家族信託とは何か?わかりやすく解説をします。

家族信託とは何か?わかりやすく解説をします。

最終更新日 公開日

家族信託という制度の利用が、今急速に広まってきています。

日本社会の高齢化・長寿化が進み、高齢者が持つ財産の管理や財産の保全の必要性が高まり続けていることがその主な要因です。

家族信託は、国家権力による制限なく、高齢者の資産管理・保全ができる手段として、現在、唯一無二の存在です。

今後もその需要は高まり続け、将来的には個人資産の管理のために欠かせない存在になるのではないかと思われます。

私たちトリニティグループは、家族信託の相談を累計500件以上受けてきました。

このページでは、家族信託について理解していただくために「家族信託とは何か」についてわかりやすく解説させていただきます。

家族信託とは わかりやすく 解説します! (概要・仕組み)

家族信託とは簡単に言うと「家族を信じて自分の財産を託す」という行為のことです。

財産(預金・自宅・収益不動産・株式等)を保有する方が、その管理・運用・処分等を信頼できる親族などの第三者に託す行為です。

人間は歳を重ねるとともにさまざまな機能が低下してしまいます。機能低下が進み、そこで認知症などになると法律上「意思無能力者」と判断され自らで介護施設への入所の手続きや自宅の売却などの法律行為を行うことができなくなってしまいます。

そこで、信頼できる家族などに「家族信託」という制度を使って財産管理をしてもらうことにより、財産管理ができなくなる、という危険性を取り除こう、というのが家族信託を利用する理由です。

財産を管理する権限を健康な家族に託すことができるというのは、成年後見制度と似ていますが、後見制度は家庭裁判所や弁護士、司法書士など、国家権力や専門家の介入があります。また、財産の管理処分の範囲に制限を設けられ自由に財産の管理ができるとは言えません。また、成年後見制度では、後見人となった弁護士などに報酬を支払わなければいけないのに対して、家族信託では、当事者間で取り決めをしない場合には、報酬の支払いは必要ではありません。

このような背景もあり、家族信託は、後見制度に代わり、人生100年時代といわれる昨今においてなくてはならない存在として非常に注目されています。

家族信託の仕組みは、「財産を託す人(委託者)」、「財産を託される人(受託者)」、「信託された財産から生じる恩恵を受け取る人(受益者)」という3つの立場の登場人物で構成されています。「受益者」についてはイメージしにくいかもしれません。「いざとなったら自分の家族を頼む。必要なお金は自分の財産から使ってくれ」と頼むようなケースで考えてみてください。この場合、頼んだ人が委託者で、頼まれた人が受託者、そして頼んだ人の「家族」が受益者になります。

 ただ、最近では、委託者と受益者が同一人物となる場合が増えてきています。それが、「認知症になって自分が介護施設に入ることになったら、この口座からお金を使ってくれ」というような場合です。自分のためにかかるお金は、子どもや孫に支払わせるのではなく、自分の預金から使ってほしい。そういう場合には、自分が委託者であり、受益者も自分となります。

 このように、受益者は必ずしも第三者である必要はなく、委託者自身が受益者になることも可能なのです。純粋に、自分の財産の管理を他人に任せるという構図です。

家族信託とは わかりやすく 解説します! (概要・仕組み)

昨今、相続をめぐる争いは増え続けており、平成29年度「司法統計年報」によれば、遺産分割事件(家事調停・審判)の新受件数は16,016件となっています。昭和60年には6,178件だったので、平成というひとつの時代の間に2・5倍以上にも増えているということになります。

 それまで強い絆や信頼で結ばれていた家族でも、それぞれに価値観や思い、また暮らしの事情があるときに、それがぶつかってしまってうまくいかなくなるということは多々あります。

 そして、相続争いは、本人が高齢になってきたときから、その前哨戦が始まるのです。例えば、子供たちが親をそそのかして自分に財産が相続されるように遺言を書き替えさせる、遺言の書き換え合戦などは、ドラマの中だけの話ではなく、実際に現実世界で発生しているのです。

 このような問題は、本人が認知症になる前に、老後の財産管理方法や相続時の分配などを家族信託によって明確にしておくことで、解消できます。

 家族信託は、財産の管理・保全だけでなく、家族間の関係性を明確にし、その結果相続発生前に、相続問題を予防する機能までもを有しているのです。

家族信託の注目される理由とは? わかりやすく解説します!

2007年(平成19年)に改正信託法が施行されました。これにより、本格的に家族信託の利用が可能となりました。

厚生労働省の「平成28年版高齢社会白書」によれば、2012年の時点で日本の認知症患者数は約462万人、65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症に罹患していることになります。さらに2025年には約700万人にまで増加し割合としては高齢者の5人に1人が認知症になると試算されています。また、2018年8月の日本経済新聞では、2030年には認知症患者が保有する金融資産が215兆円に達する見込みとされていました。

これは認知症患者が保有する財産は日本の各家庭が保有する財産の約15%にあたります。これは金融資産のみの話ですので、高齢者が有する不動産等も含めた場合には、この割合はさらに上がることになります。

認知症になどになり「意思無能力者」とみなされると自らの力で自宅を売却したり、介護施設への入所手続きができなくなったり、銀行でお金を引き出すことができなくなったりしてしまいます。つまり、何も対策を講じなければ2030年には日本の家庭が保有する財産の15%が動かない財産となってしまう可能性があるということです。

 これまで、「意志無能力者」となった人の財産管理は、成年後見制度によって家庭裁判所が選任した後見人が代理人として行ってきました。

 成年後見人制度は2000年から始まったもので、これには「法定後見人制度」と「任意後見人制度」の2種類があります。

法定後見人制度は、認知症になった人などが自分で行うには難しくなってしまった介護施設への入所手続きや不動産の売却などを、裁判所が選任した人が本人に代わって行うというものです。

任意後見人制度は、認知症などになる前、つまりまだ意志能力がある段階で、もし自分が意志無能力になってしまったとき、「この人に自分の代わりに財産の管理や契約などを行ってほしい」という後見人をあらかじめ決めておく制度です。任意後見制度では、後見人を自由に選ぶことができますが、実際に任意後見が開始する場面では、家庭裁判所が選任した後見監督人が後見人を監督することとなるため、第三者の介入を免れることはできません。

この成年後見制度ですが、利用が進むにつれてデメリットが相当あることがわかり、利用はあまり進んできてはいません。そのデメリットとは、「財産の管理処分に制限がかかる」、「後見人に対する報酬の支払いが必要となる」といった利用者(意志無能力者の親族)にとって、歓迎できない条件がついてきてしまうことです。

 また成年後見制度では一部の財産管理について裁判所が関与します。たとえば、本人が住んでいる自宅を売却したい場合には、事前に裁判所の許可を得なければ売却ができなくなってします。かたや、高齢になって介護施設に入らざるを得なくなった場合には、介護施設に入るためにかかるお金を、自宅不動産を売却して何とかしたというケースが少なくありません。こんな時に、裁判所の許可をとることが必要なわけですから、売却に良い時期を逃してしまったり、許可が下りるまで入居費が捻出できなくなってしまう、という問題が発生してしまうのです。

 この利用しづらい後見制度は、社会全体の高齢化が進む中で、社会問題視されるほどにもなってきています。そこで注目され始めたのが、家族信託なのです。

家族信託の注目される理由とは? わかりやすく解説します!

家族信託を検討・組成した方がいい人とは?どんな時に家族信託が必要に?

 家族信託は、社会の高齢化が進む中で注目されてきたもので、多くの方が認知症対策として利用しています。両親など家族が管理運用を必要とする不動産や有価証券などの財産を保有しており、かつ認知症を発症する可能性・危険性があるという場合には、家族信託を利用することで、そのときに起こりうるさまざまなトラブルを回避し、家族の誰もが納得のいく財産管理を行うことができます。

 この家族信託を開始するための条件は、当事者双方に意志能力があることです。つまり、高齢になった両親を委託者としようとする場合、認知症によって本人が意志能力を失ってしまう前に行う必要があるということです。したがって、家族信託を活用する場合には、できるだけ早く準備を進める必要があります。

「そろそろ親も高齢になってきたし、財産のことを決めておいたほうがいいかな」

「自分がいつ認知症になるかわからないから、そうなってしまったときに財産をどうするうか決めておこう」

 と思ったときには、なるべく早めに専門家に相談することをおすすめします。相談する相手は、税理士や司法書士といった税金や法律の専門家がいいでしょう。

専門家探しにおいては、注意点があります。家族信託に明るい専門家はまだ限られているのが現状である、という点です。ですから、専門家に相談する際には、今までにどれくらい家族信託の案件に携わってきたか質問してみるようにしてください。家族信託は税務上のリスクもありますから、そのリスクに対して配慮せずに始めてしまうと、後々多額の税金が課税されてしまうこともあります。そうならないためにも必ず経験豊富な専門家に相談するようにしてください。

家族信託を検討・組成した方がいい人とは?どんな時に家族信託が必要に?

家族信託での「委託者」とは誰を指すのかわかりやすく説明します

家族信託で「委託者」と呼ばれる人は、自分の財産を託される人(受託者)に託す立場の人を言います。

「託す」とは具体的にどのようなことをするかというと、

  • 誰に財産を管理してもらうのか
  • 誰の為に信託をするのか
  • 信託する財産を何にするか
  • 信託財産をどのように管理してもらうのか
  • いつから信託をして、いつ信託が終わるのか

等を定め、自分が持っている財産を受託者に渡すことを言います。

家族信託を行っておけば、委託者が認知症になって意思能力を喪失してしまっても、財産を託した人に管理してもらうことが可能です。

「委託者」と呼ばれる人は、信託契約をするときに、信託をする財産の管理方法や処分方法などに様々な決まりごとを設定できます。

信託できる財産の種類には特に制限がなく、法律上は、財産権と考えられるもの(価値がお金に換算できるもの)であれば、すべて信託できるものとされています。

しかし、実際には、手続き上の問題や他の法律との関係で信託ができない財産も存在します。

委託者が信託できる財産の例です。

  • 預貯金などの金銭(預金債権ではない)
  • 土地や建物などの不動産
  • 株式や国債などの有価証券
  • 特許権や著作権などの知的財産権
  • 自分が経営する会社の事業や株式

他にも、保持している貴金属やゴルフ会員権なども信託の対象にすることができます。

言うまでもなく相続が発生したときは全ての財産を相続することになりますが、家族信託ではこれらの財産の中から信託したい財産のみを選び信託する事ができます。

現状信託する個が困難な財産としては、有価証券があります。現金や預貯金などは信託のための受託者名義での口座を開設することができます。しかし、証券会社では受託者名義での口座開設に対応していないところが多いのです。法的に信託する事はできても現状、受託者が信託財産の分割管理をすることが困難である故に、実質的に信託ができないとなってしまいます。(受託者には、自分個人の財産と信託財産を分けて管理しなければならないという義務があります。この義務を、分別管理義務と呼びます。)

もちろん、証券会社でも積極的に家族信託の対応をする会社もあるので、そういった証券会社であれば家族信託の信託財産として扱うことは可能です。 

また、借金などの負の財産や、年金受給権・生活保護受給権といったその人自身に属する権利も、信託する事ができません。

委託者が既に「意思無能力者」になってしまった場合には家族信託をすることはできません。

意思無能力者になってしまうと法律行為・契約行為ができなくなってしまうためです。

認知症などによって委託者となる予定の人が意思能力を失う前に行う必要があるので、家族信託の制度を利用するなら、出来るだけ早く準備を進める必要があります。

また、家族信託では「委託者」が死亡してしまった時に、信託が終了すると決めておくケースが大半です。この場合、信託契約の中に、信託が終了した場合には、誰が信託財産を引き継ぐのかについても定めておきます。この定めは、遺言と同じように機能するので、家族信託を活用した場合、信託をした財産については、遺言を残したことと同じ効果が得られるのです。

家族信託での「受託者」とは誰を指すのかわかりやすく説明します

わかりやすく説明すると「委託者の財産を委託者から信じて託された人」のことです。もともと財産を持っていた人から財産を預かり、その財産を委託者の為に管理をする人です。

家族信託で「受託者」と呼ばれる人は、財産を所有していた人(委託者)から信託財産の移転を受け、委託者との間で結んだ信託契約に基づいて、信託された財産から恩恵を受ける人(受益者)のために信託財産の管理・処分等を行います。

受託者は、信託の目的に沿いながら、信託された財産の管理や保存をしていきます。例えば、不動産などを信託された場合には、その不動産の賃貸収入を得るための行為を信託契約上認めておく形で信託を組みます。また、信託の定めによっては不動産の購入や借入をすることもできます。信託の目的に沿って、様々な権限を受託者に持たせることができるのです。

ただ、当然ですが、受託者には賃貸収入を得るための行為をする権限が認められているにすぎず、賃貸収入自体はあくまでも委託者のものとなります。

これは不動産に限られたものでなく信託財産から得た利益はすべて受益者のものになります。

受託者の義務

受託者には多くの権限が定められているのと同時に、義務を定められています。

「分別管理義務」、「善管注意義務」、「忠実義務」、などがあります。

「分別管理義務」については先ほども少し触れましたが、受託者は信託として預かった財産と個人の財産を混ぜてはならず、分けて管理(分別管理)しなければならない、というものです。

このほかに、受託者は善良な管理者の注意義務をもって信託事務を処理しなければならいという定めが信託法に存在し、この義務を「善管注意義務」と呼びます。善良な管理者の注意とは何かというと、自分の財産を管理するよりもより注意深く管理の対象物を取り扱わなければならない、という義務です。他人の財産ですから、当然だろう、という感覚を覚えるかと思いますが、そのイメージで問題ありません。

また、受託者は信託の目的のもと、受益者の利益のみのために行動しなくてはなりません。

この義務を「忠実義務」と言います。どういうことかというと、例えば、信託された不動産を売却する際に、不動産会社Aは接待をしてくれるが売値は安い、不動産会社Bは接待はしてくれないが売値は高い、といった場合に、受託者の目線からすれば、不動産会社Aに依頼するほうが都合がいいですが、受益者の立場からすれば売値が高い不動産会社Bに依頼するほうがメリットが大きいわけです。

このような時に、受託者は当然に不動産会社Bを選ばなければいけませんよ、というのが忠実義務です。

受託者の資格

受託者になれる人の条件について、信託法は一部制限を設けていて、

未成年者は、受託者とはなれないものとされています。

家族信託の受託者は、他人の財産を預かり、しっかりと管理していかなければなりませんから、知識や経験が未熟な未成年者が受託者になれるとすると、制度の安定性を害してしまうおそれがあるため、法律があらかじめ禁止しているのです。

また、未成年者でなかったとしても、信託財産を管理する受託者は、信託においてとても重要な役割を担う立場に置かれます。

ですから、受託者を決める際にはその役割を担うに相応しい人物を選任することが大切です。受託者選びを失敗すると家族信託はうまく活用できません。

家族信託での「受益者」と呼ばれる人とは?

家族信託で「受益者」と呼ばれる人は、信託財産から恩恵を受ける人のことを指します。

基本的には信託契約で自分の財産を託した人が受益者を決めています。

わかりやすく説明をすると「いざとなったら自分の家族を頼む。必要なお金は自分の財産から使ってくれ。」と頼むようなケースでの「自分の家族」のことを指します。

家族信託では、「委託者」と「受益者」が同一になるケースがほとんどです。例えば、認知症になって自分が介護施設や病院に入ることになったら、自分の財産から出して欲しいときなどに活用されています。介護費用などで自分の子供や親族に金銭的な部分で負担をかけたくないと思っている方にとっては非常に有効です。

 このような場合には、自分が委託者であり、受益者にも自分となります。

もちろん、委託者以外の方も受益者になることができます。例えば委託者の配偶者や子供などの親族を受益者として、信託をするケースも多くあります。また、個人だけでなく法人も受益者となることができます。

それに加えて胎児や将来生まれる現在未存在の子孫も受益者に設定することができます。

また、受益者は複数名設定することができますので、家族を全員受益者としておく、といった信託も行うことが可能です。

家族信託での「受益者」と呼ばれる人とは?

家族信託のメリットを4つ 紹介します!

【メリット1】認知症になっても資産が凍結されない。

認知症などになり、意思無能力者として判断されると自らで財産の管理をすることができなくなってしまいます。財産の管理ができなくなると、銀行口座が凍結され自由にお金を引き出すことができなくなってしまいます。

財産を健康な家族に託しておくことによって、認知症になった本人でなく、健康な家族が財産の管理を主導できるため、財産の管理、処分ができます。

また、認知症になった後に後見制度を使い財産の管理をしようとしても時間がかかってしまう為、本人が認知症になる前に家族信託を組んでおき、必要な時にスムーズに財産管理、処分ができます。

【メリット2】成年後見制度と違い本人の希望通りに財産管理ができる。

成年後見人(判断能力が低下してしまった人を保護する為に家庭裁判所より選任され財産管理をする人)は本人の財産を守るための行為のみができます。つまり、成年後見人は本人以外の家族の為に財産管理・処分ができません。

家族信託では、本人が健康なうちの意思を尊重した財産の使い道を決めることができます。家族信託で財産を託された受託者は、本人の希望した財産管理ができ、それが必ずしも本人の財産を守る行為でなくても(例えば、元本割れのリスクのある投資商品の購入など)信託契約にそれを許す定めがあれば実行することが可能です。

また、成年後見制度では家庭裁判所や後見監督人への定期的な報告義務があります。総資産を家庭裁判所や後見監督人へ開示しなくてはならないという義務も負うことになります。

これに対して、家族信託は信託したい財産を選択して信託を組むこともできるので、部分的に管理を第三者に任せたいときにも有効に使えますし、総資産を誰かに開示しなければ案らない、ということもありませんので、プライバシーも守られます。 

【メリット3】家族信託を遺言書の代わりとして活用できる。

 家族信託の契約の中で、家族信託が終了したときの財産を誰に継がせるかなどを決めておくことによって、遺言書の代用ができます。また、家族信託を組んだからと言って遺言書を書けないといったことはないので、信託契約の中で定めていない財産に関しては、別途遺言書を書いておくことも可能です。

 また、信託契約で本人が亡くなった後にも受託者が引き続き財産を管理し続けるという契約を結ぶこともできます。

【メリット4】二次相続にも対応できる

家族信託は、本人から財産の承継を相続人へ相続させる遺言の効果を持つだけでなく、その相続人の次に財産を承継する人を指定することができます。例えば、自分の財産を自分が亡くなった妻へ、妻がなくなったら長男へ、というように定めることが可能です。

このような財産承継の指定は、遺言ではできませんでした。

家族信託のデメリットを5つ、わかりやすく解説します!

【デメリット1】成年後見と違い「監督者」を置かなくても実行できる。

成年後見制度では、後見人の職務は必ず家庭裁判所に監督されます。

これに対して、家族信託においては、公的な立場の監督者などはいません。

つまり、受託者が暴走した時に、それを止める人がいない状況に陥る可能性もあるということです。

しかし、家族信託においても、「信託監督人」という、受託者を監督する立場を有する人物を設定することが可能です。また、委託者、受益者は受託者の行動を制限することができるため、委託者、受益者が元気なうちは、これらの者が受託者の行動を監督することが可能です。但し、家族信託は認知症対策で利用することが多く、この場合、委託者、受益者は受託者が暴走した時にはすでに認知症になっていて、現実的には監督機能が働かないというケースが想定されますので、受託者の暴走をしっかりと防ごうと思ったら、信託監督人を設置しておくのが良いでしょう。 

【デメリット2】遺言を全てカバーできるわけではない。

家族信託では、実質的に遺言の代用として財産を承継させることができますが、相続発生時の財産を網羅するということは不可能に近いです。なぜなら、年金の受給権など、信託の対象とできない財産も一部存在するためです。

したがって、基本的には、認知症対策・相続対策として家族信託を活用する場合には、遺言もセットで考えていく必要があります。 

【デメリット3】家族信託は節税対策ではない。

家族信託は認知症対策・相続対策として活用しますが、期待する効果は財産の凍結防止であるため、節税効果は間接的なものにとどまります。

例えば、多額の現金を保有している方が、遺産の評価額を下げる(節税対策)ために不動産の購入を検討しているが、高齢で認知症が進み始めており、良い不動産が見つかる前に意思能力を喪失してしまいそうな場合に、不動産の購入の役割をバトンタッチするために信託を活用するケースがあります。この場合、この信託は間接的には節税対策となります。

しかし、これは信託の目的が節税対策と繋がりがあったためであり、通常の財産凍結を回避する目的の家族信託を締結しただけでは、即節税とはなりません。

「相続対策=節税対策」というイメージが強いため、誤解されてしまっているケースがあるのです。

【デメリット4】受託者となる人に負担がかかる。

家族信託を組むには、信頼できる受託者となる家族がいることが前提条件です。そして、受託者となった方は、受託者としての義務を新たに応用になるほか、信託事務として債務を負った場合には、個人の資産についてもその債務を負うことになるなど、大きな責任を負うことになります。

また、日常的に信託財産を管理しなければなりませんから、委託者の資産が多く、管理に手間がかかる場合や、収益不動産や有価証券が多数あり、管理・運用に技術が必要な場合などは、それらを処理する受託者に重い負担としてのしかかります。

大きな財産を保有している方は、家族信託と併せて、受託者に管理を丸投げするのではなく、管理方法を指導していくといった引継ぎ期間も見据えて対策を考えていくことが重要です。

【デメリット5】家族信託に明るい専門家が少ない。

 家族信託は歴史が長いといえるものではないため、まだ判例なども少なく、全ての法律の専門家がサポートできるというものではありません。家族信託に精通した専門家というのは非常に限られています。家族信託は、財産に直接関係する制度の為、サポートを依頼する専門家選びを慎重に行う必要があります。中には、家族信託を実際にサポートしたこともない専門家がサポートを行っているということも耳にします。家族信託はわかりやすい制度ではありますが、一方揉め事の原因にもなりかねませんので、家族信託に精通した専門家にサポートを依頼するのが良いでしょう。

 

家族信託の実際の手続きとは? わかりやすく説明します!

家族信託を行う場合まず初めに取り組むべきは、家族信託の内容を決めることです。家族信託は比較的自由に内容を決められますので、どの財産を信託するのか。受託者は誰にするのか。受託者の権限や財産の管理方針はどのような者にするのか。信託終了時の財産は誰が引き継ぐのか。いつから信託を発動させるのかなどを決めていきます。

内容の検討に当たっては、信託開始後に実際にどのようなことが必要となるのか、信託を組むことで税金上の負担やリスクなどは増加しないか、など、検討しなければならないことは高度な専門知識を前提とする部分も少なくないため、家族信託の検討をする際は、専門家のサポートを受けておく方が無難です。

専門家のサポートを受ければ、財産状況と自分の希望を伝えるだけで、ある程度それを叶える内容+専門家から見て必要な内容を網羅した契約内容を作成してもらえるでしょう。(信託の経験が豊富な専門家に依頼することが大前提となります。)

また、契約の内容は当事者(委託者と受託者)のみならず、ほかの家族とも話し合いをするようにしてください。また、専門家に家族会議に参加させるなどの手段も検討してください。家族信託に精通した専門家であれば、誰とどの程度認識の共有をする必要があるか、などについてもアドバイスをもらえることでしょう。

その次に決めた内容を契約書にします。せっかく決めた家族信託の内容も契約書に書かなくては運用が困難です。また、家族間で決めた内容を反映させるためには、専門家に依頼した方が良いでしょう。内容と違う趣旨の契約になってしまっては元も子もありません。また、ここで作成する契約書は公正証書にするのが一般的です。公正証書によった契約を公証役場に提出し契約は完了となります。

 そして実際に財産を受託者の管理にしていきます。管理をするためにも手続きが必要です。

信託した財産が預貯金などの金銭の財産の場合、信託専用口座または、信託口口座を開設します。銀行によって口座を開設できるかどうか対応が違います。 

不動産の場合は登記の変更をします。登記の手続きを行い受託者が不動産の管理を行います。 

また、ほかの財産に関しても名義を変更するなど手続きが必要です。

例えば、建物を信託したなら火災保険の名義、区分所有物件なら管理組合への届出、収益不動産なら振込先口座の変更等、信託契約の締結後に受託者が行わなければならない業務は多岐にわたります。 

家族信託の費用はいくらかかるのか。

家族信託にかかる費用は、主に2つあります。公正証書の作成費用と不動産の信託登記に関する登録免許税です。(公正証書の作成費用は、信託契約書を公正証書化しない場合には発生しません。登録免許税は不動産を信託しない場合には発生しません。)

公正証書の費用

家族信託契約をするにあたって公正証書で行わなくてはならないという規定はありませんが、公正証書によって行うのが一般的です。後々トラブルが発生する可能性は可能な限り小さくしておくべきだからです。信託財産の価額の多寡や公証人に出張を依頼するか否か等に応じて費用は変わりますが、信託財産が1億円前後の場合には、10万円程度の見積となることが多いです。

不動産を信託する場合の登録免許税

固定資産税の評価の0.4%が登録免許税として課せられます。

なので例えば、1億円の不動産を信託した場合には40万円の登録免許税が発生します。

なお、現在は租税特別措置法の適用により、土地の信託に関する登録免許税の税率は0.3%に軽減されています。 

家族信託をするために専門家のサポートを受けた場合には、専門家に対するサポート報酬の支払いが必要となります。

家族信託を組むにあたり必ずしも専門家のサポートを受ける必要はありませんが、専門家に依頼せず信託を行い、かえって家族間で揉め事が起きたという話をよく耳にします。専門家に依頼せず家族信託を行うのは危険です。

 また、信託契約の締結に関して専門家のコンサルティングを受ける場合、一般的には、信託財産の総額の1%程度のコンサルティングフィーを請求されることが多いです。信託財産が1億円だとすれば、100万円程度の費用になるイメージです。

まとめ

家族信託は人生100年時代と言われる昨今においては、非常に重要な役割を果たすと考えられます。ご自身や、ご家族の老後の人生設計を考えるうえでは、ぜひとも家族信託の存在を思い出していただければと思います。

特に、この記事をお読み下さった方は、既に家族信託を検討されている方か多いかと思います。認知症になる前に対策することはもちろん、認知症と診断され認知症が進行する前にできるだけ対策をすることの大切さを感じていただけたのではないでしょうか。

我々トリニティグループは累計480件以上の家族信託のご相談をいただいており、サポートのノウハウが蓄積されています。少しでも検討されていらっしゃるのであれば、是非我々にご相談ください。

カテゴリー:家族信託

タグ:信託契約

この記事の監修者
浅沼 礼奈(あさぬま れいな)

司法書士
浅沼 礼奈(あさぬま れいな)

東京生まれ、新潟・鹿児島・千葉育ち 年間80件近くのご家族にお会いし、家族信託・相続・事業承継のご相談に対応。それぞれのご家族オリジナルの財産管理・承継の仕組みをお客様と一緒に考えます。

わたしたちについて ≫

完全版 大切な家族の未来を守る家族信託とは?家族信託の仕組みから専門家のアドバイスまで!家族信託を検討中の方向け。詳しくはこちら 完全版 大切な家族の未来を守る家族信託とは?家族信託の仕組みから専門家のアドバイスまで!家族信託を検討中の方向け。詳しくはこちら

ご相談は無料!
お気軽にお問い合わせください

よくあるご質問をまとめた「FAQ」もぜひご活用ください!

家族信託の専門家
メール

メールからの
お問い合わせ

お問い合わせ
友達追加

LINEからの
お問い合わせ

LINE スマート家族信託
公式LINE
電話

お電話での
お問い合わせ

call 0120-916-102

無料でご相談できます!

お気軽にご相談ください!

受付時間 10:00-19:00/土日祝も対応