家族の認知症対策として注目を集める「家族信託」について、仕組み上の義務や税制面での取り扱いなど、利用の際には注意しておきたい部分もあります。

家族信託を有効に活用するため、成年後見制度との比較を含め、気になる注意点やその解決策について確認をしておきましょう。

要約

  • 家族信託の一番のデメリットは受託者の負担が一定あること
  • 他にも農地は転用しないと信託できない、「身上監護」がないなども
  • 家族信託は新しい制度のため、十分に経験を積んだ専門家が少ない
  • 信頼できる専門家に相談してデメリットを回避する信託を作りましょう

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家族信託の仕組み

家族信託の「信託」とは自分の財産を信頼できる家族に託す契約です。

自分の老後の生活・介護等に必要となる資金の管理や所有財産の管理について信託契約書を作成し、指定した「受託者」に依頼する仕組みです。

とくに重要なのが、自分で自分の財産管理をできなくなる事態に早めに備える点です。

家族信託は家族内で契約できるため手軽に利用できる信託契約ですが、契約を結ぶ以上、財産を委託する「委託者」、そして引き受ける「受託者」とも、意思能力や契約能力が必要です。

そのため、老後の対策として家族信託を検討している場合はできるだけ早期に契約内容を検討し、契約を締結することをお勧めします。

[参考記事]
家族信託とは?メリット・デメリット・費用をわかりやすく解説

老後に向けた対策が必要になる理由

高齢となり認知症の症状などで意思能力が低下すると、生活費の管理などの身の回りの手続きが難しくなることがあります。

意思能力の低下について銀行に把握されると、預金保全のために口座の利用を止められたり、自宅不動産の売却ができなくなるなど、生活費や介護資金の調達に困るケースも起こります。

もし何も対策をしないまま意思能力の低下のため、預金が凍結されると、後見人などの代理人を選任するまで預金を動かせなくなることもあるのです。

認知症と「成年後見制度」

上記のような事態に対処する方法として、民法に基づいた「成年後見制度」があります。成年後見制度は家庭裁判所に申し立てることで審判を受けることができます。

大きく分けて「法定後見」と「任意後見」があり、後見人が選任されると、預金の凍結も解除できます。また、不動産や預貯金等の財産を管理してもらえます。

● 法定後見

預金口座の利用を停止されてしまった場合などに家庭裁判所へ申立てて利用する後見制度

● 任意後見

本人の判断能力が十分なうちに希望の人物と任意後見契約(公正証書)を締結し、認知能力が低下した時に家庭裁判所に申立てる 「任意後見監督人」の選任を経て利用開始できる制度

もし、相続が発生した際、親族の手で財産全体を把握しようとしてもなかなか進まないことがあると思います。

そういう場合でも、後見人であれば財産についての問い合わせが可能であり、相続に備えて財産の把握をしてもらうことができます。

[参考記事]
【完全版】成年後見制度とは?司法書士がわかりやすく制度を解説

成年後見制度の注意点

上記のように、成年後見制度には各種メリットがあり、認知症が進行した後でも凍結した預金の解除ができるというメリットがあります。

ただし、注意しておきたい特徴として以下のような項目がありますので確認しておきましょう。

  • 申立て手続きが難しい、時間が掛かる
  • 財産は裁判所の管理下に置かれる
  • 相続対策が実質的にできなくなる
  • 専門家が後見人に就くことが多い
  • 後見人への報酬が必要
  • 基本的に途中で利用を停止できない

とくに専門家後見人への報酬は裁判所で決められており、後見制度の利用は基本的に途中で停止できません。

法定後見人への報酬は毎月2〜6万円が必要で、年間数十万円〜100万円にも上ります。

任意後見の場合も、後見監督人に専門家が就任することが多く、月額で3万円程度必要です。上記の法定後見人の半分ほどの報酬が必要になります。

これらの費用が永続的に必要となる点に注意が必要です。

[参考記事]
利用前に必ず抑えておきたい!成年後見制度のデメリット3つ

家族信託のメリット

本人の意思能力がある段階で契約を結ぶことが前提ですが、家族信託を利用することで以下のようなメリットがあります。

  • 介護等費用の資金を資産の中から効率的に準備可能
  • 成年後見制度よりも財産管理が柔軟
  • 認知症発症後も相続税対策が可能
  • 相続に関する指定も可能
  • 今回の相続だけでなく次の代の相続まで希望を伝えることができる

成年後見制度よりも自由に財産管理できる点が家族信託の大きなメリットです。

また、遺言や成年後見だけでは対応が難しい内容でも実現しやすくなります。

家族信託 成年後見制度
財産管理者 受託者
自分で決定できる
判所が決定
法定後見の場合:後見人
任意後見の場合:後見監督人
報酬 自分で決定できる 専門家へ支払い義務あり
裁判所が決定した額
自宅売却などの財産処分 自分で決定できる 後見人が裁判所へ報告
点検を受ける
資産管理についての定期報告 受託者が委託者へ報告 裁判所が決める
実務上、制限あり

[関連記事]家族信託の仕組みについて
家族信託とは?その仕組みや特徴について解説

家族信託のデメリットと解決策

上記のように自由度の高い家族信託ですが、制度上のデメリットや注意点についても確認しておきましょう。

家族信託の注意点として以下のような内容が考えられます。

  1. 受託者を引き受ける人がいない
  2. 受託者の負担や義務が重い
  3. 受託者が仕事をしてくれない不安がある
  4. 親族間で不公平感が生まれる可能性がある
  5. 身上監護ができない

これらの注意点は解決する方法や仕組みもありますので順に説明します。

[1]受託者を引き受ける人がいない

家族信託は財産を託す人(=委託者)と依頼される人(=受託者)がいてはじめて成り立ちます。

そのため家族信託の利用の際には、適した人物に「受託者」を引き受けてくれる人が必要です。

そのため、身内に信頼して頼める人がいない、また、受託者の役を依頼したところ承諾をもらえなかった、などの場合、信託そのものを再検討する必要があります。

【解決策】信託内容を再検討する

(1)家族以外の信頼できる人を探す

受託者は家族以外の人物でも就任可能です。

ただし、司法書士等の専門家は直接、受託者になることはできません。受託者をサポートする「信託監督人」の立場であれば就任可能です。

(2)信託内容を検討しなおす

当初の信託内容では受託者の負担が大きい場合でも、信託内容を検討しなおすことで負担感が減る場合もあります。

信託契約の仕組みを工夫したり、専門家へ信託運用について相談することで、受託者の負担を軽減することもできますので、司法書士等の専門家に相談してみましょう。

(3)商事信託も検討する

家族信託等の方法を断念せざるを得ない場合、信託銀行や信託会社などの商事信託サービスを利用する方法もあります。

信託財産の額に応じて、所定の費用がかかります。成年後見制度や家族信託よりも高額になる場合が多いため、コストとメリット面をよく比較して検討しましょう。

[2]受託者の義務が負担になる

受託者の役目の負担が大きいと断られるケースもあると思います。

家族信託は認知症対策や相続対策として大いに役立ちますが、依頼された側は受託者としての役目を負うため、義務や帳簿等の作成が負担になることがあります。

受託者の主な義務として以下のような内容が信託法で規定されています。

● 受託者の主な義務

  • 善管注意義務
  • 忠実義務
  • 分別管理義務
  • 信託事務を第三者に委託する際の選任・監督義務
  • 帳簿等の作成・報告・保存義務

受託者には信託の目的に沿って各種義務があります。

分別管理義務とは、委託者から託された財産を、受託者自身の財産と分けて管理する義務です。金銭なら信託財産用に専用口座を作って管理し、不動産の場合はその旨を登記します。

とくに重要となるのが、帳簿関連の事務でしょう。

● 帳簿等の作成・報告・保存義務

主な義務の中でもとくに「帳簿等の作成・報告・保存義務」については大きな負担となることがあります。

毎年、信託財産について貸借対照表などの必要書類を作成し、その内容を受益者に報告する義務です。

項目 内容
帳簿等作成の義務 信託財産について帳簿を作成する義務
信託財産からの支出についてその資金の動きの記録、領収書等の保管
・委託者の生活費や介護費、医療費などを支出した場合
・信託財産である不動産を売却した場合
・作成から10年間保存
貸借対照表・損益計算書の作成・報告・保存義務 毎年作成・受益者(委託者)への報告
・信託終了まで保存

これらを負担だと受け取られ、受託者の役目を引き受けにくくなることがあります。

その際は、契約内容をシンプルに変更したり、受託者に利益のあるよう設定したり、また、サポートする役目を設定するなどの対策法があります。

【解決策】受託者への報酬や信託監督人を設定する

遺言であれば財産関連は所有者本人が一人で指定できますが、家族信託は受託者が必須であるため、受託者のなり手がいなければ家族信託の成立が難しくなります。

受託者は財産管理を中心とする義務を負い、それにともなう帳簿等の作成・報告・保存義務などを守る必要があるため、受託者を引き受けたくないと思われても仕方のない側面もあるでしょう。

そのため、以下のような解決策があります。

①受託者の負担を軽減する・報酬を設定する

受託者の負担が大きいのであれば、管理の難しい不動産などを信託財産には含めず、信託開始前に処分をするのも方法の1つです。また、契約内容をシンプルに変更する方法もあります。

受託事務が仕事の一環となるよう、受託者への報酬を信託契約に盛り込むこともできます。

報酬は高額になりすぎると税金逃れとみなされたり、他の親族からの不満が出ることもあるため注意が必要ですが、ある程度の報酬の設定により受託者の仕事を引き受けやすくする環境作りも大切だといえます。

②「信託監督人」を設定する

受託者には一定の義務が課されるため、家族信託では受託者を監督・サポートする制度があります。信託契約の中で設定する「信託監督人」や「受益者代理人」です。

本来、信託監督人や受益者代理人は受託者の監督役ですが、同時に受託事務のサポートも可能です。両者とも信託契約に盛り込むことで設置できるため、そのことも含めて信託契約を設計しましょう。

また、信託監督人は専門家に依頼することもできます。

[関連記事]
家族信託を監視・監督する「信託監督人」について

[3]親族間で不公平感が生まれる可能性がある

家族信託は、委託者と受託者の二者が合意することで契約が成立します。相続人全員の了解を得ずとも存命中に相続財産についての話を進めることができるのです。

手軽に契約できるという点も家族信託のメリットですが、親族のうちの1人が受託者として財産管理をするという状況から、親族から不満が出たり、不公平感が生まれる可能性があり、のちの親族間トラブルの元になるかもしれません。

【解決策】親族間トラブルを防ぐ対策を

家族信託を始める際には、事前に親族の理解を得ることが大切です。勝手に話を進められたというトラブルは避けなくてはなりません。

そのため、他の親族人にも内容を理解してもらい、そのうえで信託契約や受託について設計することが重要です。トラブル回避に重点を置きましょう。

● 信託契約を公正証書で作成

契約の正当性を証明するためにも、また、財産所有者の同意を得ずに契約したのではないかという疑念を避けるためにも、信託契約は公正証書で作成しましょう。

公正証書であれば、公証役場にて本人確認や意思確認が行われるため、作成時に意思能力や契約能力があったことの証明にもなります。

信託契約の公正証書化について、その重要性や手続き方法について下記記事でも解説しています。
→『家族信託は「公正証書」が必要なのか。私文書では危険?

● コンサルタントから説明をしてもらう

専門家に信託設計を相談している場合、不満を持っている親族へ第三者の専門家の立場から説明をしてもらう方法もあります。

家族信託は資産管理や相続準備に有効である点など改めて説明を行い、親族から疑問が出れば、その場で解説もすることができます。

また、資産管理について親族が問題に感じている点があれば、その意見をもとに信託契約に条件を盛り込むなどの方法で対応できます。

信託契約には関わる皆の納得感が重要ですので、専門家からの説明や解説、個別の対応は理解を得るための大きな一歩となるはずです。

[4]信託できない種類の財産もある

家族信託では信託財産として契約に盛り込むことで受託者に財産管理を任せることになります。

信託財産には、お金や株式などの有価証券、車や貴重品なども含めることができますが、農地や公的年金の受給権については信託財産に含めることはできません。

● 農地について

農地は農地法により取引が規制されています。

土地の登記簿謄本に「農地等」と記載されていれば、仮に駐車場として使っている土地であっても、地目が「農地」となるため注意しましょう。

● 年金について

2ヵ月に1度、支給される公的年金は、預金口座に振り込まれると預金残高になるためその資金を信託することは可能です。

しかし、家族信託で受託者が管理する「信託口口座」は年金振込先に指定できません。

また、公的年金の受給権は信託できないため、公的年金を直接、受託者の所に振り込んでもらうこともできません。

年金受給権は親権や資格などのように本人以外には帰属が不可能な「一身専属権」に該当するためです。

振り込まれたばかりの公的年金はすぐに引き出すことは出来ないということになります。

【解決策】農地転用や年金振込口座の手続きを行う

● 農地について

信託財産にしたい場合は宅地への転用手続きをとるなど、農地以外の状態に転換する手続きが必要です。

手続きには数か月かかる場合もありますので、早めに手続きを開始しましょう。一般的に農地関連の手続きは行政書士に依頼して行います。

● 公的年金について

老後生活の重要な資金である公的年金については、受託者が管理する信託口口座に残高を移す方法で信託しましょう。

ただし、将来、振り込まれる予定の年金を資金移動させることはできませんので、本人の口座は残して、継続して年金振込先として受給できるようにする方法があります。

信託契約の段階で預金残高を一度、移動させますが、それ以降に振り込まれる公的年金は、公共料金や家賃の引き落としに充当すると良いでしょう。

口座引き落としに変更できる支払先は、できるだけ早めに変更手続きを済ませておくと安心です。

[5]受託者は「身上監護」ができない

家族信託は後見制度とは異なり、身上監護権を含みません。家族信託では財産の管理が中心となるため、委託者の身上監護を受託者が担うことはできないのです。

身上監護とは、委託者の生活、治療、療養、介護などに関する法律行為を行うことを指し、生活環境の整備や施設等への入退所の手続き、また、治療や入院の手続きなどが該当します。

契約行為は家族が代わりに手続きできますし、成年後見人であれば代理でできますが、受託者は身上監護をおこなう権利がありませんので注意が必要です。

【解決策】成年後見制度を利用する

身上監護のできる家族がいない場合は、家族信託ではなく(あるいは家族信託と併用して)、成年後見制度を利用することで解消できます。

後見人であれば、老人ホームや介護サービスの利用の契約を代わりに行うことができます。

本人の意思能力がある段階であれば、希望の人に任意後見人の役を依頼して契約することができます。

[6]家族信託を熟知した専門家が少ない

家族信託は2017年(平成19年)に登場したばかりの制度ですので、弁護士や司法書士、税理士といった専門家であっても誰もが精通しているわけではありません。

専門家への相談は必須というわけではありませんが、専門家に相談なく、自分の希望に沿い且つ法的に有効な信託契約をすることは難易度が高い部分もあります。

場合によっては遺言書の作成や任意後見制度を使ったり、併用した方が効果的だというケースもありえます。

そのような中、家族信託を熟知した専門家が少ない、相談したい時どの専門家に問い合わせたらいいのか、という問題が生じます。

【解決策】相続対策・登記の専門家「司法書士」がおすすめ

家族信託の契約に専門家のサポートは必須ではないものの、考えている信託契約に法的・税務上の問題がないかどうか、不意の課税を受けることはないかどうか、専門家にサポートしてもらえる方がスムーズに進みます。

自宅などの不動産がある場合や、相続対策で投資を検討している場合、相続時点での相談もしたい場合を考えると、専門家の中では司法書士がお勧めだといえます。

資産全体をまとめてコンサルティングできるような家族信託の受任経験の多い司法書士を探してみてはいかがでしょうか。

また、信託開始後もサポートを実施している事務所であれば、疑問や悩み、問題が生じた際も安心です。このような細やかな対応をしてもらえるかどうかについても、専門家を選択する際のポイントとなります。

《自分で家族信託を始めても大丈夫なのか?》

書籍やインターネットで家族信託についての事例や契約書の例が紹介されていることがあります。

参考になる情報でしょうし、有益な情報を見て、家族信託を検討することにした、というご家族もいるでしょう。

ただし各家庭の財産や所有者の意向は千差万別であり、見本に沿った契約内容を作成しても、有意義な内容になるかどうかは不明です。

また、他の家族では税務上、何の問題もない事例であったとしても、それがどの家族にとっても同じように大丈夫、とは限らないのです。

個別の事情により家族信託契約の設計内容は異なりますので、最適な仕組みができるよう、専門家へ相談し、事情を把握してもらった上で仕組み作りをした方が安心だといえます。

[関連記事]
家族信託を自分でやる?手続きの流れや注意点を解説

《不動産があるなら司法書士がおすすめ》

専門家への相談は不要だと思っていても、自宅などの不動産があり、信託契約で登記を行う場合、司法書士に依頼する場面があることも押さえておきましょう。

信託登記は通常の売買時の登記とは異なる内容の記載となり、登記情報は誰でも閲覧できるサービスがあるため、登記申請には注意を要します。

信託内容を適切に記載しつつ、必要充分な内容で申請する必要があるため、登記の専門家である司法書士へ依頼する方法が一般的なのです。

そのため、家族信託を熟知している司法書士が選択肢の1つに入ってくるといえます。また、土地家屋調査士や税理士、ファイナンシャルプランナーなど、横の連携のある司法書士法人であれば手厚い対応も期待できます。

低コストなどの利点よりも、家族信託や相続の分野に力を入れており、信託がスタートした後も相談できるような専門家に依頼することが大切です。

《自治体主催の無料相談会は?》

自治体などで主催する無料もしくは低料金の法律相談会で話を聞いてみるという方法もあります。

ただ、このような無料相談会の場合、必ずしも家族信託に詳しい専門家が対応してくれるとは限らないため、様子を見る機会として見てはいかがでしょうか。

士業などの専門家への相談に慣れていない人も多く、伝えたいことを正しく伝えられず、欲しい回答を得られなかった、という場合もあります。

また、相談に行ったものの、必要な資料が足りなくて具体的な相談が進まなかった、ということもあり得るからです。

専門家選びは迷う部分もあると思いますので、納得のいくまで調べて検討していくと良いでしょう。

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【税金面】家族信託の注意点と対策法とは?

家族信託は資産管理に有効で、自由度の高い制度です。ただし、税金の面で以下のような注意点があります。

(1)直接の相続対策にはならない

(2)信託分・信託外をまとめて損益通算できない

(3)遺留分に配慮する必要がある

とくに相続税については将来トラブルとなる可能性があります。相続用に不動産を所有している場合など、税務面での確認が必要となりますので、ぜひ専門家へご相談ください。

(1)直接の相続対策にはならない

一般的に相続対策とは、財産を分散させたり評価額を減らしたりすることで、相続人が将来負担するであろう税金の額を軽くすることを意味します。

相続人に引き継がれる財産の評価額を下げる準備をするのが相続対策です。

家族信託では相続内容の指定をして資産の承継はできるものの、家族信託をすることで評価額の引き下げを意味するわけではないため、直接の効果として、税負担を軽くすることはできないのです。

【家族信託による資産運用の効果あり】

直接の相続対策にはならないものの、家族信託の契約により本人の健康面に左右されず、資産運用や相続のための資産活用を継続することができます。

信託契約に基づいて受託者が取り仕切る管理運用となりますが、所有資産を使って購入・売却が可能となるため、間接的な対策は可能です。

例えば相続税対策でマンションを購入して賃貸したり、もともと所有している土地に賃貸アパートを建てたりと、不動産を動かすことで将来かかる相続税を軽減する対策をとるケースもあるでしょう。

このような事業を行う場合、計画に年数がかかる点がリスクと考えられがちですが、信託契約で受託者に管理を任せることができるため、年数がかかることへの心配がなくなります。

(2)まとめて損益通算できない

所有している不動産を、家族信託で信託するものと信託しないものに分けるケースもあるでしょう。

その際、信託財産かどうかにより資産が区分けされるため、全体での損益通算ができなくなるという点に注意が必要です。

例として、賃貸アパートを2棟所有し、A棟が黒字、B棟が赤字になったとします。

この場合、通常であればA棟の黒字とB棟の赤字を合算して損益通算後の額で事業所得として納税額を計算しますが、信託財産とそうでない財産の場合、損益通算の対象にできません。

信託財産は信託財産の範囲内のみ、信託していない財産はその財産の範囲内で損益通算をする点に注意しましょう。

【注意点の対策をするには】

所有不動産の一部のみを信託する際は、収益の見込みを想定して、信託するかどうかを決めるようにしましょう。

また、管理の予測ができない財産については早めに処分を検討するなど、所有資産をスリム化しておくことも選択肢の1つとなります。

(3)遺留分に配慮する必要がある

家族信託の信託内容を設計するときは、遺留分を配慮して考える必要があります。

遺留分とは法律によって決められている各相続人の最低限の遺産の取り分です。資産全体を受託者1名に任せる場合、将来の相続予定の親族から不満が出ることがあります。

信託の内容は委託者と受託者の2者間で決めることができますが、相続人全体の中で不公平が起こらないように遺産の配分を設計することが重要です。

【注意点の対策をするには】

仮に遺産を特定の相続人に渡したいと想定していたとしても、他の相続人とのトラブルとならないよう、また、遺留分請求に対応できるよう、各遺留分を想定して信託の構成を考える必要があります。

また、家族信託は遺言書との併用も可能です。

信託契約のみでは契約的に不十分であっても、遺言書との併用により相続の指定を調整することもできます。

資産全体を通してアドバイスが可能ですので、家族信託や遺言書の作成も含めて、ぜひ司法書士等の専門家にご相談ください。

[関連記事]
家族信託を活用した相続対策についてはこちらの記事もご参照ください。
【家族信託を活用した相続対策】かかる税金や具体事例も紹介

【費用面】家族信託の費用は高い?いくら必要?

成年後見制度に比べると家族信託の費用は高いといわれがちです。

家族信託の設計しやすさや利用のしやすさを除外して、シンプルに初期投資の額のみに注目すると、確かにある程度、まとまった費用が掛かります。

ただし、法定後見人への報酬も毎月2〜6万円が必要で、年間数十万円〜100万円にも上ります。数年内で数百万円の報酬が必要になります。

任意後見の場合の「後見監督人」は、上記、法定後見人の報酬の半分ほどの費用が必要です。

このような費用が永続的に必要となるため、家族信託の初期費用と比較してみましょう。

実費(税金など国に納めるお金)

《公証人手数料》

家族信託では、契約書を公正証書で作成します。公証人の手数料は託す財産の価額により、1万円から5万円が目安となります。

《不動産登記登録免許税》

所有権の信託登記について以下の費用が掛かります。

● 土地の所有権移転費用

固定資産税評価額の1000分の3(0.3%)
※土地の所有権の移転登記については軽減措置により令和5年3月31日まで軽減税率が適用

(例)固定資産税評価額が1,000万円の土地の場合→3万円

● 建物の所有権移転費用

固定資産税評価額の1000分の4(0.4%)

● 登記を司法書士に委託する際の手数料

登記は通常、司法書士に依頼して手続きをします。この場合、司法書士に支払う報酬も別に発生します。

(例)固定資産税評価額が2,000万円の建物の場合→8万円

《信託口口座の口座関連費用》

現預金などを信託する場合は、信託専用の「信託口口座」を作成して委託者が資金を移し、受託者が管理します。

銀行によっては一定の口座開設料や管理手数料がかかることがあります。手数料は数万円かかることもありますので、利用先の銀行にあらかじめ確認しておきましょう。

[関連記事]
信託契約対応の銀行一覧【まとめ】

信託契約のコンサルティング報酬

専門家に支払う報酬として、一般的に、コンサルティング報酬と契約書作成報酬が発生します。

  • コンサルティング報酬
  • 家族信託契約書作成報酬

おおむね、信託財産の1%程度、最低金額30万円〜40万円程度に設定されていることが多いようです。

専門家報酬のため、信託内容や財産の種類、事務所・専門家により違いがあります。

[関連記事]
家族信託に必要となる費用について、こちらの記事でも解説しています。
ご自身で家族信託を成立させると仮定した場合のコツや注意点についても解説していますのでご参照ください。
家族信託に必要な費用を解説!費用を抑えるポイントとは?

専門家を選ぶコツ

まだ世の中では家族信託に熟練した士業は少ないのが現状ですが、専門家に相談することで、信託の組成や財産の引継ぎ全般についても相談することが可能です。

また、家族信託の実績を積んでいる専門家の場合、信頼できる税理士とのネットワークを有していることが多いため、税金の相談についてもスムーズに対応してもらえます。

家族信託の組成には特有の税金の知識や法的解釈も必要となるため、家族信託を熟知している積極的にサポートをしている事務所がおすすめです。

また、家族信託のためのネットワークを有している司法書士法人であれば細やかな対応が可能です。

上記のような税務面を相談できる税理士だけでなく、家族信託には、農地の宅地転用にかかわる行政書士や、ライフプラン・生命保険の相続活用についても相談できるファイナンシャルプランナー、不動産鑑定士などの力を借りることがあります。

安心できるネットワークを有している事務所へのご相談をご検討ください。

早めに取り掛かり納得のできる対策を

家族信託は柔軟性のある設計ができ、遺言や成年後見制度では実現しにくい項目も指定できるようになります。

ただし内容によっては遺言や成年後見制度を利用した方が適しているケースもあり、設計方法や税金面での注意点などを、家族信託の専門家へ相談すると安心だといえます。

また、この記事でご紹介の通り、老後対策は早めの準備が重要です。

司法書士や税理士など専門家のアドバイスをもとに、納得のできる家族信託の仕組みつくりをおすすめします。

家族信託をご検討の方へ

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