【完全版】成年後見制度の費用・後見人への毎月の報酬について解説

【完全版】成年後見制度の費用・後見人への毎月の報酬について解説

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成年後見制度を利用するには、最初の申立ての時点で費用がかかるほか、実際に後見人による財産管理が始まってからも後見人に対する報酬が必要になる場合があります。

この記事では、実際に成年後見制度を利用した場合には、どのような費用がかかるのかを解説していきます。

後見制度をこれから利用しようと思っている方や、後見制度とその他の制度のメリットデメリットを比較したい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症などの理由によって正常な判断能力を失ってしまった方の代わりに、家庭裁判所を通して後見人が選任され、本人の財産を管理する制度です。

成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つの制度があります。

法定後見制度は、家庭裁判所に後見開始の申立てを行い、審査の後に利用できるようになります。

任意後見制度は、本人が健常なうちに契約する制度で、将来、後見人を依頼したい人との間で任意後見契約を締結しておきます。

成年後見制度について、詳しくはこちらの記事(成年後見制度とは?)でも解説しています。ぜひご参照ください。

この記事では、成年後見制度の中でも「法定後見制度」を利用した場合の費用について解説していきます。

法定後見制度の申立ての時点でかかる費用

法定後見制度の開始申し立ての際にかかる費用は、次の4種類です。

① 裁判所に対して納める費用
② 医療機関に対して支払う費用
③ 書類の収集のために必要な費用
④ 専門家に手続きを依頼した場合の費用

順に説明をしていきます。

① 裁判所に対して納める費用

申立手数料

法定後見制度を利用するためには、申立手数料が必要です。家庭裁判所に提出する申立書に収入印紙を貼って納付します。

申立ての内容によって費用が異なります。

項目名 費用
後見開始の申立て 800円
保佐開始の申立て 800円
保佐開始の申立て
及び代理権の付与
1,600円
保佐開始の申立て
及び同意権の付与
1,600円
補助開始の申立て
及び代理権の付与
1,600円
補助開始の申立て
及び同意権の付与
1,600円
保佐開始の申立て
及び同意権と代理権の付与
2,400円
補助開始の申立て
及び同意権と代理権の付与
2,400円

後見登記手数料

法定後見制度を利用した場合、法務局において、後見人が選任された旨が登記されます。

この登記手続は家庭裁判所の依頼のもと法務局が独自に進めてくれますが、その登記にかかる手数料を収入印紙で納付する必要があります。

この収入印紙は申立書に貼らずに納付します。手数料の額は2,600円です。

郵便代

申立ての際には、手続きに使用される郵便切手も納付する必要があります。

家庭裁判所によって必要な金額が異なり、切手の金額と枚数も指定されていますので、事前に管轄の家庭裁判所に金額を確認する必要があります。

【例:東京家庭裁判所の郵便切手】

後見開始の申立て

500円×3枚
100円×5枚
84円 ×10枚
63円 ×4枚
20円 ×5枚
10円 ×6枚
5円  ×2枚
1円  ×8枚

合計 3270円

保佐・補助の申立て

500円×4枚
100円×5枚
84円 ×15枚
63円 ×4枚
20円 ×5枚
10円 ×7枚
5円  ×4枚
1円  ×8枚

合計 4210円

② 医療機関に対して支払う費用

法定後見制度を利用するには、医師作成の診断書(家庭裁判所提出用) を用意する必要があります。裁判所が用意している様式の通りの診断書を作成する必要があります。

原則、主治医による診断書を提出しますが、主治医がいない場合や、主治医に作成を断られた場合には、別の医師による診断書でも問題ありません。

診断書の作成の費用は医療機関により異なりますが、おおよそ5千円〜1万円程度が相場です。

また、申立てを行った後、診断書とは別に、医師による鑑定が必要とされる場合があります。

ほとんどの場合は診断書や申立人の話、書類によって後見による支援が必要かどうか明らかになりますが、家庭裁判所の判断で医師による鑑定が行われることもあります。

実際に鑑定が行われることはまれで、割合にして全体の約6.1%です。 (最高裁判所事務総局家庭局 成年後見関係事件の概況―令和2年1月~12月―参照)

鑑定が必要とされた場合には、医師に対する鑑定費用が必要となり、この金額は、医師により異なります。例として以下のような額となっています。

【医師に対する鑑定費用】

5万円以下 53.9%
5~10万円 39.3%
10~15万円 6.3%
15万円超  0.3%

③ 書類の収集のために必要な費用

法定後見制度の利用の申立てをするには、様々な書類を収集しなければなりません。提出が必要となる書類とその取得費用の一覧は次の通りです。

取得に費用が掛かる書類のみまとめていますので、必要書類の全体像を把握したい場合は、こちらの記事(【完全版】成年後見の手続きの流れと必要書類を司法書士が解説)をご覧ください。

書類 費用     備考
戸籍謄本 450円 申立ての添付書面
住民票又は戸籍の附票 300円 申立ての添付書面
登記されていないことの証明書 300円 本人に後見人がついていないことを証明
後見人候補者の住民票又は戸籍の附票 300円 後見人の候補者がいる場合に添付
不動産登記事項証明書 600円 本人の財産に不動産がある場合に添付
不動産の固定資産評価証明書 400円 本人の財産に不動産がある場合に添付

④ 専門家に手続きを依頼した場合の費用

法定後見制度を利用する際の裁判所への申立て手続きは、集める書類も多く大変な作業になります。

裁判所への提出書類は司法書士の専門領域なので、司法書士に依頼して作成を任せることもできます。このような依頼の手数料の相場は、10万円〜20万円程度です。

申立ての時点でかかる費用は誰が負担すべきなのか?

申立時には一定の費用が掛かります。基本的には申立人が負担すべきものとされています。

申立人とは、本人を含めて、配偶者、4親等内の親族、市区町村長や検察官等とされています。

実際には配偶者や子などの親族、本人が利用している介護施設(申立ての名義は市区町村長)などが申し立てることとなります。

また、鑑定が必要な場合など、その費用が高額になり申立費用の負担が難しい場合には、一部の家庭裁判所に限られますが、申立費用を本人負担とする裁判を行う取り扱いがあります。

その場合、本人の資産から費用を負担することになります。申立費用の負担が難しい場合には、申立時に家庭裁判所に確認するとよいでしょう。

法定後見制度の開始後にかかる費用

法定後見制度において選任された後見人は年に1度、家庭裁判所に定期報告の義務があり、 この定期報告の際に報酬付与の申立てを行います。

報酬付与の申立てを行うかどうかは後見人の自由ですが、親族以外の専門家が後見人になる場合には、仕事として後見業務を行うため、必ず報酬付与の申立てが行われます。

報酬にはある程度の基準が定められており、家庭裁判所が決定します。

【後見人の基本報酬】

管理している金融資産の額 報酬
~1000万円 2万円/月
1000万円~5000万円 3~4万円/月
5000万円~ 5~6万円/月

成年後見人が複数存在する場合には、上記の額が各成年後見人の業務量に応じて按分されます。

この基準に基づき算出された報酬に加え、後見人が行った業務に応じて付加される報酬(付加報酬)もあります。

例えば、不動産の売却や、遺産分割協議、訴訟などの法律行為を後見人が行った場合、本人が得た利益の額に応じて付加報酬が認められます。

割合としては数%ですが、額にして30万円〜70万円となりますので決して負担の軽いものではありません。

この付加報酬も合わせると、後見人に対する報酬額は大きな負担になることもあり、この報酬は本人の財産から負担することになります。

本人の金銭の管理は後見人が行っていますので、後見報酬の支払いは後見人自らが本人の口座から引き出す形で行われます。

親族の財布から直接支払いをするわけではありませんが、本人の死により相続が発生し、後見が終了して財産を相続したタイミングで、毎年の後見人報酬について知ることとなるのです。

親族が後見人に就任しても「後見監督人」に対する報酬がかかる場合も

このように見てくると、後見制度を利用した時の報酬の負担が気になると思います。

そのため、親族が後見人になる希望を出して就任すれば、専門家への報酬のような負担はなくなるのではと考えると思います。

親族が報酬付与の申立てを行わなければ、後見人報酬も不要となります。

ただし、親族が後見人の希望をする場合には、後見人の財産管理の状況を監督する立場として「後見監督人」が選任される場合があるのです。

この後見監督人は、司法書士や弁護士などの専門家が就任するため、報酬を支払う必要が生じます。

金額としては、管理している金融資産の額により、

  • 5000万円以下…月額5000円~2万円程度
  • 5000万円を超える場合…月額2万5000円~3万円程度

このような額が相場と言われています。

後見人の報酬よりは抑えることはできますが、やはり年間一定額の報酬負担が発生します。

親族が後見人に就任した場合でも後見監督人に対する報酬がかかる場合もあるため、注意が必要です。

後見制度の利点とデメリット

後見制度は認知症が進行してしまった後でも手続きをすることができる公的なサポート制度です。預金の引き出しや不動産の売却、施設入所契約などの身上監護も可能となります。

ただし、その利用には大きな経済的負担を伴うことが分かりました。

法定後見制度の利用には、開始の手続きにかかる費用に加え、利用が始まると後見人への高額な報酬が必要です。

認知症を原因として成年後見を開始した場合、その方が亡くなるまでは通常5年〜10年と言われています。

認知症を原因とする成年後見は、一度開始すると本人が亡くなるまでやめることができず、その間後見人への報酬が発生し続けるという特徴があるのです。

また、親族にとっては財産管理を柔軟に行うことができなくなるため、これらのデメリット面から利用が避けられている傾向にあります。

成年後見制度には利点もあるのですが、デメリット面についてよく知り、認知症などの対策を早めに立てておくことが重要だといえるでしょう。

(参考記事:利用前に必ず抑えておきたい!成年後見制度のデメリット3つ

認知症の対策は早めに検討を

ここまでご紹介した通り、成年後見制度にはこのような特徴があります。

そのため、後見制度を利用しない対策として家族信託が選ばれているのです。

家族信託は、本人の意思・判断能力が健常な状態の段階で、家族に財産の管理を任せる契約をしておく制度で、後見制度の利用が頭打ちになる一方、家族信託については利用者数も増加傾向にあります。

家族信託についての詳細は、こちらの記事(家族信託とは?メリット・デメリット・費用をわかりやすく解説)をご覧ください。

ご自身の家庭では、どのような対策が考えられるのか、早めに専門家に相談することをお勧めします。

成年後見と家族信託、どちらが我が家に合っているのでしょうか。違いを比較して検討されることをお勧めします。 家族信託と成年後見の違いは?どちらを使うべき?をご参照ください。

カテゴリー: 成年後見制度

この記事の監修者
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

司法書士
梶原 隆央(かじわら たかひさ)

神奈川県出身/平成21年司法書士資格取得 トリニティグループの信託部門にて、実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。

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