家族信託とは

About Family Trust

家族信託とは

家族信託とは、自分の財産の「管理権限」を家族などの信頼できる第三者に渡し、自分に代わって管理してもらう制度です。
財産の管理を任される立場の方から見ると、家族の財産に関する管理権限を預り、自らその財産の管理・運用ができるようになる制度、ということもできます。

自らの力で財産の管理をすることが難しい方や、財産の管理を家族に任せたい方が利用しており、最近では、ある程度年齢を重ねた方が、将来の体力等の低下に備えて利用するケースが増えてきています。

人生100年時代と言われる昨今、今後、家族信託を利用する方はますます増えていくだろうと予想されています。

家族信託とは

家族信託のしくみ

家族信託は、「信託法」という法律によってその仕組みが定められています。
法律上は、家族信託を始める方法はいくつかありますが、一般的によく利用される方法は、財産の管理を依頼する方と依頼される方の間で契約を締結する方法です。

財産の管理を依頼する方を「委託者」、管理の依頼を受ける方を「受託者」と呼びます。
更に、家族信託においては、管理されている財産(「信託財産」と言います。)から生じる利益をもらう立場の方が登場し、この方のことを「受益者」と呼びます。受益者は委託者と同一人物とすることができ、同一人物とすることで、財産から生じる利益については信託前と同様、もともとの財産の持ち主が受け取る形とすることができます。

家族信託のしくみ

家族信託の効果

家族信託の利用によって得られる効果について、具体的に解説をしていきます。

将来の資産管理上のリスクの廃除

家族信託は、よく「認知症対策」と言われます。
財産の持ち主が認知症になり、物事を理解したり、自分の意思を表示したりすることができなくなってしまうと、預金の引き出しや所有している不動産の売却などができなくなります。そして、このような財産が動かせない状況は「資産凍結」と呼ばれています。 「認知症による資産凍結から財産を守るために家族信託をしておきましょう。」といったフレーズを耳にされた方もいらっしゃるかもしれませんが、ここまでお読みいただいた方なら、このフレーズが言わんとしていることをご理解いただけたのではないかと思います。

しかし、家族信託の必要性は認知症による資産凍結に限ったものではありません。
誰しもが年を重ねれば体力が衰え、やれることの範囲は限られてきます。
例えば、収益不動産など、継続的な管理が必要な財産を保有している方であれば、加齢により、その管理がおっくうになってくるといったことも起こりうるでしょう。
このような場合にも、家族信託は活用できます。

家族信託の効果

また、高齢者は常に、振り込め詐欺や、あまり質の良くない営業などのターゲットにされています。
そして、そのような犯罪者や営業マンの被害に遭ってしまう高齢者は実際に少なくないのです。
家族信託をしておけば、そのような犯罪や営業から高齢者の財産を守ることが可能です。財産が受託者の管理下に置かれるため、もはや犯罪や営業のターゲットにならないためです。

また、年齢を重ねると、病気やケガのリスクを上がります。
あまり考えたくはありませんが、突然の病気やケガで一気に自分の財産を管理できない状態になってしまう場合もあるでしょう。家族信託をしておけば、このようなリスクに対する対策にもなります。

家族信託の効果

成年後見制度との比較

先ほど、認知症によって財産凍結が発生する、というお話をしましたが、この状況を打開する方法として、成年後見制度というものがあります。
こちらも法律によって規定されている制度ですが、家族信託よりも昔からあるため、名前を聞いたことがある方も多いかもしれません。
そして、「成年後見制度で財産凍結の問題を解決できるなら、家族信託は不要では?」と疑問に思われた方も多くいらっしゃることでしょう。

成年後見制度とは?

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、意思能力を失ってしまった方の財産を動かすために、その本人の代理人を設置する制度です。
この代理人を成年後見人(代理される方を「成年被後見人」といいます。)といい、家庭裁判所によって選任されます。
選任される成年後見人は、基本的には、弁護士や司法書士といった専門家です。
ただし、成年被後見人の現預金が少ないなどの事情がある場合には、親族が後見人となれる場合もあります。(統計的には、約7割のケースが専門家後見人を選任されています。)

成年後見制度の特徴

成年後見制度は、法律の専門家などの第三者が本人の代理人となり、本人の財産を「守る」制度です。
もともとは、高齢者を犯罪や強引な営業・セールスから守るために作られた制度であるため、制度の構造も財産を守ることに特化しています。
後見人は、基本的に本人の生活に必要最低限の資金しか使わず、それ以外の財産に手を付けることはありません。

なので、後見制度を利用してしまうと、本人の財産について、相続税対策や、積極的な資産運用ができなくなりますし、また、本人が元気だったころに希望していたとしても、孫にお金を上げたり、教育費を負担したりといったこともできなくなってしまいます。

また、専門家が後見人となった場合には、毎年後見人に報酬として20万円~数十万円といった報酬を支払わなけばならず、
かつ、認知症を原因とした後見は、原則本人が亡くなるまでやめられませんので、経済的な負担も相当な金額に上ります。
この様に、成年後見制度には不都合な点が多く、積極的な活用は進んでいないのが現状です。
このような仕組みを知っていたら、誰だって利用するか考えてしまいますよね。

成年後見制度の特徴

家族信託の利用例

将来の法律行為に備えて

ある程度年齢を重ねた方が、将来、自分の財産の処分などを考えている場合には、家族信託によって、将来自分で財産処分の手続きをやらなくて済むように、家族信託を利用する場合があります。

事例 その1
自宅不動産を保有している方の例
例えば、自宅不動産を保有している方が、将来、自宅を売却して資金を作り、その資金を原資にして、終の棲家への移住費に充てたり、介護施設への入居費に充てたりしようと考えている場合です。

自宅を売却する際には、不動産の売買という込み入った手続きを行わなければなりませんが、いざ売却をしよう、というタイミングで、加齢の為に契約書の確認や署名が困難となっていたり、体力や意思能力が低下してしまい、それらの手続きを全く行うことができない状況になってしまっていたりする場合があります。

もし、この様な状況になってしまったら、先ほど解説した成年後見制度を利用しなければ不動産の売却ができなくなってしまいます。しかも、成年後見制度を利用して不動産を売却する場合でも、結局、財産の管理権限や本人の身上監護に関する決定権は後見人に移ってしまいますので、入りたい施設に入れてもらえない、移住に関しては、不要と判断されて実現できない、という場合もあり得ます。

このような状況に陥ることを回避するために、家族信託を活用するのです。

家族信託を活用して、自宅の管理権を家族に渡しておけば、
自分の能力が低下していても、家族が自分の代わりに自宅の売却の手続きを行ってくれますので、
成年後見制度に頼らざるを得なくなるといったリスクを排除できます。

複雑な財産管理を確実に実行するために

事例 その2
資産を多く保有している方の例

資産を多く保有していると、その管理の難易度も高くなりますので、加齢により資産の管理が手に余るようになってくる、ということが良くあります。
そこで、それに備えて、あらかじめ管理を家族に任せるために、家族信託を活用します。
「そのような財産があるなら、家族に贈与してしまえばいいのでは?」と考えられるかもしれませんが、大きな財産を贈与すると、贈与税という多額の税金が発生してしまいます。 家族信託を活用すれば、贈与税の発生を回避しながら、家族によって財産の管理できるようになるのです。

将来の資産承継に備えて

事例 その3
将来子どもへの引き継ぎを考えている方の例

家族信託では、将来、自分に相続が発生した時に誰に信託財産を渡すかを定めておくことが可能です。なので、生前から、将来相続させる財産の管理を任せて、最終的には、相続で管理を任されていた家族がその財産の所有者となる、という流れを組むことができます。 将来自分がもらうべき財産であれば、その管理もしっかりとやってもらえることが期待できますので、資産承継の準備として効果的です。

例えば、収益不動産など、管理が必要な財産を多数所有している方は、それらの財産について将来引き継がせる子供などに信託をしておき、自分が元気なうちに管理の方法を指南しておく、といった使い方も可能です。

家族信託活用の条件

様々な活用方法がある家族信託ですが、
その利用はどなたでもできるのでしょうか?
ここからは、家族信託の活用の条件について
解説をしていきます。

家族信託の条件1 
受託者を担える方がいること

家族信託は、財産の管理を任せる方(委託者)と任される方(受託者)が揃って初めて利用できます。
よくあるのが、財産の管理を家族に任せたいが、任せられる家族がいない。といったケースです。このような場合には、残念ながら家族信託を利用することはできません。 また、信託法の規定から、未成年者は受託者になることができませんので、受託者を任せたい方が未成年の場合にも、家族信託はできません。

「財産を任せられる方がいない」という状況にも2つのパターンがあります。

一つは、純粋に財産を任せられる方が存在しない場合です。
この場合は、信託会社などに財産の管理を任せる商事信託を利用するなど、家族信託とは別の選択肢を探さざるを得ません。

もう一つのパターンは、子供など、家族はいるが、まだ能力的に管理を任せられない、といった場合です。この場合には、そのお子様を育成することで将来的には家族信託を利用できる可能性があります。

また、即座に家族信託をスタートさせておきたい場合には、委託者と受託者の候補者を構成員とした法人を設立し、その法人を受託者とする、という方法もあります。 少し複雑なやり方になりますが、法人も受託者にすることができ、委託者が法人の構成員となっていれば、受託者が育つまでは委託者が自力でその法人を運営して財産を管理し、受託者が育ったタイミングでその管理をバトンタッチする、といった方法を取ることも可能です。

家族信託の条件2 
当事者に意思能力があること

家族信託は委託者と受託者の契約によって成立しますので、この契約行為ができるだけの意思能力を有していることが両当事者に求められます。意思能力というのは、物事を理解し、その是非を判断できる能力のことです。
このポイントが問題になるのは、委託者が高齢で、認知症などによって判断能力が低下している場合です。

委託者の意思能力が低下している場合には、信託の契約が可能かどうか、弁護士や司法書士といった法律の専門家に確認をしておくとよいでしょう。
なお、認知症と診断されたからと言って直ちに意思能力が認められなくなるわけではなく、あくまでも、意思能力の有無はその時の本人の理解力に由来しますので、認知症の診断を受けているからと言って、それだけで家族信託の利用をあきらめる必要はありません。

家族信託活用に関する注意点

家族信託を利用するうえでは、
いくつかのポイントに注意する必要があります。
以下、家族信託の利用に関する注意点について
解説していきます。

税金の問題

家族信託では、委託者と受益者を異なる人物とした場合、受益者に贈与税が課税される可能性があります。
受益者とは、信託財産から発生する利益を受取る人ですが、この立場を委託者以外の方が得た場合、その方は単に財産をもらったものとみることができるため、贈与税の課税がされるのです。
なので、このような贈与税の課税がされないように、通常、家族信託は委託者と受益者を同一人物として利用します。

さらに、委託者と受益者を同一人物にしていた場合でも、受託者が将来信託財産をもらう信託契約の場合には、契約書の書き方を工夫しないと、受託者に贈与税が課税されることとなっています。
「受託者が将来信託財産をもらう信託とは?」と思われたかもしれませんが、受託者になるのはたいてい委託者のお子様ですので、委託者が亡くなった際に信託財産を受取ることとなっているケースは非常に多いです。

つまり、典型的な家族信託を組む場合でも、受託者への贈与税課税の可能性がありますので、家族信託の契約書の作成は、経験の豊富な専門家に依頼するようにしましょう。
(複雑なお話になるので解説は省略しますが、上記のような受託者に対する贈与税課税のリスクは契約書の内容を工夫することで回避することができます。)

受託者の債務

家族信託を開始すると、受託者は信託財産の管理のために「受託者の立場で」法律行為を行うことになります。
この時、受託者が債務を負った場合には、原則受託者個人としても同様の債務を負うこととなっています。

例えば、受託者が信託事務(信託財産の管理の一環)として、資金の借入れをした場合には、受託者は個人としても同様の債務を負ったこととされるのです。 当然、その返済は信託財産から行えばよいのですが、万が一、何かの拍子に信託財産がなくなってしまった場合には、その穴埋めを受託者が個人の財産で行わなければならなくなってしまうのです。
もちろん、そうなる可能性は高くはないですが、家族信託の性質の一つとして、特に受託者はこの事実を認識しておく必要があるでしょう。

家族信託で対応できない財産

法律上の理由から、または手続き上の理由から信託することができない財産が存在するので、その点には注意が必要です。
信託できない財産の代表例として、「年金受給権」と「有価証券等」が挙げられます。

年金受給権

年金受給権

高齢者の財産管理として、年金についても凍結されないように信託に入れておきたい、と考えるのは自然なことでしょう。 しかし、年金を受け取る権利は、一身専属権と言い、法律上他人に譲渡することができません。その関係で、年金を受け取る権利は信託もできません。 どうしても年金を信託したい場合には、年金を受け取る権利ではなく、年金として受取った現金そのものをその都度信託する方法が考えられます。 この場合、委託者が元気なうちは、その都度信託財産として受託者に渡す作業を行えますが、委託者が認知症などにより法律行為が行えなくなってしまった後については、契約上、年金が給付されたときに自動的に信託されるような規定を設定しておくなど、契約内容の作成において工夫が求められます。

有価証券等

有価証券等

株式や国債、信託受益権などの有価証券等は、信託できない場合があります。 これらの有価証券を信託する場合には、その有価証券を保有している証券会社において受託者名義の口座が開設できなければなりませんが、それに対応している証券会社が限られているためです。現在、家族信託のための口座を開設できる証券会社は、野村證券、大和証券、楽天証券等の一部の証券会社に限られています。 また、これらの口座が開設できる証券会社であっても、対応できる家族信託の内容に制限があり、完全に自由な形で契約を作ることはできません。 したがって、有価証券等を信託によって管理しようとする場合には、実際に信託が可能か、また、信託が可能であるとして、その内容が自身の思い通りのものであるかを、事前に確認する必要があります。

家族信託の手続き

家族信託を行うためには、手続きが
必要となります。
ここからは、実際に家族信託を利用する場合の
手続きについて解説をしていきます。

1. 契約締結、公正証書の作成

家族信託は、委託者と受託者の契約によって成立します。
実際には、契約書の作成が最も大変な作業になるのですが、ここでは、手続きについて解説をしていきますので、契約書の作成は終わっている前提でお話を進めていきます。

契約書が完成したら、契約の締結を確実なものにするために、公正証書の作成を行います。
公正証書は、全国各地にある公証役場にて、公証人に作成してもらうことができます。 手続きの流れとしては、契約書の原案を公証人に提出し、契約書としての最低限の有効性を確認してもらったのち、公証役場に委託者、受託者が集まって、公証人による本人確認、意思確認を受け、契約書の内容に同意して署名・捺印して契約書を完成させる、といったものになります。

また、公証人には出張を依頼することも可能で、委託者が高齢で移動が難しい場合などは、公証人に自宅や施設など、委託者がいる場所まで出向いてもらうことが可能です。

2. 信託金銭の管理口座の開設と送金

金銭を信託した場合、その金銭を管理するための口座の開設と、その口座への信託金銭の送金が必要となります。 まず、信託財産の管理口座についてですが、現在、信託財産管理用の口座の開設ができる金融機関は限られています。大手の金融機関では、例えば、三井住友信託銀行が家族信託の受託者口座に対応しています。その他、地方銀行や信用金庫なども家族信託用の口座開設に対応していますが、メガバンクなどはまだ家族信託用の口座開設には対応していません。

「信託に対応している金融機関が少ない!」と思われた方もいらっしゃると思いますが、実際にその通りで、現状では、信託財産管理用ではない口座を使用して、家族信託を行う方も相当数います。 この場合は、受託者が管理しやすい任意の金融機関にて受託者個人の口座を新たに一つ開設し、その口座を信託財産管理用の口座として利用していきます。この場合、他の受託者の個人口座と明確に区別するために、委託者と受託者の間で、信託財産用の口座について、どの金融機関のどの口座番号の口座かを明確にした合意書を作成して、信託契約書と一緒に保管しておくようにします。

また、信託管理用の口座が開設できたら、その口座に信託する金銭を送金しなければなりません。 特に、信託する金銭の額が大きい場合には、送金元の銀行から説明を求められる場合もあるので、送金の手続きをする際には、契約書を持参しておくか、専門家が関与している場合には、その専門家に念のため同行してもらうなどの対応をしておくことが考えられます。特に、億を超える金額を送金する場合には要注意です。

3. 不動産の登記手続き

信託財産に不動産がある場合には、登記の手続きを行わなければなりません。
登記手続きは自分で行うこともできますが、複雑な手続きになるので、登記の専門家である司法書士に依頼するほうが無難です。 必要書類として、不動産の権利証、委託者の印鑑証明書、受託者の住民票、不動産の固定資産評価証明書などが必要となるほか、登録免許税として、不動産の評価額の0.4%(土地については0.3%)に当たる金額の収入印紙を購入して申請書に貼らなければなりません。 0.4%と言われるとイメージしづらいかもしれませんが、例えば1000万円の評価額の不動産であれば4万円の収入印紙を購入することになります。評価額1000万の不動産というと、新築で1500万ほどで売られているワンルームマンションなどがそれにあたります。不動産の評価額は、時価のだいたい7割くらいに設定されていると言われています。

なお、ご自身が所有している不動産の評価額を調べたい場合には、毎年送られてきている固定資産税の納税通知書をご覧いただくと、評価額が記載されています。

4. 計算書類等の作成と受益者への報告

家族信託が開始したら、受託者は毎年、信託財産について貸借対照表と損益計算書を作成し、受益者にその内容を報告しなければなりません。
また、信託財産に関する帳簿の作成も必要となります。 この帳簿に関しては、会社経営などで使われるいわゆる会計帳簿でなくてもよく、領収書やメモ書きなど、複数の書類を組み合わせたものでもよいとされています。 とはいえ、これらの書類は作成から10年間の保管が義務付けられており、後から見直せることが法律上想定されていますので、ある程度しっかりしたものを作成しておく必要があるでしょう。 信託財産の規模が大きく、計算書類や帳簿の作成が複雑になる場合には、税理士へ依頼することも検討しましょう。

5. 信託の計算書等の提出

信託財産が収益を生み出すもので、その収益の金額が年間で合計3万円を超える場合には、毎年、その年の翌年の1月31日までに「信託の計算書」という書類を税務署に提出しなければなりません。
年間で3万円以上の収益がある場合ですので、収益不動産を信託した場合などに必要となる手続きです。 書類のひな形は国税庁のホームページからダウンロードでき、分量もA4用紙2枚ですから、作成の難易度は高くありませんが、提出を忘れないように注意しましょう。

6. 信託に関する受益者別調書の提出

信託の受益者に変更があった場合や、信託が終了した場合には、税務署に対して「信託に関する受益者別調書」という書面を提出する必要があります。 通常の家族信託の場合は、委託者に相続が発生ときに、信託が終了するか、受益者の変更をすることとなるので、そのタイミングで受益者別調書の提出が必要となります。 こちらも信託の計算書と同様、国税庁のホームページからひな形がダウンロードでき、作成の難易度も高くはありませんが、提出を忘れないように注意しましょう。 なお、提出期限は、提出が必要となる原因が生じた月の翌月の末日とされています。

家族信託の費用

実際に家族信託を利用するためには、法律専門家のサポートを受けたり、公証役場を利用したりするために費用が発生します。
ここからは、家族信託の利用に必要となる
費用について解説をしていきます。

専門家報酬

家族信託の利用にあたって最も重要となるのが信託契約書の作成です。 信託契約書の作成に当たっては、信託法、相続法、税法に関する専門知識が必要となるうえ、将来にわたって不具合が生じない契約内容とするためのノウハウも必要となります。

なので、信託契約書の作成に当たっては、家族信託のサポート経験豊富な専門家に相談し、協議を重ね、じっくりと契約内容を煮詰めていく作業が必要となります。 そして、このようなサポートを受けるために専門家に報酬を支払う必要が出てきます。 通常は、家族信託のコンサルティングという名目で、信託財産の1%程度の報酬を請求されることが多いです。1億円の財産を信託する場合、100万円の報酬、といった計算です。 但し、信託財産が数億~数十億といった規模の場合には、報酬計算のパーセンテージが下がっていく傾向にあります。例えば、1億円までは1%、1億超~3億円までは0.5%、といった具合です。

公証人手数料

信託契約書は公正証書で作成することが多いですが、公正証書作成に当たっては、公証人へ手数料を支払う必要があります。 公証人の手数料も信託財産の額を基準に計算されますが、上記のコンサルティング料のような金額設定ではなく、1億円の信託で5万円程度となっています。
公証人に出張を依頼する場合には、出張料が加算されます。

登記代行手数料

信託財産に不動産が含まれる場合には、信託の登記をする必要があります。登記手続きは複雑なので、通常は司法書士に代行を依頼します。
司法書士に登記の代行を依頼した場合の手数料は、10万~20万円程度が相場となっています。不動産が数か所にあり、複数の法務局で手続きが必要な場合には、手続きをする法務局の数を上記の手数料にと掛け合わせた金額(例えば2か所なら20万~40万)となることが多いです。

なお、登記を行う際には登録免許税の納付(前述した収入印紙の購入)も司法書士が代行して行うため、その金額も司法書士の請求に合わさってきます。 例えば、評価額3000万円の不動産を信託した場合、登記代行手数料を10万とすると、そこに登録免許税12万(=3000万×0.4%(土地の税率を考慮しない))が加わって、22万円の請求がされる、といったイメージです。 (実際には交通費や郵送料などの実費もかかりますので、もう少し高い金額になります。)

また、信託をする土地の地目が田や畑となっている場合には、農業委員会の許可を得る手続きが必要となります。こちらの手続きは行政書士に依頼することとなりますが、手数料相場は10万円程度となっています。

信託財産管理口座の開設手数料

信託財産である金銭を管理する口座を開設する際に、口座開設に関する手数料がかかる場合があります。金額は金融機関によって異なりますので、そもそも費用が掛かるかも含め、口座開設の相談の際に、金融機関に確認しておくとよいでしょう。
なお、最も信託財産管理口座の取扱件数が多いと言われている三井住友信託銀行は、信託財産管理口座の開設手数料は今のところ無料となっています。

融資審査手数料

信託に伴って借入れを起こす場合があります。 例えば、相続税対策として、借入れを起こしてアパートやマンションを建築するスキームを実行する際に、その前段階として家族信託を活用する場合です。 この場合、信託の内容等に関して、借入れを受ける銀行とも協議をしながら手続きを進めますが、その融資審査手数料として、銀行から費用の請求をされる場合があります。 金額は銀行によって異なりますが、50万円~といった金額がかかる場合もあるため、借入れを伴う信託を検討する場合には、コストとして審査手数料が発生することを見落とさないようにしましょう。

受託者として法人を設立する場合

家族信託の受託者として、法人を設立する場合がありますが、その場合には、法人の設立登記手数料と、法人を維持するための費用が発生します。 設立登記手数料は、登録免許税も含めて30万円程度となります。 また、法人を維持するために、毎年の法人住民税の納付、確定申告、2年に1度の役員変更の登記手続きが必要となるため、毎年20万~30万程度のランニングコストが発生します。

家族信託の利用を検討中の方へ
専門家からのアドバイス

家族信託の利用を検討中の方へ専門家からのアドバイス

ここまで、家族信託の一般的な知識についてご紹介してきました。
いかがでしたでしょうか?
情報量が多く、一読するだけでも結構大変だったのではないかと思います。家族信託は、利用する当事者の事情によって検討項目の数や難易度は大きく異なります。

ここでは、この記事の締めくくりとして、専門家目線から見て、家族信託をご検討中の方にやっていただきたいこととその手順について解説をさせていただければと思います。

問題の抽出、明確化

家族信託の利用を検討しているということは、何か目の前に、家族信託によって解決したい問題が存在しているということだと思います。 まずは、この問題が、自分自身の中で、他人に説明できるまで明確になっているかと、問題は本当に現在気になっている部分だけかについて、考えてみましょう。

例えば、将来、家族や自分が加齢によって自分の財産の管理が十分にできなくなることを問題視しているとすれば、具体的に、そうなった際に生じそうな問題を考えてみましょう。

問題の抽出、明確化

「預金口座が凍結したら、生活費が捻出できなくなるから困るのか?」
「将来不動産を売却して老後資金を確保する必要性が出てきそうなので、その時に確実に不動産売却ができるようにしておきたいのか?」
「有価証券を保有しており、これらを将来売却できるようにしておきたいのか?」

はたまた、
「相続発生前から、資産の管理を将来の相続人に任せてしまいたいのか?」
これらを具体的に検討することで、そもそも家族信託の利用が必要なのか、必要であるとして、信託すべき財産は何なのか?が具体的に見えてきます。

まずは、わかる範囲で構わないので、これらのことを落ち着いて検討してみましょう。

専門家に相談する

家族信託は手続きが複雑で、作り方を間違えると不要な課税がされてしまうといったリスクもありますので、実際に手続きを進める際には、家族信託の経験が豊富な専門家のサポートを受けるようにしましょう。 現在、家族信託の相談を最も多く受けている専門家は司法書士です。(某金融機関の信託口座開設依頼の持ち込み件数に関する統計を見たところ、その7割を司法書士が占めていました。) その他では、弁護士や税理士も相談を受けています。

専門家に相談する
専門家選びのポイント

POINT 1:良い専門家の見極め方

良い専門家の見極め方としては、今までに実際にどのくらい家族信託をサポートしてきているかを確認しましょう。 家族信託は比較的新しい領域であるため、専門家であれば当然に詳しい、というものではなく、同じ資格をもっている専門家でも、能力の差がものすごく大きいものとなっています。 また、経験値が少ないために、依頼を受けてくれない、という専門家もいるでしょう。
相談する専門家を探す際は、ぜひ今までの実績を確認するようにしてください。

POINT 2:継続サポートしてくれるか

また、もう一つ大きなポイントとして、相談した専門家は、信託契約の締結が終わった後についても継続的にサポートをしてくれるか、という点があります。 家族信託は、契約の締結が本当のスタート地点です。
受託者は信託契約締結後、信託財産をあずかり、信託契約に従って財産を管理しながら、帳簿の作成や貸借対照表等の計算書類の作成など、信託法上の受託者の義務もこなしていかなければなりません。 また、不動産の売買などの大きな手続きを受託者の立場で行わなければならない場合も出てきます。 なので、家族信託の相談を専門家にする際は、信託締結後も継続的に受託者をサポートしてもらえるかも確認しておきましょう。

親しい中にも礼儀あり、
委託者と受託者は強固な相互理解を

家族信託は、家族間で行いますので、油断すると、コミュニケーションが雑になったり、相手への思いやりが欠如してしまう、ということが起こりやすいです。
しかし、受託者は、委託者の大切な財産を預かっていますので、今までの単なる家族関係とはまた別の関係性が生まれた、という意識を持った方が良いです。 受託者になる方は、ぜひ委託者の立場に立って、少し想像してみてください。

親しい中にも礼儀あり、委託者と受託者は強固な相互理解を

どんなに信用している相手であったとしても、自分の大切な財産を預ける、管理権限をすべて渡す、という行為に不安を伴わないという方はいないのではないでしょうか? 受託者は、このことを意識して、財産状況について丁寧に報告をする、定期的にコミュニケーションを取る、といったことをするべきです。 逆にこれがしっかりとできれば、家族関係は今まで以上に良好なものになっていくこともあるでしょう。

家族信託を通じて、より家族の絆が深まっていく。
そんな家族信託を私たちもサポートしていきたいと思っています。

まとめ

家族信託についての基本的な部分を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
家族信託は契約内容の設定次第で、幅広く様々な形にすることができますので、しっかりと使いこなせる専門家に相談できれば、現在の不安を解消し、大きな安心を得ることができるでしょう。

また、家族間で手続きを行いますので、家族関係、相互理解をより深めるきっかけにもなります。 私たちは、家族信託を通じて、多くの方が将来の不安から解放され、かつ良好な家族関係を手にしていくことを願い、活動を続けています。 手前味噌ではありますが、私たちも多数の家族信託サポート実績を有する専門家の一端を担っていると自負しています。

初回のご相談は無料で承っていますので、家族信託について知りたいことがありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

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