認知症になると意思能力を失い、それを金融機関が認識すると預金が引き出せなくなったり、不動産売買などの法的手続きができなくなる等、いわゆる「資産凍結」状態となり、大きなリスクがあることはよく知られています。

では、株や証券の売買についてはどうなるのでしょうか?

老後の資金に充てる予定だった場合、株や証券を動かせなくなると非常に困るでしょう。

今回は、証券会社で信託を利用する場合の取り扱い方法や注意点を解説します。

要約

  • 株や証券を保有している人が認知症になったら売買できない
  • 購入・所有している株や証券が換金できないまま放置されるリスクがある
  • 認知症を発症した家族が保有する株を管理するには、成年後見人をつける必要がある
  • 認知症対策として、事前に株式や証券を家族信託することが大切
  • 株や信託を家族信託することで資産運用ができ、運用益も受け取ることができる
  • ただし注意点も多いため、まずは専門家に相談しましょう

ご高齢のご家族が株式を保有している場合

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認知症になると、株・証券の売買はどうなるのか

株や証券を保有している人が認知症になってしまった場合、どのようなことが起こるでしょうか。

結論から申し上げると、当然、これらの売買も行えなくなってしまいます

資産運用のために購入・所有しているにも関わらず、その資産は一切換金できずに放置されてしまうリスクがあります。

例えば、将来ご自身が介護施設に入所する時のために、投資信託等を利用して資産運用をしていたとします。

ところが、その途中で意思能力が失われていると金融機関から判断されると、その資産を動かすことができなくなってしまうのです。

また、積極的な運用をしていた場合、その売買も止めることになるため利確も損切りもできない状態に陥り、希望のタイミングでの売却もできなくなります。

金融機関によっては口座の代理人登録という方法もありますが、絶対的な認知症の対策になるとは限りません。

口座凍結・利用停止に備えるためには家族信託がおすすめです。

早めに把握し、対策をしておくと安心でしょう。

認知症になると、口座が凍結するおそれがあります。名義人が詐欺などの被害に遭わない世に、預金の引き出しなど、一部の取引が停止されるのです。口座凍結される認知症の基準や、事前にできる対策などを詳しく解説していきます。
認知症による口座凍結って?原因や基準、事前にできる対策を徹底解説!

【調査レポート】
45〜65歳の4人に1人が、親の認知症による「資産凍結」リスクを認識。資産凍結を回避する「成年後見制度」を45%、「家族信託」を27%が理解

また、本人が認知症を発症した後に株・証券の管理を行うには、成年後見人をつける必要があります。

以下の記事もご参照ください。

成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、認知症や知的障害などで判断能力が低下した人の契約や財産管理のサポートを行う制度です。「成年後見人」を家庭裁判所から選任してもらい、本人に代わって様々な手続きを行なってもらいます。この記事では成年後見制度についてわかりやすく説明し、同時に最近注目を浴びている家族信託との比較についても解説します。
【完全版】成年後見制度とは?司法書士がわかりやすく解説

株・証券は家族信託の対象財産にできる?

では、上記のような「資産凍結」リスクに備えて、株や証券を家族信託の信託財産とすることはできるのでしょうか?

答えは、【YES】です

家族信託では、株や証券などの金融商品も信託することができます。

こちらの解説記事もご参照ください。

家族信託を利用する際、信託財産の中に上場株式を含める場合、どのような手続きをとればよいのでしょうか。上場株式を信託する際には、事前に信託契約書を証券会社で確認してもらう必要もあります。信託契約書に指定の内容を盛り込む必要もあるため、事前の確認が非常に重要となるのです。今回は信託する際の流れや注意点について解説します。
上場株式も家族信託できる!実際の手続きや注意点を司法書士が解説

株や証券も信託財産に含めて受託者に運用を依頼することで、引き続き運用益を受け取ることができます。

また受託者の判断でそれらを売却し現金化もでき、必要なタイミングで売却が可能です。
介護施設への入居等に向けた、費用の捻出への不安も払拭できるでしょう。

証券会社で信託口口座を開設するには

上場株式や投資信託といった金融商品を信託財産とする場合、委託者の口座とは別途、証券会社に信託口口座を開設する必要があります。

信託口口座は銀行と証券会社とで異なるため、銀行と証券会社それぞれでの開設が必要です。

また、信託口口座を取り扱っている金融機関はごく一部に限られています。
それまで委託者や受託者が利用していた証券会社で開設できるとは限りません。

大手証券会社ですと、野村証券・大和証券・楽天証券などで信託口口座の開設ができることが確認されています。

保有している取引先でどのような取り扱いになっているかを確認しておきましょう。

加えて、開設先により取り扱いや規定にも違いがあります。
証券会社での手続きについては、事前に情報を集めておくと安心です。

信託口口座開設時の注意点

証券会社で信託口口座を開設する場合には以下のような注意点があります。

家族信託を利用する場合、信託法で受託者は「分別管理義務」を負い、信託された財産と個人の財産とを分別して管理しなければならないとされています。この記事では信託口口座の特徴や口座の開設方法などについてご紹介しますので参考にして下さい。
家族信託の口座(信託口口座)のつくり方について解説

(1)信託口口座の開設前に契約内容の了解をもらう必要がある

信託契約の内容について、あらかじめ証券会社に照会して問題がないかを確認しておく必要があります。

これは、各証券会社ごとに定める要件を満たした信託契約でなければ、信託口口座の開設を行わないという取り扱いをしているためです。

契約書の内容が規定に沿った内容かどうか、信託契約前の段階で必ず証券会社に確認をしましょう。

(2)信託契約書は公正証書で作成する

また、信託金銭の管理口座開設と同様、信託契約書は公正証書での作成が求められます。

信託口口座を作成する際、 信託契約書を公正証書とすることを条件としている金融機関がほとんどと言われています。

公正証書化することにより、作成時点で委託者・受託者の意思能力に問題がない旨を公証人に証明してもらうという意味を持ち、強力な証拠能力を発揮するからです。

信託口口座の作成を検討している場合は、公正証書での作成をおすすめします。

以下の記事もご参照ください。

家族信託も信託契約になりますので信託法のルールに沿って作成することになるのですが、法的には公正証書で作成しなくても問題はない、という解釈になります。今回は「公正証書化」が必要なケースについてご紹介します。信託契約書を公正証書で作成した方が良いケース、公正証書での作成にすべきケースについても説明していきます。
家族信託に公正証書が必要?私文書では危険?メリット・デメリット、必要書類や手続きの流れ、費用を解説

(3)証券会社により取り扱い金融商品に違いがある

各証券会社の信託口口座では、その証券会社で取り扱っている金融商品のみが管理対象です。

単元株の国内上場株式であれば証券会社間で移管は可能ですが、その他の投資信託商品やミニ株・米国債などを所有している場合は必ず確認が必要です。

これまで利用していた証券会社と、信託口を開設する証券会社とで、取り扱い金融商品が異なると受託した証券等を信託口に移せず、信託できない可能性もあります。

移管したい投資信託などの金融商品は、信託口口座を作る証券会社での取り扱いに関する個別の確認が必要です。

早めの対策で切れ目のない運用が可能に

このように、信託口口座を開設する際には各種手続きが必要 です。

また、信託に対応している証券会社は増えてはきているものの、まだ少ないのが現実です。

ただし所有している株・証券については早めに認知症対策をしておくことで切れ目のない運用が可能になります。

手続きが複雑な一面もありますが、事前に証券会社へ確認をしながら信託口座への移管が完了すれば、将来の大きな不安を回避できるでしょう。

手続きに向けて、不安な点があれば司法書士等の専門家への相談をおすすめいたします。

家族信託は「認知症による資産凍結」を防ぐ法的制度です。認知症が進行し意思能力を喪失したと判断されてしまうと、銀行預金を引き下ろせない、定期預金を解約できない(口座凍結)、自宅を売却できないなどのいわゆる「資産凍結」状態に陥ってしまいます。そのような事態を防ぐために、近年「家族信託」が注目されてきています。この記事では家族信託の仕組みやメリット、デメリットをわかりやすく解説します。
家族信託とは?わかりやすくメリット・デメリットを徹底解説します

ご高齢のご家族が株式を保有している場合

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