まれる可能性があり、のちの親族間トラブルの元になる可能性があります。

【解決策】親族間トラブルを防ぐ対策を

家族信託を始める際には、事前に親族の理解を得ることが大切です。
勝手に話を進められたという他の親族からのクレームは避けなくてはなりません。

そのため、他の親族人にも内容を理解してもらい、そのうえで信託契約や受託について設計することが重要です。トラブル回避に重点を置きましょう。

(解決策1)信託契約を公正証書で作成する

財産所有者の同意を得ずに契約したのではないかという疑念を避けるためにも、信託契約は公正証書で作成しましょう。

公正証書であれば、公証役場にて本人確認や意思確認が行われるため、作成時に意思能力や契約能力があったことの証明にもなります。

家族信託も信託契約になりますので信託法のルールに沿って作成することになるのですが、法的には公正証書で作成しなくても問題はない、という解釈になります。今回は「公正証書化」が必要なケースについてご紹介します。信託契約書を公正証書で作成した方が良いケース、公正証書での作成にすべきケースについても説明していきます。
家族信託に公正証書が必要?私文書では危険?メリット・デメリット、必要書類や手続きの流れ、費用を解説

(解決策2)専門家から説明をしてもらう

専門家に信託設計を相談している場合、不満を持っている親族へ第三者の専門家の立場から説明をしてもらう方法もあります。

家族信託は資産管理や相続準備に有効である点など改めて説明を行い、親族から疑問が出れば、その場で解説もすることができます。

また、資産管理について親族が問題に感じている点があれば、その意見をもとに信託契約に条件を盛り込むなどの方法で対応できます。

信託契約には関わる皆の納得感が重要ですので、専門家からの説明や解説・個別の対応は理解を得るための大きな一歩となるはずです。

(4)成年後見制度にしか対応できないこともある

成年後見制度では身上配慮義務が定められています。

身上配慮義務とは、「本人の心身の状態および生活の状況に配慮すべき義務」及び「本人の意思を尊重すべき義務」のことで、身上監護(しんじょうかんご)および財産管理の事務を行う際に遵守すべき義務のことです。

身上監護とは、判断能力のない本人に代わって、介護契約、施設入居契約、医療契約など本人の身の上に関わる契約手続きを進める法律行為を指します。

信託契約の中に身上監護に関する規定を含むこともできますが、それでも役所への届け出や入退院手続きなど、本人の名前での契約が必要な場合があります。

つまり成年後見制度では、財産管理だけでなく、本人に代わって各種契約手続きができ、ここが家族信託との大きな違いの1つです。

※ただし、介護や食事の世話など、実際に暮らしを支援する行為は、身上監護の範囲には含まれません。

高齢者の財産を本人以外が管理するには、家族信託と成年後見制度があります。家族信託と成年後見制度は特徴が異なるため違いについてしっかり理解することが重要です。家族信託と成年後見制度の違いや、どちらを使うべきか?について解説します。
家族信託と成年後見の違いは?どちらを使うべき?

(5)信託できない種類の財産もある

家族信託では信託財産として契約に盛り込むことで受託者に財産管理を任せることになります。

信託財産には、お金や株式などの有価証券・車や貴重品なども含めることができますが、農地や公的年金の受給権については信託財産に含めることはできません。

農地について

農地は農地法により取引が規制されています。

土地の登記簿謄本に「農地等」と記載されていれば、仮に駐車場として使っている土地であっても、地目が「農地」となるため注意しましょう。

年金について

2ヵ月に1度、支給される公的年金は、預金口座に振り込まれると預金残高になるためその資金を信託することは可能です。

しかし、家族信託で受託者が管理する「信託口口座」は年金振込先に指定できません。

また、公的年金の受給権は信託できないため、公的年金を直接、受託者の所に振り込んでもらうこともできません。

年金受給権は親権や資格などのように本人以外には帰属が不可能な「一身専属権」に該当するためです。

振り込まれたばかりの公的年金はすぐに引き出すことは出来ないということになります。

【解決策】農地転用や年金振込口座の手続きを行う

(解決策1)農地転用

信託財産にしたい場合は宅地への転用手続きをとるなど、農地以外の状態に転換する手続きが必要です。

手続きには数か月かかる場合もありますので、早めに手続きを開始しましょう。
一般的に農地関連の手続きは行政書士に依頼して行います。

(解決策2)公的年金の移動

老後生活の重要な資金である公的年金については、受託者が管理する信託口口座に残高を移す方法で信託しましょう。

ただし、将来、振り込まれる予定の年金を資金移動させることはできませんので、本人の口座は残して、継続して年金振込先として受給できるようにする方法があります。

信託契約の段階で預金残高を一度、移動させますが、それ以降に振り込まれる公的年金は、公共料金や家賃の引き落としに充当すると良いでしょう。

口座引き落としに変更できる支払先は、できるだけ早めに変更手続きを済ませておくと安心です。

(6)信託内外で損益通算できない

例えば複数不動産を所有してい場合、家族信託で信託するものと、信託せずに保有しているケースが考えられます。

その際、信託財産かどうかにより資産が区分けされるため、信託内外全体での損益通算ができなくなります。

例として、賃貸アパートを2棟所有し、A棟が黒字、B棟が赤字になったとします。

この場合、通常であればA棟の黒字とB棟の赤字を合算して損益通算後の額で事業所得として納税額を計算しますが、信託財産とそうでない財産の場合、損益通算の対象にできません。

信託財産は信託財産の範囲内のみ、信託していない財産はその財産の範囲内で損益通算をする点に注意する必要があります。

所有不動産の一部のみを信託する際は、収益の見込みを想定して、信託するかどうかを決めるようにしましょう。

また、管理の予測ができない財産については早めに処分を検討するなど、所有資産をスリム化しておくことも選択肢の1つとなります。

(7)家族信託をしても節税にはならない

よくいただく質問として「家族信託を利用することで相続税を節税できますか?」というものがあります。

結論として、家族信託の制度を利用しても直接的な節税の効果はありません。

ただし家族信託をしておくことで、以下のような間接的な効果があると言えます。

  • 委託者の意思能力喪失後も相続税対策を続けられる
  • 二次相続(孫など相続人が亡くなった後の相続)の対策ができる
  • 将来的な相続の揉め事(争相続)の回避による最適な相続

家族信託を節税目的に使うことはNGですが、家族信託をすることで、受託者(子)が主体となり相続税の対策を進めることができます。

「家族信託=節税対策」という訴求でセミナーを開催したり、書籍を出したりする専門家には注意してください。

家族信託と税金に関して、詳しくはこちらの記事をご覧ください:

この記事では、家族信託をすることで相続の対策(相続税対策)ができるのか、家族信託と税金の関係について解説します。また、相続対策としての家族信託の実際の活用事例や、その際支払う税金についても、わかりやすくご紹介します。
【家族信託と相続税対策】家族信託をすると節税できるって本当?

(8)収入がある場合には税務申告の手間が増える

信託財産(収益物件など)から年間3万円以上の収入がある場合は、信託計算書・信託計算書合計表を税務署に提出しなければなりません。

また、毎年の確定申告の際、信託財産から不動産所得がある方は、不動産所得用の明細書の他に信託財産に関する明細書を別に作成して添付しなければなりません。

例えば当社では「スマート家族信託」アプリを通じて、これら書類が自動で作成されるなど、受託者の負担を大幅に軽減するシステムを提供しています。

もし受託者自身がこれら書類をシステムなしに自分で作成する場合は、別途税理士に依頼するなど、費用がかかることが予想されます。

家族信託を利用した場合、税務署に届け出るケースがある手続きについてご存知でしょうか。この記事では、どのような場合に税務署への届出が必要なのか、どの税務署に届け出るのか、届出すべき書類の書き方などについてくわしく解説します。
家族信託で税務署に提出する書類、計算書と受益者別調書の書き方を解説!

(9)家族信託をするには費用がかかる

家族信託の契約をして利用する際には、実費を含めて一定の費用がかかります。

家族信託にかかる費用としては具体的に

① 家族信託の内容を決定するためのコンサルティング費用

② 家族信託契約書の公正証書作成費用

③ 不動産がある場合の登記関係費用

これらの費用が必要となります。

①家族信託の内容を決定するためのコンサルティング費用には、信託財産の1%程度の費用がかかるなど、初期費用がかかることが家族信託の特徴です。

初期費用だけ比較すると、家族信託よりも成年後見制度の利用の方が安くなりますが、成年後見制度では後見人への継続的な報酬が発生するため、トータルで支払う費用を比較すると、家族信託の方が費用が押さえられる結果となることが多いと言えるでしょう。

家族信託における費用の詳細や、費用を安く抑える方法については、こちらの記事を参照ください:

家族信託には手続き上の実費や登記関連の費用のほか、専門家に依頼する場合には事案に応じて相応の費用が発生します。この記事では、家族信託にはどのような費用が、どのくらいかかるのか、費用を安く節約する方法はあるか、という点についてご紹介します。
家族信託に必要な費用を解説!費用を安く抑えるポイントとは?

(10)家族信託を熟知した専門家が少ない

まだ世の中では家族信託に熟練した士業は少ないのが現状ですが、専門家に相談することで、信託の組成や財産の引継ぎ全般についても相談することが可能です。

また、家族信託の実績を積んでいる専門家の場合、信頼できる税理士とのネットワークを有していることが多いため、税金の相談についてもスムーズに対応してもらえます。

家族信託の組成には特有の税金の知識や法的解釈も必要となるため、家族信託を熟知している積極的にサポートをしている事務所がおすすめです。

また、家族信託のためのネットワークを有している司法書士法人であれば細やかな対応が可能です。

上記のような税務面を相談できる税理士だけでなく、家族信託には、農地の宅地転用にかかわる行政書士や、ライフプラン・生命保険の相続活用についても相談できるファイナンシャルプランナー、不動産鑑定士などの力を借りることがあります。

安心できるネットワークを有している事務所へのご相談をご検討ください。

税金面における家族信託の注意点

ここまで、家族信託のデメリットについて述べてきました。

次に家族信託をするにあたって、税金面で注意すべき点についても説明します。

家族信託の税務上の注意点

  1. 直接の相続対策にはならない
  2. 遺留分に配慮する必要がある
  3. いずれ相続税がかかる

(1)直接の相続対策にはならない

一般的に相続対策とは、財産を分散させたり評価額を減らしたりすることで、相続人が将来負担するであろう税金の額を軽くすることを意味します。

相続人に引き継がれる財産の評価額を下げる準備をするのが相続対策です。

家族信託では相続内容の指定をして資産の承継はできるものの、家族信託をすることで評価額の引き下げを意味するわけではないため、直接の効果として、税負担を軽くすることはできないのです。

【家族信託による資産運用の効果あり】

直接の相続対策にはならないものの、家族信託の契約により本人の健康面に左右されず、資産運用や相続のための資産活用を継続することができます。

信託契約に基づいて受託者が取り仕切る管理運用となりますが、所有資産を使って購入・売却が可能となるため、間接的な対策は可能です。

例えば相続税対策でマンションを購入して賃貸したり、もともと所有している土地に賃貸アパートを建てたりと、不動産を動かすことで将来かかる相続税を軽減する対策をとるケースもあるでしょう。

このような事業を行う場合、計画に年数がかかる点がリスクと考えられがちですが、信託契約で受託者に管理を任せることができるため、年数がかかることへの心配がなくなります。

(2)遺留分に配慮する必要がある

家族信託の信託内容を設計するときは、遺留分を配慮して考える必要があります。

遺留分とは法定相続人に最低限保障された相続財産のことで、これを侵害するような不平等な分配がされた場合には遺留分侵害額請求という請求手続きが可能です。

家族信託の場合も、原則として遺留分侵害額請求の対象となります。

信託の内容は委託者と受託者の2者間で決めることができますが、相続人全体の中で不平等にならないように遺産の配分を設計することが重要です。

(3)いずれ相続税がかかる

家族信託を組成した時には税金はかかりませんが、やがて委託者(兼受益者)の死亡により受益権や残余財産を取得した場合には、通常通り相続税の対象となります(相続税法9条の2)。
信託ルールによる承継であれ、相続ルールによる承継であれ、人の死亡により財産を得るという意味では、通常の相続と何ら変わらないからです。

すでに相続は開始しているが、信託契約で承継人を決めていたものの想像よりも相続税が多かったため遺産分割協議をして承継を検討したいという要望があっても、委託者もいないため、この段階での変更はできません。

このような事態を防ぐためにも、専門家へ相談しながら最初の信託契約の段階で決めておくことが重要です。

専門家へ早めの相談を

以上、この記事では家族信託のデメリット・注意点について解説しました。

どのような制度にも必ず落とし穴があります。特に家族信託においては、法律・税務面での注意点もあり、十分な注意が必要です。

家族信託をする際には、必ず専門家と相談しながら進めることをお勧めします。

家族信託をご検討中の方へ

専門家のイメージ

「スマート家族信託」では、認知症による資産凍結問題に悩むお客様に、司法書士などの専門家がご家族に寄り添い、真心を込めて丁寧にご対応します。

全国から年間数千件のご相談に対応し、サービス満足度も96%を超えるなど、どなたにもきっとご満足いただけるご提案ができると考えております。

どうぞお気軽に、
まずは無料相談をご活用ください。

電話で無料相談 電話受付時間:10:00〜19:00(平日・土日祝)
メールで無料相談
よくある質問
家族信託で一番大きいデメリットはなんですか?

受託者(財産を託される人)に負担が一定かかることです。

受託者には、家族信託をする上で守らないといけない義務があります。

特に「帳簿に関する義務」では、収支を記帳し、領収書を保存するなど、お金の出入りを細かく記録するなどを義務付けています。

当社のスマート家族信託アプリでは、これらの事務作業を大幅に軽減できますが、多くの会社はエクセルや手作業での記帳を受託者に依頼しているのが現状です。

成年後見制度とどちらを使うべきですか?

家族信託は以下の点で成年後見制度より優れています。

  • (1) 自由な財産管理が可能
  • (2) 遺言の機能を持たせられる
  • (3) 家族で財産を管理できる(第三者が管理しない)
  • (4) 費用が比較的抑えられる(永続的な報酬はない)

一方、成年後見制度にしかできないこともあります。家族信託だけではカバーし切れないニーズがある際は、任意後見などを組み合わせることも有効でしょう。

詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
▶家族信託と成年後見の違いは?どちらを使うべき?