家族信託の手続きは難しい?手続きの流れと費用を詳しく解説!

家族信託の手続きは難しい?手続きの流れと費用を詳しく解説!

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高齢者の財産を管理する方法しては、成年後見制度が良く知られていますが、最近では同じく高齢者の財産管理の方法として、家族信託が注目されるようになりました。

しかし、家族信託は比較的新しい制度であるため、その手続きの方法や費用について、多くの人はよく理解できていないのが現状です。

ここでは、家族信託の手続きや費用などについて、詳しくご説明いたします。

家族信託の手続きに入る前に検討すべきこと

家族信託は、高齢者の財産を家族が管理する制度ですが、実際の手続きを行う前に、高齢者本人の配偶者、子どもたち、親戚などとの間で、検討すべきことがいくつかあります。

何のために家族信託を行うか

まず、検討すべき事柄の1つ目は、何のために家族信託を行うのか、つまり家族信託の目的です。

現在時点で認知機能に問題がない高齢者(委託者)の財産を家族の誰か(受託者)が管理するには、それなりの理由や根拠が必要です。

初めにこの点を明確にして、家族全員の合意を得ておかないと、後でトラブルが発生する可能性があります。

信託財産をどうするか

2つ目に検討すべきことは、委託者の財産のうち、どれを信託するかということです。

一般的に信託できる財産は、現金、預貯金、有価証券(株式など)、不動産などです。

受託者は、信託によって託される財産についての管理・処分権限を有するようになりますので、受託者が実際に管理、運営する財産についても、家族全員が納得した上で決定しないと、後々トラブル発生の原因となる可能性があります。

信託契約の内容をどうするか

具体的に、誰がどの財産を何のために信託するか、家族全員が合意したら、3つ目に検討すべきことは、具体的な信託の内容です。

例えば、信託財産に収益を生み出す不動産や株式等が含まれる場合には、受託者が委託者から財産を託された後も、その収益は発生し続けることになりますが、それを誰が受け取るのか、ということは信託の内容として定めておかなければなりません。

この利益を受取る人(信託では「受益者」と呼びます。)を定めなければ、家族信託を有効に機能させることはできません。

通常、信託財産から生まれる利益は、もともとの財産の持ち主である委託者が受け取るものとして設定します。(委託者と受益者が同一人物となる。)

もちろん、委託者以外の方を受益者とすることもできますが、その場合、受益者に対して贈与税が課税される場合がありますので注意が必要です。

信託監督人

また、家族信託では、受託者が委託者の財産をきちんと管理・運営しているか監督する人(信託監督人)を置くことができます。

家族信託の受託者は非常に大きな権限を有するようになりますので、その受託者を監督する立場の人を置くことが認められているのです。

この信託監督人を置きたい場合には、信託の契約上、監督人を置ける旨と、誰を監督人とするかを定めておく必要があります。

第二受益者等

また、受益者が亡くなった場合に、次の受益者を誰にするのかも、決めておく必要があります。

さらに、委託者が亡くなった場合にはどうするのか。

すなわち、信託を終了させて、財産を相続人に渡すのか、はたまた、信託を継続させて、受益者を委託者から別の家族に変更することにするのか、についても決めておかなければなりません。

家族信託は、成年後見制度に比べて、家族間で取り決めを行って始められる手軽さがありますが、それだけに、関わりのある家族全員が十分に話し合い、合意していないと、思わぬトラブルが発生することになりますので注意しましょう。

家族信託の手続きの流れ

家族全員で、家族信託の内容が合意できたら、次はいよいよ具体的な家族信託の手続きを進めます。

委託者と受託者、委託財産の内容、受益者、信託監督人、委託者や受益者が亡くなった後の取り扱いなどについて定めた、「信託契約書」を作成します。契約書の内容は、できるだけ具体的に記載し、曖昧な表現やルールはできるだけ避けるようにします。

また、「信託契約書」の原案を作成したら、できれば家族や関係する親族全員に見てもらい、内容の共有をしておく方が、後々のトラブルを回避できます。

信託契約書のひな形は、インターネット上でも見つけることができますが、信託契約の内容は人それぞれで異なり、ひな形がそのまま使えることはありません。

なので、よほどシンプルな内容の信託契約とするか、または、委託者・受託者・その他家族親族の中に法的な素養がある方がいる場合を除き、信託契約書の作成は専門家に依頼したほうが良いでしょう。

また、契約書を自力で作成した場合は、その契約書について、登記は可能か(信託財産に不動産がある場合)、税務上の問題はないかなどについて、弁護士、司法書士、税理士などの専門家に確認をしておくと安心です。

「信託契約書」の内容が決定したら、公証役場で「公正証書」として作成するのが理想的です。「公正証書」にすることは、家族信託において必須ということではありません。

しかし、締結した家族信託が、委託者、受託者に意思に基づくことを公的に証明することは、後々のトラブルを避ける方法として有効であるため、公正証書として作成するのがおすすめです。。

「信託契約書」が完成したら、委託者の財産を受託者の名義に変更することになります。名義変更の方法は、財産によって異なります。

例えば、委託財産が不動産であれば、法務局で名義変更の手続きをしなければなりません。

また、通常の登記情報のほかに、「信託目録」という形で信託の内容も登記されることとなります。

不動産や有価証券の名義変更と同時並行で、財産管理のための銀行口座を開設します。

具体的には、受託者名義で口座を作り、委託者の現金、預貯金をその口座に入金する流れになります。

なお、家族信託には、「信託から30年経過後に受益者となった者が死亡すると、信託契約は終了する」という規定があります。

これを「30年ルール」と言います。信託契約をこれよりも長い期間を想定してつくっていたとしても、この30年ルールが適用される場合には強制的に終了になりますので、この点には十分気を付けておく必要があります。

家族信託の手続きの必要書類

家族信託の手続きで、「信託契約書」を公正証書にする場合に必要となる書類等について記載していきます。

公正証書作成の必要書類

まず、「信託契約書」に署名捺印する際には、実印を押印しなければなりません。

実印とは、委託者、受託者が、それぞれ住んでいる市区町村役場に届け出ている印鑑のことです。

実印の届出をまだしていない場合には、その手続きから始めることとなります。

契約書作成当日には、実印の持参を忘れないようにしましょう。

次に、公証役場で「公正証書」にする際に必要な書類等ですが、委託者、受託者の本人確認書類として、印鑑証明書が必要となります。

なお、印鑑証明書は3か月以内に取得したものでなければいけません。

また、信託に財産に関する資料も必要です。

例えば、信託財産に不動産がある場合は、不動産の「登記事項証明書」を法務局で入手しなければなりません。

さらに、不動産の価格を明確にするために、毎年市区町村役場から送られてくる「固定資産税課税明細書」も準備しなければなりません。

その他、公証役場によって求められる書類が異なる場合がありますので、公正証書の作成を依頼する際は、必ずあらかじめその公証役場が求める必要書類を確認しておくようにしましょう。

なお、公正証書作成時には手数料も発生しますので、あらかじめ見積もりを確認しておき、費用も準備して公証役場に向かいましょう。

以上が、「信託契約書」を公証役場で公正証書にするために必要な書類です。信託財産に不動産が含まれる場合には、この手続きが完了したら、不動産を受託者の名義にする必要があります。

この手続きは、法務局で行いますが、必要な書類は、次のとおりです。

不動産登記の必要書類

まず、委託者の実印、委託者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)、不動産の登記済証または登記識別情報(いわゆる権利証です。)、委託者と受託者の本人確認資料、受託者の住民票、受託者の印鑑です。受託者の印鑑は認印でも構いません。

なお、不動産の種類によっては、上記以外の書類が必要となります。詳しくは、法務局に直接確認するか、司法書士に相談しましょう。

公正証書によって家族信託を行う場合の手続き

公正証書によって、家族信託を行う場合に必要な書類は先程ご説明しましたが、具体的な手続きの流れについて、お伝えしていきます。

まず、公正証書とは何かということですが、契約書や定款(会社の根本的な規則)等を公証人という法律の専門家がチェックし、「確かに、契約などをした当事者が、その意思に基づいて作成しました。」というお墨付きをもらうことです。

通常、当事者同士で話し合い、「契約書」を作成して署名捺印しても契約自体は成立します。

しかし、その「契約書」の内容を第三者が確認していなければ、当事者の一方が勝手に作ってものあるという可能性を完全には否定しきれません。

もちろん、誰もそのような文句を言わなければ何も問題はないのですが、万が一家族信託の内容について後々トラブルになった際には、契約書を公正証書で作っていなかった場合、「契約書が勝手に作られたものだ」という主張を排除することができないため、公正証書で作成しておく方が安全なのです。

また、公証人は法律のプロなので、明らかに法的に誤った契約内容となっている場合には、その旨を指摘してもらえます。

なので、公正証書で家族信託の契約書を作成しておけば、少なくとも法的に無効な契約書となってしまうことはありません。

但し、公証人はその家族信託が実際にうまく機能するかまでは見てくれませんので、公正証書で作成したからと言って、完全な契約書ができるというわけではなく、あくまでも細かい内容については、当事者にて責任を持って作り込んでおく必要があります。

信託契約締結後に必要となる手続き

委託者と受託者の「信託契約」の締結だけでは、家族信託は完了しません。委託者の財産を受託者に移転して、管理・運用できる状態になって、初めて家族信託が完了することになります。

「信託契約」締結後の流れは、先程簡単に説明しましたが、ここで改めて詳しくご説明いたします。

委託者の現金、預金については、信託専用の銀行口座を作る必要があります。名義は、「委託者○○…、受託者○○…信託口」となりますが、現在、この信託用の口座は特定の金融機関でしか作成ができませんので、事前に口座を作りたい金融機関でその口座の開設が可能か確認をする必要があります。

委託者の不動産(土地、家屋)については、法務局で名義を変更する必要があります。

名義変更後は、「受託者○○…」、「委託者○○…」、「受益者○○…」と登記簿に記載されることになります。名義変更が完了すると、受託者は不動産を売却したり、修理・修繕をしたりすることができます。

その他、次の事項についても、手続きが必要です。

  • 建物の火災保険、地震保険等の契約者変更(建物を信託した場合)
  • 固定資産税、水道光熱費などの引落口座変更
  • 信託不動産に賃借人がいる場合の賃料振込口座変更
  • 株主名簿の書き換え(株式を信託した場合)

家族信託手続きの費用

家族信託に関する手続きは、専門的な知識が必要ですから、弁護士や司法書士などの専門家に相談、依頼することが一般的です。

この場合に必要な報酬・費用について、詳しくご説明します。

手数料・コンサル料

まず、専門家に相談する際に、相談料やコンサルティング料が必要になります。

報酬の金額は、信託する財産の量や内容によって異なります。報酬・費用の相場としては、信託財産の1%程度、最低金額30万~40万程度としている専門家が多いです。

したがって、例えば、自宅不動産(評価額5000万円)を信託する場合には、50万円程度のコンサルティング料が発生することになります。

「信託契約書」を公正証書する際には、公証役場に対して手数料を支払う必要があります。

この手数料は信託財産の金額によって変動し、信託財産の金額が大きいほど高くなります。

公証人の手数料は公証人法で決まっており、信託財産が1億円の場合で5万円程度となっています。

信託財産に不動産がある場合に、法務局で名義変更の手続きを行う必要があります。

この手続きを登記の専門家である司法書士に依頼する場合には、手数料として10~20万円程度必要です。

また、法務局には登録免許税を納める必要がありますが、その金額は不動産価格の1000分の4(0.4%)です。

ただし、土地については1000分の3に軽減されています。

以上が、家族信託を行う際に、専門家に支払う報酬・費用の金額です。

また、その他にも、家族信託の利用に伴う税金関係の問題に注意が必要です。

税金関係

まずご留意いただきたいのが、この記事の冒頭部分でも触れた、贈与税の問題です。

受益者を委託者以外の方とした場合には、その受益者に対して贈与税が課税されることとなります。

したがって、家族信託を行う際は、通常は委託者と受益者を同一人物とします。

また、委託者が亡くなり、委託者が持っていた受益権を相続人が相続した場合には、その受益権に対して相続税が課されることになります。

委託財産に不動産がある場合、不動産の名義が委託者から受託者に変更されますから、受託者は、不動産に課税される固定資産税を納めなければなりません。固定資産税は、不動産の所有者に課税されるためです。

もちろん、受託者はこの支払いを信託財産として預かっている金銭からすることが可能です。この固定資産税の支払いがあるため、通常、不動産を信託する際は、現金も併せて信託します。

まとめ

家族信託の手続きについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか?

家族信託は、委託者と受託者が合意した上で、契約を結べば成立します。

この点では、成年後見制度に比べて、煩雑さは少ないのですが、他の家族のとりまとめや契約内容の精査、公正証書の手続き、不動産の名義変更など、注意すべき点が多くあります。

従って、早い段階で専門家に相談して、手続きを依頼することが、後々のトラブルを避けるためのコツとなります。

カテゴリー:家族信託

タグ:手続費用

この記事の監修者
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

司法書士
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

神奈川県出身/平成21年司法書士資格取得 トリニティグループの信託部門にて、実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。

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